(英題:Breathless)
----あらら、スゴく興奮しているようだけど…。
「いやあ、まいったまいった。
とんでもない映画に出会った。
恐るべし、韓国。
こんな才能がまだ隠れていたとは…」
----と言っても、この作品、東京フィルメックスでは
映画祭初の最優秀作品賞と観客賞をW受賞。
ロッテルダム国際映画祭タイガー・アワード(グランプリ)ほか
国際映画祭・映画賞で25もの賞を受賞しているらしいよ。
知らなかったのは、えいだけ…ニャのかも。
「そうだったか…(汗)。
じゃあ、あまり詳しく喋らなくてもいいかな。
なにも知らずに臨んだ方が、
その衝撃も大きくなるし…」
----あらら。そうは言っても、
ここを読んでいるのは、映画通の人ばかりじゃないし。
少しでも多くの人に観てもらうには、なんらかの手がかりがなくちゃ…。
そんなにいい映画だったら、とくに。
「それはそうだね。
じゃあ、簡単に…。
主人公は情け容赦ない借金取りのサンフン(ヤン・イクチュン)。
母親と妹の死の原因を作った父親に対して強い憎しみを抱き、
その苛立ちをぶつけるかのように周囲に暴力的にふるまっている。
ある日、サンフンは女子高生ヨニ(キム・コッピ)と知り合う。
ヨニもまた強権的な父親や粗暴な弟との間で問題を抱えていた…。
と、これは、その東京フィルメックス公式カタログに書かれていた
ストーリーの冒頭部分」
----へぇ~っ。よくある話っぽいけど…。
おそらく、そのふたりの心が惹かれあっていくんでしょ?
韓流タイプのロマンスものなのでは?
「それは大いなる勘違い。
実を言うと、冒頭から暴力シーンが激しく、
人によってはそこで嫌悪感を抱いてしまう可能性も…。
しかも、韓国映画でよく見受けられるゲロを吐くシーンに代わって、
ここでは唾を吐くシーンが何度も出てくる。
サンファとヨニの出会いも、
サンファが吐いた唾がヨニの制服のネクタイを汚したことから。
この時点で、
果たしてこの映画、
生理的に受け入れられるのかという危惧を抱いたんだけどね。
ところが、唾を吐かれたヨニが、
強面のサンファに対してひるむことなく、立ち向かっていく。
このヒロインの思わぬ行動によって、
先を先を観たくなる衝動に駆られるんだ」
----サンファって、
やくざっぽいんでしょ?
そんなことされたら、
普通の女子高生は怒る前にビビりそう。
「そう。
しかし彼女は威圧的態度や暴力には絶対に屈しない。
そこで観る側は考える。
このヨニって子は、なんて気が強いんだ。
そうやって観る者を惹きつけながら、
やがて、映画は、
その気の強さの裏にあるものを描きだしていく」
----ニャるほど。
確かに彼女の生活ぶりを覗いてみたくなるよね。
「そして同時に、
観客は、彼女の過去に何があったかを知りたくもなる。
この語り口の巧さったら、もう、舌を巻くしかない。
監督はヤン・イクチュン。
主人公のサンファ自身を演じている
『すべてを吐き出さなければ、この先、生きていけない』という切実な思いから脚本を書き始め、
家を売り払うなどの多くの困難を乗り越えて完成させたのだとか。
そこにあるのは、韓国の歴史的な背景。
国が自分たちの父親や母親の世代の心に傷を負わせてきたと、
そう、ヤン・イクチュンは言う。
映画の中にも、
『人を殴るやつは、自分は殴られないと思っている。韓国の父親は最低だ』という強烈なセリフが…」
----mmmm。
「この監督のインタビューの中にも名セリフはいっぱい。
『人はどれほどどん底にいても、
幸せの記憶がなければ生きていけない』。
暴力に次ぐ暴力で、疲れるし、辟易しそうになりながらも、
最後まで観客を引っ張っていくのは、
『人生は一度きりのものだから、
できることなら幸せを望んだ方がいい』という、
監督の基本となる考えが奥にあるから。
とにかく、ここまで暴力的でありながら、
なおかつ泣ける映画というのは久しぶり。
なかでもクライマックス、
ふたりの傷ついた心がむき出しとなり漢江の夜風にさらされるシーンは
映画ならではの官能。
映画史に残る名場面として、
いつまでも語り継がれること間違いないと思うよ。
ただ、甘い追憶さえも許さないラストは、
あまりにも辛すぎるけどね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「『二人でいるときだけ泣けた』がすべてを表しているらしいのニャ」
※まさに“息もできない”度
お花屋さんもよろしく。
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----あらら、スゴく興奮しているようだけど…。
「いやあ、まいったまいった。
とんでもない映画に出会った。
恐るべし、韓国。
こんな才能がまだ隠れていたとは…」
----と言っても、この作品、東京フィルメックスでは
映画祭初の最優秀作品賞と観客賞をW受賞。
ロッテルダム国際映画祭タイガー・アワード(グランプリ)ほか
国際映画祭・映画賞で25もの賞を受賞しているらしいよ。
知らなかったのは、えいだけ…ニャのかも。
「そうだったか…(汗)。
じゃあ、あまり詳しく喋らなくてもいいかな。
なにも知らずに臨んだ方が、
その衝撃も大きくなるし…」
----あらら。そうは言っても、
ここを読んでいるのは、映画通の人ばかりじゃないし。
少しでも多くの人に観てもらうには、なんらかの手がかりがなくちゃ…。
そんなにいい映画だったら、とくに。
「それはそうだね。
じゃあ、簡単に…。
主人公は情け容赦ない借金取りのサンフン(ヤン・イクチュン)。
母親と妹の死の原因を作った父親に対して強い憎しみを抱き、
その苛立ちをぶつけるかのように周囲に暴力的にふるまっている。
ある日、サンフンは女子高生ヨニ(キム・コッピ)と知り合う。
ヨニもまた強権的な父親や粗暴な弟との間で問題を抱えていた…。
と、これは、その東京フィルメックス公式カタログに書かれていた
ストーリーの冒頭部分」
----へぇ~っ。よくある話っぽいけど…。
おそらく、そのふたりの心が惹かれあっていくんでしょ?
韓流タイプのロマンスものなのでは?
「それは大いなる勘違い。
実を言うと、冒頭から暴力シーンが激しく、
人によってはそこで嫌悪感を抱いてしまう可能性も…。
しかも、韓国映画でよく見受けられるゲロを吐くシーンに代わって、
ここでは唾を吐くシーンが何度も出てくる。
サンファとヨニの出会いも、
サンファが吐いた唾がヨニの制服のネクタイを汚したことから。
この時点で、
果たしてこの映画、
生理的に受け入れられるのかという危惧を抱いたんだけどね。
ところが、唾を吐かれたヨニが、
強面のサンファに対してひるむことなく、立ち向かっていく。
このヒロインの思わぬ行動によって、
先を先を観たくなる衝動に駆られるんだ」
----サンファって、
やくざっぽいんでしょ?
そんなことされたら、
普通の女子高生は怒る前にビビりそう。
「そう。
しかし彼女は威圧的態度や暴力には絶対に屈しない。
そこで観る側は考える。
このヨニって子は、なんて気が強いんだ。
そうやって観る者を惹きつけながら、
やがて、映画は、
その気の強さの裏にあるものを描きだしていく」
----ニャるほど。
確かに彼女の生活ぶりを覗いてみたくなるよね。
「そして同時に、
観客は、彼女の過去に何があったかを知りたくもなる。
この語り口の巧さったら、もう、舌を巻くしかない。
監督はヤン・イクチュン。
主人公のサンファ自身を演じている
『すべてを吐き出さなければ、この先、生きていけない』という切実な思いから脚本を書き始め、
家を売り払うなどの多くの困難を乗り越えて完成させたのだとか。
そこにあるのは、韓国の歴史的な背景。
国が自分たちの父親や母親の世代の心に傷を負わせてきたと、
そう、ヤン・イクチュンは言う。
映画の中にも、
『人を殴るやつは、自分は殴られないと思っている。韓国の父親は最低だ』という強烈なセリフが…」
----mmmm。
「この監督のインタビューの中にも名セリフはいっぱい。
『人はどれほどどん底にいても、
幸せの記憶がなければ生きていけない』。
暴力に次ぐ暴力で、疲れるし、辟易しそうになりながらも、
最後まで観客を引っ張っていくのは、
『人生は一度きりのものだから、
できることなら幸せを望んだ方がいい』という、
監督の基本となる考えが奥にあるから。
とにかく、ここまで暴力的でありながら、
なおかつ泣ける映画というのは久しぶり。
なかでもクライマックス、
ふたりの傷ついた心がむき出しとなり漢江の夜風にさらされるシーンは
映画ならではの官能。
映画史に残る名場面として、
いつまでも語り継がれること間違いないと思うよ。
ただ、甘い追憶さえも許さないラストは、
あまりにも辛すぎるけどね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「『二人でいるときだけ泣けた』がすべてを表しているらしいのニャ」
※まさに“息もできない”度
お花屋さんもよろしく。
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この映画には打ちのめされました。
なかでも漢江でのシーンは
映画史に残る名場面。
その場に自分がいたような気持ちになり安した。
昨年多くの映画ファンがこの映画を絶賛された理由がよく分かりましたよ。
自分のレビューがきっかけで、
映画を観ていただき、
しかも「予想以上の感動と衝撃」…
こんなに嬉しいことはありません。
年末忙しくて、
筆が遅れていますが、
来年もがんばりたく思います。
今後ともよろしく。
DVDになったら観たいなぁと思っていた作品です。
予想以上の衝撃と感動でした。
いや,感動と言うにはあまりにも重くて痛いものも感じましたが
監督の「どうしても伝えたい」という情熱があって作られた映画というのは
ハリウッドではあまりお目にかかれなくなった昨今
見事な作品だと思いました。
うわあっ。こんなことってあるんですね。
大感激!
そこに人が「いる」気がしました。
これ、人に「どうだった?」と聞かれて、
困って答えた私の最初の一言と同じです。
でも「へ?」と言われて、伝わんないのかなぁ?と不安に思ってました…。
なんか嬉しかったんでつい連続コメントしてしまいました。
お久しぶりです。
この映画は、今年観た洋画の中で
断然、トップです。
テーマ以前に、映画が命を持っている。
3Dなんかより、遥かに
そこに人が「いる」気がしました。
こういう監督が現れる限り、
少なくとも「ぼくの好きな映画」は
まだあるんだなと、
嬉しくなります。
観てから1Wほど経つのですが、ネタばれなくこの感想をどう伝えれば良いのかと…。
出口の無さの中にも前向きなものが横たわり、
だからこそかなり胸が詰まります。
長編デビュー作らしいパワーと、それだけではなくみせ方までしっかりした傑作でした。
実は、暴力シーンですら、もどかしく切なく涙が出てしまいました。
ノラネコさんに「凄い新人」と言われると
ほんと嬉しいです。
おススメした甲斐があったというもの。
しかもシェイクスピアまで引き合いに出されるとは…。
それにならって言えば、
近松門左衛門かな。
逃れられない…。
まさに、息もできない映画でした。
超低予算なのに、ここに描かれてる人間ドラマのスケール感と言ったら、シェイクスピアかと思いましたよ。
これほどドラマチックな要素がテンコ盛りなドラマ、普通なら限りなくベタになりそうですが、語りが圧倒的にうまいですね。
韓国映画の層の厚さはちょっと驚かされます。
これは決して後味のいい映画ではないと思いますし、
本来ならば、自分の好きなタイプの映画でもない。
でも、あの漢江のシーンは、
今も鮮やかに蘇ります。
その場に自分がいたような、
3D以上に、実在感を感じさせてくれました。
えいさんのおっしゃるとおり、凄い映画でした。
やっと落ち着けそうな気がしたのに、皮肉な運命が待っている。
ヨニの兄弟が見せる夜叉の顔。
韓国映画のこーいう系の作品のパワーって凄すぎるっと
しみじみ思いました。
ぼくも、この映画の持つそこしれぬパワーには圧倒されました。
なんか、もぉ、とにかく圧倒されました、、、^^;
あの涙を無言で流すシーンは、
なんてすばらしいのでしょう?
河を渡る風の湿り気が匂いと共に伝わってくる、
そんな奇跡の時間でした。
でも見て良かった~と思える作品ですし、そうそうあの川のほとりのシーンはいつまでも心に残るでしょう。