ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

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教育、第 246号、浜松市長の条件(その2)

2006年10月22日 | サ行
 私は7月25日、「浜松市長の条件」と題する文章を発表しました。いくつかの反響がありました。

 このたび、それでは不十分だと思う点に気づきましたので、補足します。

 それは湖西市の三上市長が議会との関係がうまくいかないことが理由で(といっても、この理由は推測でしかないのですが)長期休養をしたことで次の新聞記事があったからです。

──約1カ月に及ぶ自宅休養から公務復帰したばかりの三上元(はじめ)湖西市長(61)がまた、体調不良を理由に約2週間の休養を宣言した。三上市長は「市長になり、生活の激変によるストレス」と言うだけで、症状や病名を明かさない。が、市長の休養期間は市議会の会期と重なる。議員らとの顔合わせを避けるかのようだ。「本当に病気なのか」。市民たちの間で憶測を呼んでいる。

──三上市長は2004年11月の市長選に経営コンサルタントから立候補。民間出身者の必要性を訴え、4選をめざした現職を破って初当選した。議員20人の大半は前市長派。三上市長派は見当たらない。

 しかし、二橋議長は「いくら対立した相手でも、代われば、普通なら新市長を応援したい。そうならないのは市長自身の問題」と指摘、溝は埋まりそうにない。

 三上市長は、(1) 退職金の返上、(2) 市民窓口をすぐやる課に、(3) 2期8年で退任、などを公約に掲げた。

 「児童手当の増額」は減額修正のうえ実現した。が、多くは市議会の抵抗で実現していない。

 「市を変えてくれるかと期待していたのに、長期間、2回も休養とは。重箱の隅つつきばかりする議会も議会だが、調整せずに屈する市長も市長。リーダーシップを発揮して欲しい」。内情に詳しい湖西市商工会の役員(49)は、市長の再起を期待しつつ、そう苦言を呈している。(10月19日、朝日新聞、長田寿夫)

 これを読んで気づいたことは、私は「浜松市長の条件」の中に「幹部職員の抵抗(面従腹背)を克服して政策を押し進める知恵と指導力」を挙げたのですが、「議会との関係を適切に処理して政策を実行する知恵と指導力」は言い忘れていたということです。

 実際、考えてみますと、これの処理を誤ったために失敗した首長も少なくないと思います。最近の例では田中康夫長野県知事の中途挫折の原因の1つがこれだと思います。

 現在の多くの自治体では首長と幹部職員と議会与党とがグルになって市政や県政を食い物にしていると思います。

 このような状況下で首長だけ選挙で代わったからと言って、市や県の政治を根本的に改めるのは難しいと思います。実務はほとんど幹部職員が握っていますし、議会の賛成がなければ条例は通らないからです。

 三上市長の場合は、議会に隠れてどこかと交渉したとか、議会のリコールの手順を調べたとかいったことがあったと伝えられています(同新聞)。これは拙劣な方法だったと思います。

 では、議会で野党が多数である時、改革派首長はどうするべきなのでしょうか。

 私は「正直は最良の政策」を実行するしかないと思います。問題はすべてきちんと調べて発表し、市議会と市民(県民)の意見を聞いて事を進めるということです。市民はその首長を勝たせたわけですから、市民の支持は得られやすいと思います。ともかく無理押しは避けるべきでしょう。

 もちろん首長が自派の議員を増やそうとするのは必要です。そのためには、自分を支持する人々が議会で多数派になるような手段を講じるべきだと思います。そういう準備なしに議会をリコールしてみても、同じ顔ぶれが出てきて、「市長の考えは否定された」となりかねません。

 田中知事の場合は、知事を支持する人達が政党みたいなものを作って選挙で何議席か占めたのではないでしょうか。それが過半数に足りないとすれば、力不足なのですから、力を大きくするという正攻法でやるべきだと思います。

 要するに、政治は国民の姿を映しているだけなのだと思います。ですから、首長から始めるにせよ、政治を変えるためには、首長だけ代えてお終いではなく、そこから、全てを変えるという考えでやっていかなければならないと思います。

 つまり、本当の首長は本当の意味での「教師」でなければならないのだと思います。

 浜松市長の選挙も近づいてきました。まだ、無為無策の現職に対立する候補者は出てきていないようです。そこで、それを選出するルールを提案します。

 第1に、市民派の候補者の「最低の条件」を議論を通して確認する。

 第2に、その上で、「皆に推されるなら出る」という人を募る。

 第3に、現在の行財政改革審議委員の方々にお願いして、「2」で出てきた人々について審査をしていただく。

 第4に、その審査の結果、総合点で1番になった人を自動的に統一候補者とする。

 第5に、この運動に参加した人は、この決定を無条件で受け入れ、選挙では全力で協力する「道義的責任」を負う。

 以上のようなルールで進めるといいと思います。

 以上、議論のための「たたき台」として再度提案します。