ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語(57)『囲炉裏のお話』

2024年03月27日 20時02分09秒 | 日記
ちいチャンの家は、玄関を入ってすぐの部屋には“囲炉裏(いろり)”があります。
囲炉裏には、冬には炭がくべられて、天井からは“鉤(かぎ)”が降ろされます。
ちいチャンは、鉤を鍵だと思っていましたが、後々に、正しくは“自在鉤(じざいかぎ)”
と言うのだと分かりました。
この自在鉤は、普段は天井の角に斜めに吊り上げられています。
冬場の囲炉裏に火が入る時にだけ、この自在鉤が降ろされ、鉄瓶というやかんがかけられま
す。
鉄瓶は、鉄で出来たやかんです。重いです。
炭火で鉄瓶のお湯を沸かし、そのお湯でお茶を入れます。
鉄瓶は、シュンシュンシュンシュンお湯が沸き、部屋を暖めてくれます。
おじいちゃんは、囲炉裏の家長の座る場所に、いつも座っていて、タバコをぷかりと吹かし
ます。
自在鉤には、疑問符を逆さにしたような鉤が付いていて、それに掛けている鉄瓶は、360
度どの方向にも回ります。
おばあちゃんが側にいない時、おじいちゃんは、急須に鉄瓶からお湯を入れ、自分でお茶を
入れます。
お酒を飲むお客様が来ると、お銚子を鉄瓶のお湯の中に入れて、暖めます。
お客様は、自分に出されるお酒が温まるのを、目の前で見ていられるのでした。
囲炉裏の横の床下には、炭を入れる場所がありました。
囲炉裏には、五徳(ごとく)、火箸(ひばし)、灰ならしが置いてあります。
五徳には急須をのせ、火箸で炭をくべ、灰ならしで灰をならします。
ちいチャンは、灰ならしで灰をいじるのが、チョット好きです。
灰ならしの先端は、ギザギザになっていて、灰の上をすべらせると、ギザギザの形が付きま
す。
囲炉裏には、水を入れる釜が付いていて、その上には柄杓(ひしゃく)が置いてありました。
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ちいチャン物語(56)『ダイヤルの無い黒い電話機』

2024年03月04日 20時49分37秒 | 日記
ちいチャンの家の電話機は、ダイヤルの数字がない黒い電話機でした。
電話機の右側に、ぐるぐる回すレバーが付いていました。
電話をかける時は、このレバーをぐるぐる回し、受話器を取ります。
そうすると、
「はい!交換です!」
と、受話器の向こうから、交換手さんが応対をしてくれます。
電話をかけたい相手の電話番号を告げ、いったん通話を切ります。
相手に電話がつながると、電話が鳴り、交換手さんが、
「相手の方が、お出になりました。どうぞ。」
と、つないでくれます。
電話機には、ダイヤルや数字が付いていないので、電話をかける時は、必ず
交換手さんが、間に入ります。
そして、通話が終わるとまた電話が鳴り、
「○○分間で、○○円でした。」
と、通話時間と金額まで教えてくれました。
ちいチャンは一度だけ、お友達の家に電話をしてみようと思い、交換手さんに
電話番号を告げた事がありました。
つながった電話の向こうには、知らない人の声が聞こえたので、何も言わずに
受話器を置いて切ってしまいました。
すると、ジリリリリーン!と、電話が鳴り、受話器を取ると交換手さんが、
「相手の方が、お出になっていますが...。」
と、言います。
緊張で、ドキドキしていたちいチャンは、
「すみません、間違えました。」
と言って、慌てて受話器を置いてしまいました。
話し手と話し手の間に入る交換手さんは、誰が何処に電話をかけたかなどは、
すべてお見通しなのでした。
(ちょっと試しに...なんて、電話したりできないな..。)
と、胆に銘じたちいチャンでした。
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