ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『きみの友だち』

2008-06-03 22:50:47 | 新作映画
----これって前に観に行ったとき
満員で入れなかった作品だよね。
「うん。前評判が高いんだろうなとは思っていたけど、
これは予想を遥かに上回る素晴らしい映画だったね。
泣ける映画がいい映画とは言わないけど、
タイトルバックから最後までずっと熱いものが込み上げて…」

----タイトルバックから…
それって早すぎニャい?
「そう。この廣木隆一って監督、
とにかく音楽の使い方が巧い。
アンテナを常に鋭敏に張りめぐらせているんだろうね。
『800 TWO LAP RUNNERS』『君といつまでも』
『ヴァイブレーター』……いつもサントラが欲しくなってしまう」

----今度はだれの曲?
「ここというときに、
そっとシーンに寄り添うように流れるのは
女の子3人のエレクトロ・ボーカル・グループ、
オ・ルヴォワール・シモーヌ。」

----ふうん。よく知らないニャあ。
確か、予告とかでは
「たとえいなくなったとしても、
一生忘れない友だちが、一人、いればいい」と言っているよね。
「そう。主人公の恵美は
“みんな”という言葉を嫌うんだ。
そう、彼女にとっては“たいせつな人が一人いればいい”」

----どうして、彼女はそうなったの?
「じゃあ、少しストーリーを説明しよう。
物語はフリースクールで子供たちに絵を教えている恵美(石橋杏奈)を
駆け出しのジャーナリスト中原(福士誠治)が訪ねてくるところから始まる。
『“みんなのために”取材を…』と言う彼の言葉を拒否し、
彼女は自分の『友だち』について語り始める。
交通事故の後遺症で片足が不自由になったことがきっかけで
周囲に壁を作って生きてきた恵美。
幼い頃から体が弱く、学校を休みがちなおっとりとした由香(北浦愛)。
クラスで浮いてしまいがちな二人は、
ある日をきっかけにかけがえのない絆を深めて行く…。
という形で以後、映画は恵美を中心に語られていく。
というのも由香はほとんど病室か入院で外の世界を知らないんだ。
そんな恵美の周りに次々と、人間関係に悩みを持った人たちが現れる」

----ふうん。よくある友情もののような気がするけど?
「いや、廣木隆一監督作品、
特に彼の青春映画の素晴らしさは、
一見“青春”を描いているように見えて、
実は“命”そのものをフィルムに収めているところ。
自分の思うように人生を動かしたくても、
その前にはまた別の“命”の思惑があり、
愛も友情も彼らの思った通りにはいかない。
そこで人は傷つき悩むわけだけど、
しかし廣木監督の手にかかれば、それこそが生きているあかし。
命のきらめきとして、一瞬パッと輝く。
『800 TWO LAP RUNNERS』しかり
『恋する日曜日 私。恋した』しかり。
この人の映画を観ていると、
いつもぼくは
生きていることの不思議さ、そして出会いの奇跡を感じずにはいられない。
風やせせらぎ、虫の声。そして雲。
自然界のすべてが命を慈しみ包み込む至福のラスト。
いやあ、たまらない作品だったね。
おいおい、フォーン、ちゃんと聞いているのかよ」

-----ZZZ……。

(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「いろいろ言ってるけど、えいは、ただ涙もろいだけなのニャ」もう寝る

※“もこもこ雲”だ度

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