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「稲盛財団」と国の文化支援から考えること

2020-06-03 11:34:12 | アラカルト

「新型コロナウイルス」に対する、緊急事態宣言は一旦終了したが、現実はそれほど甘くはなかったようだ。
宣言終了直後の週明け、都庁などを色別にライトアップさせ、行動の注意喚起をする「東京アラート」が早速発動された。
「新型コロナウイルス」の感染拡大が終息したのではなく、感染リスクを考えながら日々の生活をする、という「新しい生活スタイル」を改めて覚悟する必要がある、ということを分かりやすく知らせたような気がしている。

今回の「新型コロナウイルス」の感染拡大によって、多くの人が実感したことがあるだろう。
それは「国はさほど当てにならない」ということだ。
「当てにならない」というと語弊があるが、今回の「新型コロナウイルス」の対応で一番目立ったのは、大阪府知事の吉村さんであったり、地方自治体の首長さんたちだった。
行動が早く、分かりやすい言葉で、明快な説明をしてくれることで、一つの「行動目安」のようなモノが分かり安心して「自粛生活」ができただけではなく、共感と信頼感を持つことができた、と感じた人は多いのではないだろうか?

それだけではなく、民間の力もまた迅速で多くの人に新しい行動を呼び起こしたのではないだろうか?
それが札幌商工会議所の「緊急SOS物販販売」であったりSNSを活用した、直販サイトの立ち上げだったような気がするのだ。
倒産や廃業の危機の中で、国の力ではなく生活者一人ひとりがSNSを通して商品を購入する、ということで経営の危機を乗り越えた事業者も少なくなかっただろう。

そして文化支援という点でも、国よりも民間のほうが積極的であった、という気がする。
その一つが、「稲盛財団」の「文化芸術支援プログラム」だ。
稲盛財団:新型コロナウイルス影響下における「稲盛財団文化芸術支援プログラム」の支援先が決まりました

財団名を見て、京セラの稲盛さんが私財を投入してできた財団だということは、お分かりになると思う。
この「稲盛財団」は、科学や文化芸術に対して功績を残している人や団体に対して、毎年「京都賞」という賞を授与している。
特に科学の分野においては「ノーベル賞の前哨戦」といわれるほどだ。

その「稲盛財団」が、政府の支援などが進まない「文化芸術」の分野に対する支援を、4月下旬に表明し募集をしている。
そして6月1日は、支援する団体・企業を金額別に発表をしているのだ。
対象となっている団体・企業は音楽であればクラシックが中心になっているのは、ある意味仕方ない部分もあるとは思うが、支援の範囲は決して狭くはない。
何より、遅々として進まない政府の文化芸術に対する支援策に対して、スピード感がある。

欧州諸国が、いち早く文化芸術に対しての支援を発表し給付したのに対して、日本の場合は、民間の力が人を支えるような社会システムになっているのだ。
社会背景や文化の成り立ち、考え方などの差があるとは思うのだが、改めて感じるのは「日本の文化」は、民力によって支え合っている、ということだ。