英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

・英文讀解のヒント (77) 《whatever+名詞》

2017-07-12 | 英文讀解のヒント

・英文讀解のヒント (77) 《whatever+名詞》

1  次の英文を音讀または默讀しながら意味をとらへ、下線部については意味を日本語で言つて、または書いてみませう。(※讀み方がわからない語はあとで辭書で調べておきませう)

     We emphasised earlier that these different properties are inherent in spoken and written language, in whatever form the text is actually presented to us.  It is not because a written text is itself a fixed and static object that it represents things in this way; even if we never saw the text, and only heard it read aloud, it would still have the effect of a piece of written language.  Similarly, spoken language is spoken language even if it is presented to us in the form of a transcription, as text in writing.  Although the special features of each variety clearly derive in the first place from the medium and the functions it serves, once it has evolved the variety becomes independent of the medium and can be transposed into the other form.  We can all learn to talk in written language, and even (though this is harder) to compose conversation.

(44 群馬大學 2014 7パラ: 2014年8月4日掲載)

 

2  下線部の解説

2.1  コンマで一息入れて後に讓歩節を置いてゐるやうに見えます。whatever の前に前置詞があり、後に名詞があるためいささか戸惑ひますが、in は名詞 form についたものであり、the text~の節は form についての説明をつけ加へるものです。「どんな~形態であつても」或は「文が實際に私たちに提示される形態がどんなもの(/形態)であれ」と讓歩の文をつけ加へてゐます。

  (コンマがなければ名詞節として解することも可能です。「文が提示されるどんな形態でもこれらの特性は話し言葉と書き言葉において inherent であることを私たちは強調した」と解します。)

■諳誦例文

77          I'll be grateful for whatever help you give me.

                私にして下さるどんなご助力にも感謝いたします。

 

2.2  下線部の these different properties とは、第5パラグラフの The written language presents a SYNOPTIC view.以下(2014年7月28日付記事)と第6パラグラフの The spoken language presents a DYNAMIC view.以下(2014年8月1日付記事)を指してゐます。

 

2.3  英文讀解のヒント(76)で紹介した what と同樣に whatever の後に名詞が置かれることがあります。例文で學んでおけば戸惑ふことはありません(※文法書では、複合關係代名詞が形容詞的に使はれるケースとして、或は複合關係形容詞として解説してゐます)。

  複合關係代名詞は名詞節として文中で名詞のはたらきをする場合と、下線部のやうに讓歩の副詞節のはたらきをする場合があります。諳誦例文77 は名詞節で前置詞の目的語を形成してゐます。

□參考例文: 讓歩の副詞節のケースです。

77.2       Whatever difficulties you have here, I'm sure you'll be able to overcome them.

                ここでどんな困難に遇はうと、君はきつとそれを克服できるだらう。

□參考例文: whichever にも似た用法があります。名詞節(動詞の目的語)のケースです。

77.3       Use whichever dictionary you prefer.

                どちらでも好きなはうの辭書を使ひなさい。

□參考例文: 讓歩の副詞節として使はれたケースです。

77.4       Whichever party comes to power, they should put peace on the top of their agenda.

         =  No matter which party comes to power, they should put peace on the top of their agenda.

                どちらの黨が政權の座についても、その政策の第一に平和を掲げるべきだ。

(※ 2012年8月8日附の拙ブログ記事で複合關係代名詞を解説してをります。)

 

3  意味把握チェック

  かうしたさまざまな特性は、話し言葉や書き言葉の文(表現)が實際にどんな形態で提示されても、それぞれに本來備はつてゐるものであると、前に強調した。(書き言葉で)書かれた文でこんな風に(概觀的に)事物が表現されるのは、(書かれた文だからといつて)それ自體が安定してゐて動かない(/靜的だ)からではない。(假に)文を見ないで、それが音讀されるのを聞いたのだとしても、(それは)依然一片の書き言葉の效能を(保)持してゐるであらう。同樣に、話し言葉は、(たとへ)記述された文として筆寫のかたちで提示されたとしても、話し言葉である(ことに變はりはない)。(書き言葉、話し言葉といふ)それぞれの態樣の特質は、最初の段階では(文字、音聲といつた意志傳達)媒體とその働き(/それが果す機能)に由來することは明白であるが、その態樣がいつたん發展すると、媒體からは獨立して(/媒體には關係なくなつて)、もう一つの形態に入れ換へることが可能である。私たちは皆、書き言葉で話すやうにもなれる(/ことを習得できる)し、(一層難しいものの)話しを作文するやうにもなれる(/ことを習得できる)のである。

 

4  意味把握チェックの下線部を參考にして、元の英文に戻してみませう。

 

※下線部以外の解説については、英文末尾に掲げた日付のブログ記事をご參照ください。畫面右の Back Numbers で該當の月・年をクリックし、Calendar で該當日をクリックしてご利用ください。