ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『私の頭の中の消しゴム』

2005-07-15 01:05:50 | 新作映画
------すごいタイトルだニャあ。
「そう言わないでよ。これは若年性アルツハイマーのお話。
つまり、自分の頭の中の記憶が消しゴムで消されていく....
そういう意味なんだから」

------これって韓国映画だよね。
今年は“記憶”をテーマにした映画が多いよね。
「うん。『エターナル・サンシャイン』
『きみに読む物語』『50回目のファースト・キス』、
そしてこの作品だ。
でも、これが他の映画と違うのは、
最初は普通に出会った恋人たちが結婚をし、
やがて妻が発症し、その症状が重くなっていくと言うところにある。
その<幸せの落差>を強調するため、
前半はミュージック・クリップとまではいかないにしても
時制を無視したファッショナブルな映像のつなぎによって
ナンパにも近い二人の出会いをリズミカルに描いてゆく。
『ふたりの5つの分かれ路』じゃないけど
音楽にもカンツォーネを使っていて、
恋の炎を情熱的に謳いあげている」

-----物語はどんな風に展開するの?
「う~む。これは驚きも何もないね。
結婚した二人に、突然訪れる不幸。
その病気の特性から、妻は最近のことから順に忘れてゆく。
そのため昔の恋人を、いまの恋人と勘違いしてしまう。
しかし、ここに至って『あれっ?』」

-----えっ。どうして?
「この話、どこかで観たことがある....と。
そう、これは数年前の永作博美主演のテレビドラマ
『Pure Soul~君が僕を忘れても~』に基づいて作られていたんだ」

-----そう言えば、そんなニュース流れてたよ?
記憶にないの?もしかして....いやいや。
「でもあのテレビだと12回くらいは続いていたわけで、
それをここでは2時間弱に収めようとしている。
どうもバランスが悪い気がしたな。
妻がアルツハイマーと分かってから、
妻は自分の愛さえ」も消えていくことを恐れ、
夫はそれでも自分が彼女の面倒を見ようと思う...といった二人の葛藤や、
さまざまな<事件>のディテールが描き切れていない。
そのため思ったほど泣ける映画にはなっていなかったね」

-----でも、それでも観るべきところはあったでしょ?
「うん。ひとつにはチョン・ウソンの演技。
涙を隠すために彼はサングラスをかける。
その状態で、泣いていることを表現するんだからこれはすごい。
唇の右上がぴくぴくして、喉仏が上下する。
こんなのいままで観たことがない。
それとエンディングの前のコンビニのシーン。
これから観る人のために詳しくは言えないけど、
この現実でありながら幻想的な美しいシーンで
ソン・イェジンが言う『ここは天国ですか?』には胸が詰まった。
こういうシーンを観ると、やはり韓国映画は巧いなと思うよ」

                (byえいwithフォーン)

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