ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ラスト・ブラッド』

2009-04-23 09:59:16 | 新作映画
(原題=Blood The Last Vampire)

----これって、確か以前、日本でアニメーションになってたヤツだよね。
苦手の押井守関係の作品の中では、すんなり観られたとか言っていなかった?
「よく覚えているね。
それはフルデジタルアニメーション『BLOOD THE LAST VAMPIRE』のこと。
押井守は企画協力。
あれっ。これって何をすることなんだろう?
まあ、いいか。
監督は当時大友克洋原作・脚本『老人Z』で話題となった大久保弘之が務めている。
あのアニメのオモシロさは、
舞台が1966年秋。しかも米空軍横田基地のアメリカンスクール。
そこで三つ網の黒髪、セーラー服の少女・小夜が
“翼手”と呼ばれるVampireと戦うというもの。
驚いたのは、今回もそれを踏襲。
1970年の米空軍関東基地としている。
セットこそアルゼンチンにしてはいるものの、
懐かしい空気が映画を観たして、
おっ、これはいけるかなと思ったんだけど、
次第に、どこかで観たような感じに収斂してきたのが残念」

----どういうこと?
時代が変わっちゃうの?
「いや。そうじゃないんだけど。
ラスボスであるオニゲン(小雪)がいる場所が
山奥の温泉ホテルという設定。
ところが、ここが
少し『ラストサムライ』に出てきたようなイメージ。
主人公サヤ(チョン・ジヒョン)の村も雲南省で撮影したということのようだけど、
西洋人の日本の田舎に対するイメージって、あんな感じなのかな」

----ちょ、ちょっと待って。
それってキャスティング、おかしくニャい?
なんで主人公を日本人がやらないの?
まるでだ。
「さあ、どうなんだろう。
世界的セールスをにらんでか、
それとも役に見合った俳優がいないからか。
ぼくは宮崎あおいの線もあったと思うけどね。
さて、お話は、400年にわたる人類とオニの戦いの中で、
父親をそのボス、オニゲンに殺されたサヤが
かたき討ちをするために、
日々、オニを叩き斬るというもの。
カウンシル(組織)の命を受けて基地内の高校に潜入した彼女は、
将軍の娘アリス(アリソン・ミラー)を助け出す。
ところが将軍は殺され、
アリスはサヤと行動を共に。
軍用トラックでオニゲンの元へ向かう途中、現れるオニ。
このシーンは『アンダーワールド:エボリューション』
そっくりなシーンがあったな。
そうそう、アリスということで『ミラーズ』じゃないけど、
鏡の裏の世界というのも出てくる」

----そういえば倉田保昭も出ているよね
「うん。アクション・シーンは、
いかにもワイヤーと映像の処理でカバーしたといういう感じのラスボスとの対決よりも、
倉田保昭がらみのシーンの方が見ごたえあった。
アクション監督はコーリー・ユン
彼は『レッドクリフ PartI』でもアクション監督を務めている。
あっ、監督はクリス・ナオン
ぼくはこの人の『キス・オブ・ザ・ドラゴン』は好きだったけど、
今回の見どころはアクションよりも、
やはりさっき話した79年の東京の造型かなあ」



           (byえいwithフォーン)



フォーンの一言「チョン・ジヒョン好きだけど、日本人でも観たかったニャ」複雑だニャ

※丸ノ内線の終点が浅草というのはあれれだ度

コトリ・ロゴお花屋さん ブーケ、アレンジメントetc…

人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー



最新の画像もっと見る

10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
押井版もあったのですね (よろ川長TOM)
2009-04-23 11:09:49
私は2005年に放映されたテレビアニメ『BLOOD+』しか知りませんでしたが、そっちが良い出来でしたので今回の企画には驚きました。
いや、チョン・ジヒョン嬢も小雪嬢も好きですけどね。
ウィキによるといずれも世界観や設定は共通しているようですが、『BLOOD+』ではショートヘアで華奢なサヤがでかい刀を振るうギャップがビジュアル的にも良かったので…。

ちなみにテレビシリーズは尺の長さを活かして、過去の記憶を失ったサヤが謎の男ハジによって目醒め(使い古された手法ですが)翼手とその背後に潜む者たちと戦いながら沖縄・ベトナム・露仏米と世界を巡り、やがて自分の出生の秘密と対峙してゆく作りとなってました。

なかでもベトナム戦争時に記憶を失った彼女を保護した米兵が義父となって沖縄で暮らすようになり、それによって縁ができた二人の義兄弟たちとの最終話に至る物語は双子の実の妹との因果関係とも絡み合って素晴らしい出来だったので、一年の長いシリーズではありますが、えいさんにも機会があればあらすじだけでもご覧頂けたらと思います。
押井版にも今回の作品にもハジは登場しないようですが、遙かな過去に遡る彼とのエピソードも哀しくも美しく、それだけでも一本の映画ができると思います。

また、サヤの血液そのものにも意味があり、『ゴジラvsビオランテ』のようにバイオテクノロジー時代を反映した背景にも骨太な設定が見え隠れし、SFとしてもかなり濃い内容でした。
返信する
■よろ川長TOMさん (えい)
2009-04-23 22:34:31
こんばんは。

ぼくのほうは、
あの押井守版にそんな番外編(?)があったことなど
まったく知りませんでした。。
『+』というのがポイントなのかなと、
ちょっと調べてみると(と言ってもプレスでですが)
その両者の間には
押井守の書き下ろし小説『獣たちの夜 BLOOD THE LAST VAMPIRE』(2000)、
そして玉置勉強原作の漫画『BLOOD THE LAST VAMPIRE 2000』(2001)、
さらに小説がまたまた2001年に2冊、
これは『闇を吸う血 BLOOD THE LAST VAMPIRE』
『上海儚夢 BLOOD THE LAST VAMPIRE』で、
『BLOOD+』と2000年プレイステーション2版のゲームの監督を務めた藤咲淳一という人の手がけたもの。
ちなみにプレステはポータブル版が2006年に出ているとか…。
いやあ、スゴいメディアミックスですね。

で、『BLOOD+』ですが、
これは「オリジナルとは異なる、もう一つの世界」と書いてありました。
ですから、押井守版のにも本劇場映画にも
ハジは出てこないのでしょう。
なお、ここからも、コミカライズ、ノべライズ、ゲームが多数派生しているようです。

しかし『ゴジラvsビオランテ』ですか。
こちらのバージョンは大森一樹が映画化したり…。
ありえないですね。
返信する
TVアニメ版 (ともや)
2009-05-23 13:39:21
こんにちは、えいさん♪
よろ川長TOMさんも絶賛してますが、TVアニメ版の「BLOOD+」も面白いですよ♪
絵柄は劇場アニメ版の「時をかける少女」っぽい感じなんですが、なかなかハードな展開で楽しめました。
全50話ですけど、お暇があったら是非♪

ちなみにこの作品ですけど、チョン・ジヒョンがかなり流暢な日本語を話しているのにビックリ。
倉田さんからイントネーションの指導とかしてもらったみたいですけどね♪
返信する
■ともやさん (えい)
2009-05-23 17:12:30
おおっ。
TVアニメ版、評価高いですね。
DVD探してみようかな。
でも、50話はちょっと。

チョン・ジヒョンの日本語ですか。
どうなんだろう?
ぼくが観たとき、
「ラストは吹き替えバージョン」みたいな
説明があったようだったけど…。
聞き間違いかな。
そのせいか、小雪の声も吹き替えという印象でしたが…。
返信する
欧米人ではアカン (にゃむばなな)
2009-05-30 16:21:43
やはり欧米人にはまだまだジャパニメーションの真髄が理解できないんでしょうかね?

偏った知識が満載すぎて、本当にオリジナル作品に対して失礼極まりない映画でしたよ。
返信する
■にゃむばななさん (えい)
2009-06-01 23:12:07
こんばんは。

ぼくは、あまりジャパニメーションについては詳しくはないのですが、
あんぜか、この手のハリウッド・リメイクは力が抜かれている気がします。
最近観た『スター・トレック』なんか、
ほんとリキ入っていました。
返信する
Unknown (たいむ)
2009-06-03 19:39:40
えいさん、こんにちは。
私だったら宮崎あおいより蒼井優かなーって(笑)

アリスって名前の娘が登場すると大抵ミラーワールドだったり、ウサギだったりが出てきますよね(^^;

私も「BLOOD+」を見ていたクチなので、脱力感がひとしおですけど、小雪は美しいなーって思うのでした。
返信する
■たいむさん (えい)
2009-06-04 23:00:28
こんばんは。

蒼井優ときましたか!?
じゃあ、これはどうだ。
鈴木杏。
ふてりともアリス繋がり。
そう『花とアリス』。

でも本音を言えば、
『スケバン刑事』の頃の南野陽子にやってほしかったなあ。
返信する
こんばんは (ノラネコ)
2009-06-06 00:11:55
正直、私は元のアニメもリメイクするほどの作品じゃないと思っていました。
確かに世界観のユニークさとセーラー服のヴァンパイアハンターというミスマッチの面白さはあるのですが、ぶっちゃけただそれだけ。
テーマ性も薄いし、ただ主人公のバックグラウンドを引き伸ばしただけで、倍の上映時間はやはりちょっと厳しかったですね。
いっそのこと、全部米軍基地とその周辺だけの話にした方が、ずっとコンパクトに締まった話に出来たのではないかと思います。
ラストを別世界にするなら、ベースの話はどこでも成立するはずですしね。

返信する
■ノラネコさん (えい)
2009-06-06 22:02:56
こんばんは。

ぼくは当時、このアニメと前後して『人狼』を観たのですが、
そちらがまったく受け付けず、
その分、こちらの株が上がったのでした。
いま考えてみると、
あれは「短編」だったということも大きいのかな。
この映画は、
オリジナルの特徴であるコンパクトさ、
そこから生まれるタイトな緊張感が消えて
長く引き伸ばされた冗長な作品となってたのが残念でした。
無理して長編にしたのは、
ぼくも失敗だったという気がします。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。