淫霧 館淳一 徳間書店 2007年02月26日 | 読書 淫霧 館淳一 徳間書店 「問題小説」に掲載された短編集集めた本が出版されました。 この方以外の官能小説をほとんど読まない私にとって、 待ちに待った一冊です。 御自身のWEBでも紹介されている通り、 この本に掲載されており短編を膨らませて、 長編化したものも幾つかあります。 ある意味、それら長編よりも、 これら短編の方が、作家本来の味わいが色濃く出ている、 そんな風に個人的には感じてしまいます。 魂は細部に宿ると言います。 ある意味、ディテールへの「こだわり」が、 この著者の持ち味で、とても心引かれるのですが、 昨今の長編において、 「こだわり」を越えて、饒舌すぎると感じるところがあるので 改めて、こうして元になった短編を読むと 研ぎ澄まされた魅力を再確認することになります。 そのなかでも、個人的には、 「ミストレスの扉」がお勧めです。 初めてフェティシュ系のお店に足を踏み入れ、 自らの性癖に気がつき、それに怯え、受け入れてしまう。 同じ気持ちを懐いた私にとって、 昔の出来事を懐かしく思い出しました。
移り香 2007年02月25日 | つぶやき オンブルローズ OMBREROSE というパフュームをご存知でしょうか、 とっても官能的で、優しく、甘い香りの香水です。 ブランド名を日本語に訳すと 「うすべに色の影」ということになるそうです。 日本の夏にはちょっと重たい香りですが、 秋の半ば、少し肌寒くなり、人恋しくなる時期から 桜の花が咲いてなお、冷えを感じる、花冷えの季節まで。 寒さにこの香りはとても映えるように思えるのです。 ツイードのジャケットの肩に残った移り香で、 ハートノートとボトムノートの香り変化を楽しむことを知り、 その日の楽しかったこと、将来の夢などを あれこれと一人想いを廻らせたものです。 十数年の年月を経て、 トップノートの甘い香りに気がつくと 一緒に過ごした時を 懐かしく、少しの悲しみと共に、思い出すだけです。 会うことなど、もう無いし、 歳月が人の好みを変えるのも分かってはいるけれど、 それでも、探してしまうのです。