入場してすぐ、一枚の絵が置かれています。
阿波は、鳴門の渦潮を描いた作品、その藍の鮮やかさに圧倒されます。
今までにも少なくない作品を見て来たのですが、
同じものでもまったく別のモノ、初刷りの広重を集めたのが、
ビビッドなんて不思議タイトルを付けたものだと、訝っていたのですが、
たった一枚の作品をみて、これ以外のタイトルが似つかわしくないように思えるのです。
そのくらい、展示されているすべての浮世絵が生き生きとしています。
ぼかしや、かすり、細かく描かれた木々の枝、繊細な縁取り
水面の一部になっている版木の年輪までも、鮮やかです。
これが、広重が意図した作品なのかと、印象を新たにします。
版を重ねる事に、線がうすれる、数多く摺られることで、色がぼける、
人気絵師の作品の宿命です。
でも、ここに並べられている作品の数々は、本当の本物。
すべてが鮮やかなままで描かれています。
あの、大川の雨も、強い風を見立てたスジも、
雨、風が頬をうつような錯覚を覚えさせるほど、VIVIDな広重なのです。
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