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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ガリレオ 第1話~科学と宗教をテーマにした秀作

2013年04月16日 | 推理・サスペンスドラマ
 地震学の学者が地震のメカニズムを解明して、防災学の学者が地震対策を練る。
「ガリレオ」の場合は、湯川(福山雅治)が事件を物理学的に解明して、刑事が犯人をつかまえる。
 湯川の興味は、事件の物理学的解明と「僕に言わせれば現象には必ず理由がある。再現性が高い現象は必ず科学的に実証できるはずだ」という彼の考え方を証明すること。
 理性的でクールですね。
 自分の立ち位置を科学者として割り切り、犯人を含めて事件に関わった人達の心の問題には立ち入らない。
 それは刑事の岸谷美砂(吉高由里子)らに任せる。

 しかし、そんな湯川が<心>に立ち入ったシーンがあった。
 それは事件が解決して帰る湯川が、「クアイの会」の子供たちの姿を見た時のこと。
 あの時、湯川は子供たちをじっと見つめていたが、いったい何を考えていたのだろう?
「クアイの会」という場所を失って、競争やいじめのある実社会に投げ出される子供たちの将来に思いを馳せたのか?
「クアイの会」という居場所を自分が奪ってしまったことに罪の意識を感じたのか?
 いずれにしても湯川は事件の謎を解明することで、子供たちや信者たちの人生に関わってしまったのである。
 人は行動すれば、他人や社会に何らかの影響を及ぼす。
 湯川先生がいくら物理学者に徹しようとしても、必ず他人に関与してしまう。

 物理学者は原子力を発見した。
 それを発電や爆弾などに活用するのは他の技術者の役割であり、原爆を落とす落とさないの判断をするのは政治家であるが、物理学者が原子力発電や原爆に責任がないということはない。
 ここに科学者の矛盾と難しさがある。

 それにしても
「今すぐ科学を捨て、日本でいう江戸時代ぐらいの科学技術水準に戻すならば世界人口の9割は死ななくてはなりません。そして生き残った1割の人間の平均寿命は40歳ほどです」
 なのか……。
 ぼくは福島原発事故以来、科学の発展や暴走に懸念を抱いていましたが、しっかり恩恵を受けていたわけですね。
 そして、世界人口の9割が死に、平均寿命40歳の世界に戻っていいとは言い切ることができない。
 簡単に答えを出せないテーマですね。
<科学>と<心の問題>がうまく機能してくれればいいんだけど。
 科学技術が正しい人間の心で制御される世界。
 そんな世界が理想なんだけど。
 そしてそうした<心の問題>を考えるのが、宗教や文学などの役割。

 科学と宗教
 こんなテーマを内包して、今回の第1話、実に面白い。



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2 コメント

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Unknown (高木一優)
2013-04-18 14:30:44
湯川は科学でも証明できないものがあると言いながらも、不思議な現象の解明に望みますね
ただの科学バカでは無いところがこの物語の魅力であると思います
その反面、超能力や幽霊といった超常現象でさえいずれは科学的証明が可能になると信じている湯川がいて、それが信念になっているという二重構造が見えてきます

世界人口の9割が死に、平均寿命40歳の世界
かなり過激な発言ですがドラマのなかだから許されるわけであって、この作品のよさはさりげなくこういう台詞を散りばめているところですね
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二面性 (コウジ)
2013-04-19 07:52:27
高木一優さん

いつもありがとうございます。

おっしゃりとおり、湯川には二面性がありますよね。
物理学者なので基本的には<科学>の立場に立っていますが、絶対的な信奉者ではなく、自分に欠けている人間的な面や感情は、内海薫や今回の岸谷美砂に預けている感じがある。

この二面性が湯川の魅力であり、この作品の魅力なんでしょうね。

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