ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語(56)『ダイヤルの無い黒い電話機』

2024年03月04日 20時49分37秒 | 日記
ちいチャンの家の電話機は、ダイヤルの数字がない黒い電話機でした。
電話機の右側に、ぐるぐる回すレバーが付いていました。
電話をかける時は、このレバーをぐるぐる回し、受話器を取ります。
そうすると、
「はい!交換です!」
と、受話器の向こうから、交換手さんが応対をしてくれます。
電話をかけたい相手の電話番号を告げ、いったん通話を切ります。
相手に電話がつながると、電話が鳴り、交換手さんが、
「相手の方が、お出になりました。どうぞ。」
と、つないでくれます。
電話機には、ダイヤルや数字が付いていないので、電話をかける時は、必ず
交換手さんが、間に入ります。
そして、通話が終わるとまた電話が鳴り、
「○○分間で、○○円でした。」
と、通話時間と金額まで教えてくれました。
ちいチャンは一度だけ、お友達の家に電話をしてみようと思い、交換手さんに
電話番号を告げた事がありました。
つながった電話の向こうには、知らない人の声が聞こえたので、何も言わずに
受話器を置いて切ってしまいました。
すると、ジリリリリーン!と、電話が鳴り、受話器を取ると交換手さんが、
「相手の方が、お出になっていますが...。」
と、言います。
緊張で、ドキドキしていたちいチャンは、
「すみません、間違えました。」
と言って、慌てて受話器を置いてしまいました。
話し手と話し手の間に入る交換手さんは、誰が何処に電話をかけたかなどは、
すべてお見通しなのでした。
(ちょっと試しに...なんて、電話したりできないな..。)
と、胆に銘じたちいチャンでした。

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