ちいチャンが、街に出て、
かかとの高い靴を、履くようになった頃、
ちょっと悩み事がありました。
街には、あちらこちらにマンホールがあって、
小さい穴が開いています。
網目状になっているマンホールもあります。
朝の通勤ラッシュの時に、
人ごみに急かされながら歩いていると、
靴のかかとが、マンホールの穴に入って、
ヒールの底が、スポッ!と取れてしまうのです。
これは、ちいチャンだけではない様で、
街の信号待ちの横には、
ずらりと、「靴磨き屋さん」が並んでいます。
靴磨き屋さんは、靴を磨いたり、靴の修理をします。
靴磨き屋さんの前で、バリッ!とスーツを着た紳士が、
片足を台に乗せ、靴を磨いてもらっています。
そしてその隣では、
イスに腰掛け、靴を直してもらっているお姉さんがいます。
ちいチャンは、丁度、この靴磨き屋さんの目の前で、
ヒールの底が取れてしまったので、
靴を脱いでピヨンピョンと跳ねながら、
靴磨き屋さんの前に行きました。
ちいチャンは、靴のかかとを見せました。
「靴磨き屋さん」は、ちいチャンの靴のかかとを見ると、
四角い台紙のような物の上に靴を置き、
ペンで、ぐるりと型を取りました。
それから、ノミとカナヅチで、型を切り取りました。
そして、ちいチヤンの靴を裏返し、足型の台にはめ込み、
接着剤でかかとを貼り付けて、
小さな釘で、トントントンと止めました。
ヒールの底が、きちんと合っているかどうか確認をして、
はみ出ててる部分を、刃物で削り取りました。
5分程で出来る早わざです。
靴磨き屋さんのおかげで、ちいチャンは、
靴の底がすり減った時に、取り換えてもらったり、
靴の先がぱかぱかと、剥がれそうになった時に、くっ付けてもらったり、
ヒールが折れた時に、直してもらったり、
と、お気に入りの靴は、いつまでも履く事が出来ました。