海に流れ込む川は、海岸を2つに分けるようにして、真ん中を流れています。
流れる川と、おしよせる波とがぶつかりあう場所は、毎日、川幅が違います。
ちいチャンは、家の近くの防波堤の階段から砂浜に降り、川をはさんだ向こう
側の砂浜まで、砂浜を探索するのが日課です。
砂浜は、波が描く足跡が波打ち際まで続いています。
海藻や流木が流れ着いて落ちています。
ツルツルの貝殻やピンクの小さな貝殻、波で削られたガラスの石が落ちていま
す。
ちいチャンには宝箱のような場所です。
ちいチャンは、落ちている棒を手に持って、砂浜に流れ着いた物たちを、ツン
ツンとつつきながら歩きます。
落ちている貝殻を引っくり返して中を見てみたり、海藻を棒の先でヒョイと持
上げて海めがけて投げ入れたり。
そうして川まで来た時に、いつもはジャんプをして渡る川が、その日は少し雰
囲気が違います。
いつもより荒い波で、川幅が広くなっていました。
(今日はジャンプできないな....。)
そこで、ちいチャンは持っていた棒で、棒高跳びのようにジャンプして渡ろう
と思いました。
棒高跳びは、棒を持って走って来てジャンプをしますが、ちいチャンはそんな
事は考えずに、エイッ!と棒を川底に刺して、ジャンプをしました。
棒は、まっすぐに川底に突き刺さり、うねってはくれません。
ちいチャンの身体は、弧を描く様には川を飛び越えられず、ちいチャンは、そ
のまま川にドブン!と落ちてしまいました。
川の中でしりもちをついたまま、ちいチャンは、
(あ~あ、しっぱいだぁ。)
立ち上がると、服はびっしょりで、ずっしりでした。
スカートを、雑巾の様に絞りながら、ちいチャンは家に帰ります。
髪には、白い砂が模様のように付いていました。