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「新型コロナ禍後」の観光とは?

2020-06-20 20:34:38 | ビジネス

昨日、ある旅行会社から久々に、メルマガが送信されてきた。
「新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、メルマガの配信を中止していました」という、一文を読んで「あ~~そうか」と、私の生活の中に「どこかへ行く」という気持ちが、無くなっていたのかもしれない、と気づかされたのだった。
それほど、旅行会社から送られてくるメルマガに、興味がなくなっていたのだ。
そして、その送信されたメルマガを読みながら、これからの観光はどうなっていくのだろう?と、思ってしまった。

昨日の新幹線の乗降風景の写真などを見ると、多くは、サラリーマンの出張風景のような印象ではあったが、「出かけられる」という解放感を感じさせる写真が、いくつかあった。
そのような写真を見ると、これからの観光地は「ソーシャルディスタンス(=社会的(感染防止のための)距離)」を保ちながら、観光客を迎え入れる必要があるということになる。
その答えの一つが、19日の「移動解禁」に合わせるかのように、京都にある仁和寺が発表した、「仁和寺VR」のような気がしている。
仁和寺:「仁和寺VR」・「プライベートツアー」ご予約サイトのご案内

ご存じの方もいらっしゃると思うのだが、昨年仁和寺は一泊100万円という「宿泊プラン」を出している。
「仁和寺を独占して宿泊できる」というプラン内容だが、流石に素泊まり100万円という高額さに驚いた。
ただこの宿泊プランが発表された時、「インバウンド期待」という指摘はされてきた。
「世界遺産を一泊独占する」し、非公開となっている施設内の仏像などを見られるだけではなく、それを「独占する」というのは魅力的だが、果たして日本人はどれほど魅力だと感じるのだろうか?という、疑問があったからだ。
そのため「インバウンド期待」ということが、言われたのだ。

それが「新型コロナウイルス」の感染拡大により、海外からの観光客はもちろん、日本国内の移動もできなくなり観光客が激減した。
何より、「観光に出かけたい」という気持ちそのものが無くなっていた、というのが本当のところだろう。
それほど「観光したい」という気分が、無くなってしまったのが「新型コロナ禍」だったのだ。
その生活者の「新型コロナ禍」による、心理的変化に対応するかのような一つの提案が、「仁和寺VR」のような気がする。

もちろん、「仁和寺VR」のような観光プランができる、施設や場所ばかりではない。
とすれば、「出かけたい!」という気持ちを、掘り起こさせるような広告であったり、観光プランが必要となってくる。
それは今までのような「団体旅行」のような旅行プランではなく、旅行者一人ひとりに合わせた「オーダーメイドプラン」だろう。
しかも、人数制限を設けるなど「特別な旅」を創ることが、重要になってくるかもしれない。

もう一つ考えられるのは、「私たちの暮らしの原点回帰」という、視点の観光だ。
限界集落のようなところであれば、「ソーシャルディスタンス」等は関係はない。
そのような地域での、「自然と暮らす体験」という提案だ。
食事などは、地域内で採れる野菜やジビエ、魚介などを自分たちで調理しても良し、レストランで堪能するのも良し、「ただただ何もしないで自然の中に身を置くだけの贅沢な時間を過ごす」ということだ。
その体験から、思わぬ創造力のスイッチが入るかもしれないし、自然の中から発見するモノがあるかもしれない。
そのような「何もしない」ことに新しい価値と意味を「観光」と結びつける、という発想だ。

「新型コロナ禍」は、私たちの生活スタイルを変えるだけではなく、その「生活に対する考え」も変えたような気がする。
変ったことを嘆くよりも、新しい何かを見つけることが、「新型コロナ禍」を乗り越えることになるような気がするのだ。