----あれっ。この映画、
絶対にえいが好きそうだと思ったのに、
どうしたの?
「いやあ。もう聞いてよ。
今日はとても楽しみにして映画館に行ったのに、
始まって10分ぐらい経った頃、
そう、そよが早知子(宮澤砂耶)の下着を洗っているあたりから、
少し年配の女性集団が騒ぎながら出現。
『おばあちゃん、こっちこっち』とでかい声。
席についてからも『だから、あのトイレが…』『お昼に食べたあれが…』。
もう、ピクニック状態(涙)。
声はまったく聞き取れないし(涙)」
----で、どうしたのニャ?
「心はわさわさ。
落ち着かない。
注意したい。でも注意したら後がばつが悪い。
しかし声は止まないどころか、さらに大きくなる。
前の席の人も振り返って迷惑そう。
とっさに席を立って注意してしまったね。
おかげで心を持ち直すのに時間がかかって
前半の右田そよ(夏帆)の大沢広海(岡田将生)に対する
微妙な心の変化がよくつかめなかったね。
悔しいのはそれがあの『スタンド・バイ・ミー』を思わせる
線路から海までと続く重要なシーンだったこと」
----あらら。それじゃあ台無しだ。
この映画については語れないね。
「でも、それでも
いつしかそのことを忘れさせてくれたんだから
やはりこれは力のある映画だと思うよ。
まず何が素晴らしかったかって、この映画にはある種の品格があるんだ」
----品格?
「うん。
キャメラは地面に垂直に構えられ、地面はスクリーンを水平に横切る。
それは一種の安定感と言い換えてもいいかな。
だから、これほどのバタバタがぼくの回りであったにもかかわらず
映画の中にス~ッと、自分が取り込まれていく」
----ふうむ。分かったような分からないような。
「物語は、くらもちふさこが作ったものだし、
もともとそれについてはあまり言うつもりはなかったしね。
もちろん、
そよが友だちを傷つけてしまったことに、
後で気づいたり、広海に教えられて反省したりという、
心の機微の描写は素晴らしいし、
膀胱炎になった早知子が
彼女のことを心配して駆けつけたそよに抱きつくシーンなどは、
思わず涙が出そうになったけどね。
そうそう、そういう意味ではキャスティングが最高だったね。
田浦伊吹を演じる柳英里沙、山村篤子を演じる藤村聖子のふたりは、
田舎っぽくなりすぎない、
その微妙なさじ加減が素晴らしかった。
そよとシゲちゃん(廣末哲万)との関係を進めようとするところなんか、
勘違いの善意という皮肉がよく出ていた。
あっ、それと先生たちもよかったね。
特に女性の先生たち。
地元の劇団の人なのかなあ
いったいだれがやっているんだろう?
修学旅行のシーンの彼女らは秀逸だったね」
----でも有名な人も出ているんだよね?
「佐藤浩市、それに夏川結衣ね。
もちろん彼らもよかったし、
あと<猫>たちも演技していたよ」
----そんなことできるの?
「うん。シッポでリズム取っていた(笑)。
でもぼくは、やはりこのキャメラだな。
教室に挨拶し別れを告げるそよを写していたキャメラが
出て行く彼女を見送った後、
室内を移動しながら窓に近づくと、
そこには別の日のそよがいる。
もうドキドキしたね」
----あれっ、えいの顔、
最初とは違ってきたね。
とてもいやなことがあったとは思えニャい。
「だから、これが映画の力だって。
いつまでもこの時間が続いて終わらないでほしいと思う、
幸せな映画。
でも、
ほんとうは映画って一期一会だと思うし、
最初の出会い方が肝心ではあるんだけどね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「マナーは守るのニャ」
※こりゃケッコーだ度
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☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)
絶対にえいが好きそうだと思ったのに、
どうしたの?
「いやあ。もう聞いてよ。
今日はとても楽しみにして映画館に行ったのに、
始まって10分ぐらい経った頃、
そう、そよが早知子(宮澤砂耶)の下着を洗っているあたりから、
少し年配の女性集団が騒ぎながら出現。
『おばあちゃん、こっちこっち』とでかい声。
席についてからも『だから、あのトイレが…』『お昼に食べたあれが…』。
もう、ピクニック状態(涙)。
声はまったく聞き取れないし(涙)」
----で、どうしたのニャ?
「心はわさわさ。
落ち着かない。
注意したい。でも注意したら後がばつが悪い。
しかし声は止まないどころか、さらに大きくなる。
前の席の人も振り返って迷惑そう。
とっさに席を立って注意してしまったね。
おかげで心を持ち直すのに時間がかかって
前半の右田そよ(夏帆)の大沢広海(岡田将生)に対する
微妙な心の変化がよくつかめなかったね。
悔しいのはそれがあの『スタンド・バイ・ミー』を思わせる
線路から海までと続く重要なシーンだったこと」
----あらら。それじゃあ台無しだ。
この映画については語れないね。
「でも、それでも
いつしかそのことを忘れさせてくれたんだから
やはりこれは力のある映画だと思うよ。
まず何が素晴らしかったかって、この映画にはある種の品格があるんだ」
----品格?
「うん。
キャメラは地面に垂直に構えられ、地面はスクリーンを水平に横切る。
それは一種の安定感と言い換えてもいいかな。
だから、これほどのバタバタがぼくの回りであったにもかかわらず
映画の中にス~ッと、自分が取り込まれていく」
----ふうむ。分かったような分からないような。
「物語は、くらもちふさこが作ったものだし、
もともとそれについてはあまり言うつもりはなかったしね。
もちろん、
そよが友だちを傷つけてしまったことに、
後で気づいたり、広海に教えられて反省したりという、
心の機微の描写は素晴らしいし、
膀胱炎になった早知子が
彼女のことを心配して駆けつけたそよに抱きつくシーンなどは、
思わず涙が出そうになったけどね。
そうそう、そういう意味ではキャスティングが最高だったね。
田浦伊吹を演じる柳英里沙、山村篤子を演じる藤村聖子のふたりは、
田舎っぽくなりすぎない、
その微妙なさじ加減が素晴らしかった。
そよとシゲちゃん(廣末哲万)との関係を進めようとするところなんか、
勘違いの善意という皮肉がよく出ていた。
あっ、それと先生たちもよかったね。
特に女性の先生たち。
地元の劇団の人なのかなあ
いったいだれがやっているんだろう?
修学旅行のシーンの彼女らは秀逸だったね」
----でも有名な人も出ているんだよね?
「佐藤浩市、それに夏川結衣ね。
もちろん彼らもよかったし、
あと<猫>たちも演技していたよ」
----そんなことできるの?
「うん。シッポでリズム取っていた(笑)。
でもぼくは、やはりこのキャメラだな。
教室に挨拶し別れを告げるそよを写していたキャメラが
出て行く彼女を見送った後、
室内を移動しながら窓に近づくと、
そこには別の日のそよがいる。
もうドキドキしたね」
----あれっ、えいの顔、
最初とは違ってきたね。
とてもいやなことがあったとは思えニャい。
「だから、これが映画の力だって。
いつまでもこの時間が続いて終わらないでほしいと思う、
幸せな映画。
でも、
ほんとうは映画って一期一会だと思うし、
最初の出会い方が肝心ではあるんだけどね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「マナーは守るのニャ」
※こりゃケッコーだ度
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マナーのよろしくない人たちに遭遇したのは残念でした。
でも、挽回できてよかったですね。
ホント、ほんわかしているのに力のある映画ですよね。
山下作品のカメラの水平移動は大好きですー
今回は残念でしたね~。
マナーの悪いおばさんいますもんね。。
注意したらしたでこっちの気分が悪くなるし
ほんとマナーは守ってもらいたいです。
カメラのことなんか全く分からなかったのですけど
言われてみたら確かにそうだったかも?って思いました。
地に足が着いているというか安心感がありましたね。
キャスティングもバッチリだったし観終わった後も
心地よい余韻に浸れました♪
そうそう。このゆったりとしたキャメラ移動は
観ていて心地いいです。
そういえば、場面転換はほとんどフェイドアウトでしたね。
マナーで、あと気になってしょうがないのが
携帯のメールチェックです。
あと、少しの時間がそんなに待てないのかな?
あるときなんて、
隣りの人がメールを打ち始めてたことも。
文明の利器(この言葉も古い)も
こうなると困りモノです。
前半部分 お気の毒でした。 でも ぜひ劇場でリピートなさってください。 それだけ価値のある映画ですもん♪
私も 猫の尻尾がリズムをとってたことには 気づきましたよん♪ 猫好きじゃないと 気がつかないかもしれませんね(笑)
TBさせていただきます 私の感想も読んでいただけると幸いです。
ぼくもこの映画は「価値ある作品」だと思います。
ビデオやDVDでは味わえない映画の時間を
堪能できる作品でした。
言われてみれば、そうですね、
淡々と進行するわりには、眠くならずに
安定感というか、引き込まれる感覚がありました。
もう一度チェックしてみたくなりました。
そうなんです。
この映画、一見、淡々と進むようでいて、
そこにはしっかりした
作者独自のリズムが刻まれている。
やはり映画は語り口だなと
改めて感じました。