平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

官僚たちの夏 第1話

2009年07月07日 | 職業ドラマ
 「黒部の太陽」もそうだったのだが、この時代の男たちはたくましくカッコイイ。
 未来のために仕事に取り組み、その姿には色気がある。

★仕事に明確な目標があった時代。
・電気を供給するために黒部にダムを造る。
・産業を復興させるために低価格な国産車を作り、道路を造る。
・そしていずれ自動車を日本の輸出の主力商品にする。
 これらすべてのことが<未来>や<豊かさ>に繋がっていた。 

 ところが現在はどうであろう?
 <未来>が全然見えてこない。将来のビジョンや夢がない。
 それどころか年金、不況など<不安>がいっぱい。
 <豊かさ>は達成されたが、豊かさが満足や喜びに結びつかない。
 <孤独>が溢れている。
 現代はこの作品の時代とは正反対の時代。

★官僚についても同じ。
 主人公・風越信吾(佐藤浩市)に見られるように理想に燃えていた。
 ドラマの中では大蔵省から予算を取るために奮闘する風越の描写があったが、国の予算を使うことがこの国のためになっていた。
 あるいはタンクローリーの担当をめぐって運輸省と争う庭野貴久(堺雅人)の描写があったが、縦割り行政が人々の利益になっていた。

 ところが現在は……。
 官僚は前例主義と保身。
 何のために働いているかと言えば、自らの省庁(仲間)のため。
 縦割り行政は自らの権益を守る縄張り争い以外の何者でもない。
 そして官僚亡国論が唱えられ、霞ヶ関改革、地方分権が選挙の争点になっている。
 現在の官僚はまさにこの作品の官僚達とは正反対。(官僚の中には風越のような人もいると思うが……いると信じたいが……)
 このドラマを見て現在の官僚達は何を考えるのであろうか?
 感想を聞いてみたい。
 
★もうひとつ現在との比較。
 この作品の時代は<官民一体>だったんですね。
 風越の通産省が指導し資金調達をして民に国産車を作らせる。
 官と民が一体となってひとつの目標に向かっていた時代。
 ところが現在は……?
 小泉構造改革では<官の規制緩和><民で出来ることは民で>。
 完全な自由主義。
 この作品の時代とは反対の方向性。

★この作品は現在に欠けているものを思い出させてくれる。
 その作品の時代がすべてよかったとする気はないが、ここから学ぶものはたくさんあるはず。
 おそらくこの作品の製作者たちも同じ思いであろう。
 そんな視点でこの作品を見ていきたい。



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