日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ビジュアルイメージは大切

2020-06-10 11:03:15 | マーケティング

Huffpostを見ていたら、「へ~~~」と思う記事があった。
Huffpost:キンカン、94年の歴史で初めてファッション雑誌に広告掲載。その悲痛な理由とは・・・

見出しにある「悲痛な理由」というのは、やや大げさな気がしない訳でもないのだが、虫刺されの塗り薬として古くからある「キンカン」が、新しい顧客層を獲得する為に、パッケージなどを一新し新商品を発売することになったのだが、今回の「新型コロナ禍」により、当初予定されていたプロモーションを取りやめざる得なかった。
その代わりとして、ファッション誌への広告掲載となった、というのが記事の内容になる。
ただ、商品企画担当者はこのプロモーションに相当な力を入れていたようだ。
金冠堂:キンカン渋谷の夢-KINNKAN's DREAM

まず注目すべきは、新商品のパッケージだ。
「キンカン」といえば、黄色を基調に赤い文字などが使われている、馴染みのパッケージだ。
そのパッケージそのものも、大きな変化が無く、むしろ「キンカン」という商品名を見なくてもパッケージを見るだけで、「キンカン」とわかるほどだろう。
それほど、多くの人にとって馴染みがあり、定着したイメージのパッケージだと言える。

これほど定着したイメージの商品となると、新商品のイメージづくりは、これまでの商品イメージを全く変えてしまう必要がある。
何故なら、現行の商品と新商品を区別するためには、現行商品のパッケージイメージをそのまま使っては、新商品という新鮮さが無いからだ。
それは同時に、これまでの「キンカン」という商品イメージを捨てる、というリスクもあるということになる。

今回の「KINKAN Noir」は、商品名に使っている「Noir=黒」という言葉そのものを全面に押し出し、黒を基調としたパッケージデザインにしている。
しかも商品の購入対象者を、家庭薬を使う家族世帯や高齢者世帯ではない、若い世代としている為にこのようなパッケージデザインにし、広告イメージも商品に合わせたファッション性の高いビジュアルにしている。

パッケージを一新したからといって、どれだけ若い世代に受け入れらるのかは、まだ分からない。
若い世代が「キンカン」という商品に、古臭いというイメージを持っているのであれば、たとえ同じ成分であってもこの位大胆なパッケージ変更をし、イメージを変えなくては新しい顧客層を獲得することは難しいだろう。
そのイメージ一新ができたのは、やはり「キンカン」という商品が、94年というロングセラー商品だからできることなのだ。

個人的には「キンカン」の効果の一つ「肩こり、腰痛」をもっと強調し、独特の香りが薄まれば需要の掘り起こしは、もっとできるのでは?と、思っていたりするのだが・・・。