ちいチャンの家のテレビは白黒で、画面はプラスチックのカバーでおおわれてい
ます。
テレビを見ない時は、垂れ幕のように、テレビに布が掛けてあります。
画面の右下には、チャンネルを選ぶつまみがあって、それを右や左に回して、チ
ャンネルの数字に合わせます。
テレビは時々、電波の具合が悪くなるらしく、ニュースを見ている途中で何も映
らないグレーの画面になる時があります。
そうすると、
「しばらくお待ちください」
という文字が、画面に映し出され、画面がもとに戻ると、アナウンサーの人が、
「ただ今、画面が中断致しました。お詫び申し上げます。」
と言って、深々と頭を下げます。
そうすると、おじいちゃんやおばあちゃんは、
「どういたしまして。」
と、テレビに向かって深々と、おじぎをします。
画面は時々、コマ送りの様に同じ画面が、上に上がって行っては下から出て来て、
また上に上がって行っては下から出て来てを繰り返す事があります。
「映りが悪いな。」
おじいちゃんが言います。
そして、画面は時々、映っている人の顔が、斜めにビロ~ンと伸びる時がありま
す。
きれいな女優さんや、かっこいい歌手の人も、宇宙人の様な顔になってしまいま
す。
そんな画面の時には、画面も揺れたりするので、
「映りが悪いな。」
おじいちゃんが言います。
だから、画面の多少のざらつきは、映りがいい方です。
画面のコマ送りが続いたり、宇宙人顔が続いたりすると、おばあちゃんはテレビ
の横を、手の平で、バンッ!と叩きます。
すると、なぜだか、画面は、ちゃんとした画面に戻るのでした。