ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『神の左手 悪魔の右手」

2006-06-01 21:19:17 | 新作映画
※「我が左の手は、正しき者を蘇らせる神の左手。
我が右の手は、悪しき者を滅ぼす悪魔の右の手…」


----これは梅図かずおの原作だよね。
監督が金子修介なんだって?
「うん。最初は那須博之がやる予定だったらしい。
ところが急逝してしまったからね。
そこで那須監督の助監督時代からの後輩であり、
深い親交があった金子監督が引き継いだわけだ。
映画の冒頭にも『映画監督 那須博之に捧ぐ」とクレジットされる」

----あっ、だから山本奈津子なんて懐かしい人が出ているんだ。
確か『セーラー服百合族』のヒロインだよね。
「また、スゴいところから入ってきたね(笑)。
彼女は、山辺イズミと山辺ソウ、
ふたりの姉弟の母親役。
“人間の悪意を夢で予知する”不思議な力を持つことから、
苦しみに苛まされながらも悪を滅ぼすために奔走する少年ソウ。
そして彼を優しく見守り弟を助けたいと願う姉イズミ。
今回の映画化では、コミックの中でも人気の高い
『黒い絵本』のエピソードが中心となっているらしい」

----「なっているらしい」って、知らないの?
「読んだのがずいぶん昔だからね(汗)。
脚本の松枝佳紀によると
そこに『影亡者』『錆びたハサミ』などの要素を入れたらしい」

----松枝佳紀って人、初めて聞くなあ。
「もともとは劇団アロッタファジャイナの主催・脚本・演出家。
彼の芝居を下北沢に観にきた那須博之がスカウトしたとか。
那須監督亡き後、止まりかけていた企画を
金子監督に持ち込んだのも彼らしい」

----なるほど。それじゃ脚本のウェイトも大きそうだ。
「原作との詳細な比較は今はできないけど、
なかなか凝った構成になっている。
ソウの見る夢。
それはひとりの女性が殺人鬼に襲われる夢。
ところが映画はそこから
その殺人に酷似した物語の絵本を自ら書く父親と、
それを聞くのを楽しみにしている寝たきりの娘モモの話になってくる。
この父親と言うのが田口トモロヲがやっているんだけど、
まるで『赤ずきんちゃん』のオオカミそっくりの表情。
このエピソードの持つメルヘン的な怖さを見事に体現していたね。
オーバーアクトが許されるこの演技、
彼もやりがいあったんじゃないかな。
そうそうモモを演じるのは『誰も知らない』の清水萌々子」

----ふうん。キャスティングもオモシロいね。
「うん。
那須監督はリメイク版『テキサス・チェーンソー』を引き合いに出して
『Jホラーじゃない、こういうソリッドなホラーをやりたい』と言っていたらしいけど、
その意図は充分生かされているんじゃないかな。
そうそう原作者の楳図かずおも出ているよ」


          (byえいwithフォーン)

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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (mig)
2006-06-06 02:23:37
えいさん、こんにちは。



観られたんですねー



「デスノート」の監督ですよね。

楳図マンガは大好きでまさかこれまで映画化とは、、と思いながらいつも映画化は成功したためしがないので

期待せずに観ようと思ってます。

「黒い絵本」は好きなエピソード☆

観てからまたえいさんおレビュー、読ませていただきます。
返信する
金子修介といえば (そーれ)
2006-07-26 01:42:55
頭に浮かぶのは、まだ大ヒット中の「デスノート」

コミック繋がりだし、同時期の上映だから何か関係ある事やるかなぁ?って期待して観にいきました。

原作のエピソードは黒い絵本、デスノートも黒いノート(本)。なんか似ている。

「神の左手 悪魔の右手」の原作に出てくる黒い絵本は厚紙を使った分厚い装丁で、背表紙に「ぱぱの絵本」だかなんだか書かれていたように思うんですが、映画で出てくるのは黒いノートでしたよね。

ひょっとしたら意識してそう変えたんでしょうか。

モモの枕元には大量のデスノートが(笑)
返信する
■そーれさん (えい)
2006-07-26 23:41:57
こんばんは。



なるほど「ノート」繋がりですか?



梅図かずおとか江戸川乱歩とか、

個性の強い作家は、

みんなそれぞれのイメージができ上がっているので、

おのずと評価が厳しくなってしまう傾向がありそうです。

もし、原作を知らなかったら、

これはこれで楽しめたのかも?という気もしています。
返信する
こちらにも。 (隣の評論家)
2006-08-10 20:45:32
えいさん、こんばんわ。

原作も未読の状態で観ました。聞こえてくる評判はイマイチな感じだったのですが、私は結構楽しみました。殺戮シーンへの突っ込みというのもわかるけれど、話は面白かったと素直に感じましたです。

えいさんの記事を拝見し、原作ではなく製作時の裏話等を知ったので。とても参考になりましたです。

アミューズCQN。水曜日はサービス・デイという理由もあるとは思いますが。昼間っから『ゆれる』は大盛況だったようでしたよー。何だか嬉しいですねー。
返信する
■隣の評論家さん (えい)
2006-08-11 01:41:24
こんばんは。



ぼくは原作を読んだのが遠い昔なので、

そちらはほとんど覚えていません。

でもそれがかえってよかったのかな?----などと、

原作ものラッシュの現況を見るにつれ、

考え込んでしまいます。
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