(原題:La migliore offerta)
----この『鑑定士と顔のない依頼人』って、
人気の高いジュゼッペ・トルナトーレ監督の作品だよね。
「そうだね。
日本では『ニュー・シネマ・パラダイス』が異常なほど人気が高いものね。
フォーンは知っていると思うけど、
あの映画、ぼくは日本で最初に公開された<海外版>はあまり好きじゃない。
なにやら<映画への愛>が最後に取ってつけたようで…」
----でも確か<完全版>を観て納得したって。
「そう。
<完全版>には、
<海外版>ではカットされていた
主人公と初恋の人との再会が切々と描かれている。
そこを観て、ようやくぼくはあのラストに納得。
<海外版>では、
ラストの名シーンの繋ぎが
なぜキス・シーンなのか、
その必然性が皆目分らない」
----でも、なぜそんな<短縮版>が生まれたの?
「これはね。
カンヌ映画祭に出品するには
最初のヴァージョンでは長すぎる、
そういう判断から。
今回『鑑定士と顔のない依頼人』を観て、
本来、トルナトーレ監督という人は
映画の長さなど気にせず語りたいことをきっちり語る、
ストーリーテリングに秀でた作家だと再確認したね。
ということで、物語を…。
主人公は
天才的鑑定眼を持つ一流オークショニアのヴァ―ジル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)。
世界中の一流オークションからオファーが絶えない彼だが、
実は人には言えない<ある秘密>があった。
女性肖像画のコレクションを趣味に持つ彼は、
長年のパートナーである画家ビリー(ドナルド・サザーランド)と組んでオークションに罠を仕掛け、
名画を格安で落札できるように仕向けていたのだ。
そんなある日、彼の元に、
資産家の両親が亡くなり、
屋敷に遺された絵画や家具を査定してほしいという
若い女性クレア(シルヴィア・ホークス)からの依頼がくる。
ところが、依頼人は嘘の口実を重ねて決してその姿を現さない。
ヴァ―ジルは彼女に不審を抱きながらも断ることができない。
なぜならその屋敷の床に、
もしそれが本物なら歴史的発見となる、
ある美術品の“一部”が転がっていたからだ。
彼は、修理店のロバート(ジム・スタージェス)に、
部品を調べてくれるように頼みこむ。
ロバートは、
かつてジュール・ヴェルヌの“妻の髪を乾かしたドライヤー”をも
部品から再現したことがある美術品修復の天才。
人間嫌いのヴァ―ジルが信頼を寄せる数少ない一人でもあった」
----ふむふむ。
これはロバートとやらが
物語に大きく関わってきそうだニャ。
「さあ、どうだろう(笑)。
契約書を取り交わす段階になっても姿を現さないクレアに業を煮やしたヴァ―ジルは、
使用人に金を握らせて、クレアについての情報を聞きだす。
年は27歳。11年間の勤務中、なんと彼は一度もクレアに会ったことがないと言う。
数日後、どうにかクレアとの扉越しの対面に漕ぎつけたヴァ―ジルは、
彼女が広場恐怖症であることを知る。
以来、クレアに心惹かれるようになった彼は、
ある日、帰ったふりをして彫像の陰に潜み、
ついにクレアの姿をその目にするのだった…」
----いやあ。
なんかすごい話だニャあ。
でも、これバレたら大変だよ。
「そうなんだ。
このあたりで、観る方はすっかりこのドラマに引き込まれてしまう。
自分がヴァ―ジルになったようにドキドキ。
だって、観客もヴァ―ジル同様、まだ彼女の姿を観ていないわけだから。
そしてそこに現れたのは
“デューラーのエッチングのように蒼白な顔”のクレア。
一目観た瞬間、ヴァ―ジルと同じく観客も彼女に恋せざるをえなくなる。
実はこの後、ロバートもクレアの姿を隠れて覗き見。
それからほどなく、
彼女は屋敷から姿を消してしまう」
----ほらきた。
それって、もしかして…。
「さあ、フォーンの考えていることは当たっているかどうか?
先ほど“ストーリーテリング”と言う言葉を使ったけど、
実は、話の構成自体はミステリーでありながらも、
タネを明かせば意外と単純。
これまでにもよくあったタイプのミステリー映画の変形とも言える。
しかし、それでもいつしか話の中に入り込んでしまうのは、
トルナトーレ監督の語り口ゆえん。
主人公のヴァ―ジルの目線に観客を立たせることで
彼の気持ちに同化させるんだね。
だから、そのオチにツッコミどころがあったとしても、
それについて目くじら立てる気にはならなくなる。
心地よくダマされ、『映画を観た』という満足感で席を立てるんだ。
この映画、観る前に、
『今年観たなかでのベスト』と言って勧めてくれた人がいたけど、
その気持ちもよく分かるな。
だってもう一回、観たいもの」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「音楽はエンニオ・モリコーネなのニャ」
※映画に酔うとはこういうことだ度
こちらのお花屋さんもよろしく。
こちらは噂のtwitter。
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※画像はオリジナル・ポスター。
----この『鑑定士と顔のない依頼人』って、
人気の高いジュゼッペ・トルナトーレ監督の作品だよね。
「そうだね。
日本では『ニュー・シネマ・パラダイス』が異常なほど人気が高いものね。
フォーンは知っていると思うけど、
あの映画、ぼくは日本で最初に公開された<海外版>はあまり好きじゃない。
なにやら<映画への愛>が最後に取ってつけたようで…」
----でも確か<完全版>を観て納得したって。
「そう。
<完全版>には、
<海外版>ではカットされていた
主人公と初恋の人との再会が切々と描かれている。
そこを観て、ようやくぼくはあのラストに納得。
<海外版>では、
ラストの名シーンの繋ぎが
なぜキス・シーンなのか、
その必然性が皆目分らない」
----でも、なぜそんな<短縮版>が生まれたの?
「これはね。
カンヌ映画祭に出品するには
最初のヴァージョンでは長すぎる、
そういう判断から。
今回『鑑定士と顔のない依頼人』を観て、
本来、トルナトーレ監督という人は
映画の長さなど気にせず語りたいことをきっちり語る、
ストーリーテリングに秀でた作家だと再確認したね。
ということで、物語を…。
主人公は
天才的鑑定眼を持つ一流オークショニアのヴァ―ジル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)。
世界中の一流オークションからオファーが絶えない彼だが、
実は人には言えない<ある秘密>があった。
女性肖像画のコレクションを趣味に持つ彼は、
長年のパートナーである画家ビリー(ドナルド・サザーランド)と組んでオークションに罠を仕掛け、
名画を格安で落札できるように仕向けていたのだ。
そんなある日、彼の元に、
資産家の両親が亡くなり、
屋敷に遺された絵画や家具を査定してほしいという
若い女性クレア(シルヴィア・ホークス)からの依頼がくる。
ところが、依頼人は嘘の口実を重ねて決してその姿を現さない。
ヴァ―ジルは彼女に不審を抱きながらも断ることができない。
なぜならその屋敷の床に、
もしそれが本物なら歴史的発見となる、
ある美術品の“一部”が転がっていたからだ。
彼は、修理店のロバート(ジム・スタージェス)に、
部品を調べてくれるように頼みこむ。
ロバートは、
かつてジュール・ヴェルヌの“妻の髪を乾かしたドライヤー”をも
部品から再現したことがある美術品修復の天才。
人間嫌いのヴァ―ジルが信頼を寄せる数少ない一人でもあった」
----ふむふむ。
これはロバートとやらが
物語に大きく関わってきそうだニャ。
「さあ、どうだろう(笑)。
契約書を取り交わす段階になっても姿を現さないクレアに業を煮やしたヴァ―ジルは、
使用人に金を握らせて、クレアについての情報を聞きだす。
年は27歳。11年間の勤務中、なんと彼は一度もクレアに会ったことがないと言う。
数日後、どうにかクレアとの扉越しの対面に漕ぎつけたヴァ―ジルは、
彼女が広場恐怖症であることを知る。
以来、クレアに心惹かれるようになった彼は、
ある日、帰ったふりをして彫像の陰に潜み、
ついにクレアの姿をその目にするのだった…」
----いやあ。
なんかすごい話だニャあ。
でも、これバレたら大変だよ。
「そうなんだ。
このあたりで、観る方はすっかりこのドラマに引き込まれてしまう。
自分がヴァ―ジルになったようにドキドキ。
だって、観客もヴァ―ジル同様、まだ彼女の姿を観ていないわけだから。
そしてそこに現れたのは
“デューラーのエッチングのように蒼白な顔”のクレア。
一目観た瞬間、ヴァ―ジルと同じく観客も彼女に恋せざるをえなくなる。
実はこの後、ロバートもクレアの姿を隠れて覗き見。
それからほどなく、
彼女は屋敷から姿を消してしまう」
----ほらきた。
それって、もしかして…。
「さあ、フォーンの考えていることは当たっているかどうか?
先ほど“ストーリーテリング”と言う言葉を使ったけど、
実は、話の構成自体はミステリーでありながらも、
タネを明かせば意外と単純。
これまでにもよくあったタイプのミステリー映画の変形とも言える。
しかし、それでもいつしか話の中に入り込んでしまうのは、
トルナトーレ監督の語り口ゆえん。
主人公のヴァ―ジルの目線に観客を立たせることで
彼の気持ちに同化させるんだね。
だから、そのオチにツッコミどころがあったとしても、
それについて目くじら立てる気にはならなくなる。
心地よくダマされ、『映画を観た』という満足感で席を立てるんだ。
この映画、観る前に、
『今年観たなかでのベスト』と言って勧めてくれた人がいたけど、
その気持ちもよく分かるな。
だってもう一回、観たいもの」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「音楽はエンニオ・モリコーネなのニャ」
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※画像はオリジナル・ポスター。
伏線の撒き方が巧妙です。何より、ジェフリー・ラッシュのキャラクター自体がまた伏線でもあるのですね。
これがオリジナル脚本とは。トルナトーレ監督、ミステリーでもいけるじゃないですか。
今年1年いろいろありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。 m(_ _)m
こちらこそお世話になりました。
そう、トルナトーレ監督、ミステリー、いけますね。
ていうか、もとより映画好きの監督ですし、
いろんなジャンルに挑戦してほしいです。
早く「『ニュー・シネマ・パラダイス』の~」という
修飾語が付かないようになってほしいです。
そして私は二度目,観にいってしまいました。
そしてあちこちに仕掛けられていた伏線やキーパーソンを
あらためて確認して面白かったです。
トルナトーレ監督作品の中ではこれが一番好きかも。
ところでうちの猫もこの1月末に亡くなりました。
慢性腎不全で気づいたときには手遅れで
1週間ほど毎日病院通いをしましたが駄目でした。
いまごろはフォーンちゃんとお空で出会っているかな・・・
やっと最近辛さが和らいできたところです。
忘れることなんて決してできませんが・・・・
お返事が遅くなってすみません。
ななさんところの猫さん、
腎不全だったんですか…。
フォーンも、一昨年、腎不全の診断を受け、
PHコントロールからキドニーケアの療養食に切り替え、
昨年の血液検査では
よくなっているとの診断だったので、
まさか、こんなことになっていようとは
思ってもいなかったです。
自分の暮らした猫が亡くなるのはこれで
みゃん茶に続き二回目ですが
ななさんのおっしゃるとおり、
みゃん茶もフォーンも、お空にいると固く信じています。
ということは、いつかは彼らに会えると…。
そう信じていれば、悲しみも少しは和らぐような…。
でも、やはり時折、思い出しては
ふさぎこんじゃうんですよね。