平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

わたしたちの教科書 第5話

2007年05月11日 | 学園・青春ドラマ
 加地耕平(伊藤淳史)がふらついている。

 前半の耕平は理想に燃える教師だった。
 副校長に対して「相沢明日香の死に傷ついていますか?傷ついて後悔して死の原因について知りたいと思わないのですか?」「生徒たちは傷ついていないんじゃなくて、何も感じなくなっているんじゃないですか?」と問う。
 珠子(菅野美穂)に対しては「同じ未来を見ている同志だ」と言う。同じ未来とは「もう一度、明日香の笑顔を見てみたい」ということ。明日香の死の原因が明らかにされれば、記憶の中の明日香はもう一度微笑んでくれると耕平は信じている。
 「世界は変えられますか?」と問う明日香に対し、自分が闘って「変えられる」と言いたいと思っている。
 しかし、現実は厳しい。
 仲間の教師からのいじめ。
 生徒たちの拒絶。
 それらに打ちのめされ、耕平は「わからない」と言う。
 正しい学校のあり方とは何なのか?
 正しい生徒、先生とは何なのか?
 現実を前に自分の信じてきたものが揺れる。
 先生と生徒が自分とは違う生き物に見える。
 彼らは別の価値基準を持っているようで、自分が正しいと思ってきたものでは何も共有、共感することが出来ない。
 耕平は揺らぐ。

 そして耕平が変わることになったきっかけの事件。
 ストーカーを「普通にやっている」という男子生徒・兼良(冨浦智嗣)。
 耕平は「つきまとうのはやめよう」と今までのように体当たりをするが、自分が表面的なことしか見ていないことを思い知らされる。
 男子生徒がストーカーしていた相手は生徒の父親の援助交際の相手。だから彼女の動きを追っていた。
 そのことを知った耕平は、自分は表面的なことしか見ていないで突っ走っているだけではないのかと思う。
 男性生徒に言われたこともあり、「2年3組がいじめで相沢明日香を自殺に追いやった」こともうわべだけを見て、勝手にそう思っていたことではないかと思うようになる。
 いじめていると生徒を見たことで、逆に生徒を傷つけて裏切っていたと思うようになる。
 そして副校長の懐柔、明日香の墓に手向けた花、「子供たちをマスコミから、警察から、法廷から守らなくてはならない」という言葉に騙される。

 今回は主人公がマイナスの方に振れてしまった話。
 通常、主人公は「華麗なる一族」の鉄平の様に理想にむかって前進していくものだが、耕平は後退、丸め込まれてしまった。
 視聴者が共感する主人公としては、かなりマイナス。
 おまけに副校長に騙されたことだって、副校長の表面的なことを見て騙されたのだから、兼良くんの教訓が活かされていない。頭が悪い。「おいおい、しっかりしてよ」と言いたくなってしまう。
 今後、共感できなくなってしまった耕平がドラマでどう機能していくかは興味の持たれるところだが、果たしてどうなるか?
 現実をしっかり見据えて闘おうとする珠子の凛とした姿が輝いて見える。
 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« LOST 第45話~49話 | トップ | 生徒諸君! 第4話 »

コメントを投稿

学園・青春ドラマ」カテゴリの最新記事