英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

・用例研究 194 <Time was when ...>

2019-10-28 | 用例研究

 

[用例研究 194] 〈Time was when ...〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 2002 King Features Syndicate Inc.)

 

1  Dagwood Bumstead!  You’re the world’s champion oversleeper!!

1  Do you really think so?!

2  Well, aren’t you getting up?!

2  Heck no, I have a reputation to uphold!

3  Time was, being a champion got you some respect!

 

[解説]

・oversleeper: 造語です。動詞 oversleep(「寢坊をする」「寢すごす」)に、「~する人」「~の(土地の)人」「~の性質をもつ人/物」などの意味を付與する -er をつけてゐます。[意味把握チェック]では「朝寢坊の世界チャンピオン」としてみました。

 

・heck: 間投詞で、疑問文を強調したり、不快や苛立ちを覺えるとき(when you are annoyed)に使はれます。ここは後者です。

・a reputation to uphold: uphold は championship に伴ふ「評判」「名聲」「聲價」など「を支へる/を護る(defend)」と解しました。

 

・Time was when ~: used to say that there was a time when you used to be able to do something or when something used to happen, etc.(何かができてゐた時(代)や何かが起こつてゐた時(代)があつた、などのことを述べる爲に使はれる)。過去、とくに現在より良かつたと思はれるやうな過去について語る際に用ゐられるイディオムです。

  ここでは when が省略され、コンマが置かれてゐます。このイディオムの由來はよくわからないのですが、ここでの when は關係副詞のやうなものではないでせうか(※私見です)。

□參考例文: when が省略されてゐない例です。

194.1     Time was when people respected their elders.

                 人々が年長者を敬ふ時代もありました。

 

・get ~ …: 「~(のため)にをとつてくる(/持つてくる)」。[意味把握チェック]では「もたらす」を使つてみました。

□參考例文:

194.2     Get me a drink.

                 私に飮物を持つて來てください。

 

・you: 總稱人稱で、不特定一般の人を意味します。

 

 [意味把握チェック]

1 「ダグウッド・バムステッド! あなたは朝寢坊の世界チャンピオンね!!

1 「ホントにさう思ふのかい?!

2 「まあ、起き(ようとし)ないの?!

2 「やなこった、(世界チャンピオンとして)護るべき名聲(/護持する評判)があるんだ(からな)!

3 「チャンピオンたることで(人に)幾何かの尊敬(/敬意)がもたらされる時代もあつたけどなあ!

 

[笑ひのポイント]

・起きたくなかつたのに、ベッドから引き摺り出されてしまひました。「世界チャンピオン」への敬意はなかつたやうです。

  「朝寢坊」といふ、勤め人には價値が認められない行爲に、being a champion got you some respect といふ見當ちがひのせりふを取り合はせて笑ひを誘つてゐます。Do you really think so?! はそのせりふを導くための伏線でせうか。


・用例研究 193 <關係副詞の省略; when>

2019-10-21 | 用例研究

[用例研究 193] 〈關係副詞の省略; when〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1990 King Features Syndicate Inc.)

 

1  Today’s the day I go in for my annual physical.

2  Be sure he checks your ears... you don’t hear a thing I say lately.

3  You’re in fine shape, Dagwood... Anything else you want to bring up?

4  Hmm... My wife wanted me to tell you something... now what was it?

 

[解説]

・關係副詞の省略: the day の後に關係副詞 when または that が省略されてゐます。the day だけでは何のことかわからず、聞き手は説明が續くことを期待することになります。また續く I go in for my annual physical の部分には「時」を示す副詞句がブランクになつてゐるため、その缺落が前の the day への意識を呼び、關係詞がなくても文がつながるのではないかと思はれます。

□參考例文: when または that が省略されてゐる例です。

193.1    I answered the letter on the day I got it.

                 私はその手紙をもらつた日に返事を書きました。

  以前關係副詞when 省略の例として C. Chaplin 作曲の Smile を紹介したことがあります。リンクをはつておきます。→ 「關係詞の讀み方(10) 關係副詞 when の文構造」(2012年7月18日付)

・go in for~: 「(試驗など)を受ける」

・physical:  「健康診斷」。a physical examination / a checkup とも。

 

・be sure: この sure はthat節を續けて「きつと~する」「~するのは確實だ」といふ意味です。ここでは命令文で「確實に~してね」と Blondie が言つてゐるのでせう。

□參考例文: that が省略されてゐます。

193.2    Be sure you do it.

                 きつとそれをやりなさいね。

              = Be sure to do it.

・not + a ~: 「ひとつの~もない」と否定を強調する表現です。

□參考例文:

193.3     There is not a tree in sight.

                 見渡すかぎり、一本の木も生えてゐません(/木一本ありません)

・lately: 通例現在完了時制で用ゐます。現在時制で使ふのは、「習慣的反復行爲」や「繼續状態(still continuing)」であることを示す場合です。

 

・in fine shape: この shape はアメリカの話し言葉で「状態」「調子」の意味です。ここは「體調は良好です」と言つてゐます。

・bring up~: 「(問題など)を持ち出す」「~を提出する」

 

・Hmm [hmm]: 「(熟考、ためらひ、疑問、當然の氣持を表はして)ふうむ」。h’m と表記することも。

・wanted ~ to~不定詞(…): 「~が…することを望む」

 

[意味把握チェック]

1 「今日は年一度の健康診斷を受ける日だよ」

2 「先生に耳を檢査してもらふのよ、きつとね(/必ず耳を檢査してもらつてね)… あなた、この頃私の言ふことが何ひとつ聞こえてないのよね」

3 「體調は良好ですよ、Dagwood さん… ほかに何か(持ち出したい)問題は?」

4 「フーム…うちの家内が先生に何か言ふやうに望んでゐたけど… さあて何だつたかな?」

 

[笑ひのポイント]

・「聞こえてない」ことが立證されたところに笑ひが生じます。醫師とのやりとりは問題なくできてゐるところから、實際には注意力、集中力の缺如が奧さんの不滿の原因となつてゐるのでせう。ここにも笑ひの誘因がありさうです。


・用例研究 192 <that; 關係副詞の代用>

2019-10-14 | 用例研究

[用例研究 192] 〈that; 關係副詞の代用〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1993 King Features Syndicate Inc.)

 

1  Why are you looking so glum on your birthday, boss?

2  It’s the one day of the whole year that Cora won’t nag me.

2  Well, that’s great, isn’t it?

3  Yeah, today it’s great.

4  But tomorrow she gets even!

 

[解説]

・glum: = unhappy and quiet; 「陰氣な」「むつつりした」「不機嫌な」。ここでは look(「~に見える」) に續けてゐますので、[意味把握チェック]では「ふさぎこんだ樣子」としてみました。

 

・that: 關係副詞のはたらきをしてゐます。先行詞は the one day of the whole year で、Cora won’t nag me に、その「時」を示す副詞句のブランクがあります。

□參考例文

192.1    Do you still remember the day that we first met?

                 私たちが初めて會つた日のことをまだ覺えてゐますか。

  上記の例では that は關係副詞 when の代用と考へられますが、他に關係副詞 where / why / how の代用として使はれることがあります。先行詞により、わざわざ關係副詞を使はなくても誤解が生じないと考へ簡單に濟ませるのかと思はれます。なほ、この that はしばしば省略されます。

  (※私見ですが、that は節(/文)が續くことを相手に知らせるやうなはたらきをしてゐるのか、接續詞としても關係代名詞としても同樣のはたらきをしてゐるのかとと感じることがあります。)

□參考例文: 「場所」を示す副詞句がブランクになつてゐます。

192.2     Please suggest a good place that we can meet.

                 私たちが會へる適切な場所を提案してください。

□參考例文: 「理由」を示す副詞句がブランクになつてゐます。

192.3     The reaon that we are late is that our car broke down.

                 私たちの遲刻の理由は車の故障です。

□參考例文: 「方法・樣態」を示す副詞句がブランクになつてゐます。なほ、the way how~ とはしませんので、192.4 の文で that を how に置き換へることはできません。how を用ゐる場合は That’s how I was rescued. とします。the way in which~ は可能です。

192.4     That's the way that I was rescued.

                 私はそんなふうに救出されたのです。

 

・nag: = to continuously ask someone to do something in an annoying way

 

・get even: (略式)「(~に)仕返しをする」「報復する」。この even は「對等な」「五分五分の」「均衡のとれた」といつた意味です。今日は良くても、明日奧さんから何らかの報復があつてバランスが囘復される、といふふうに見えます。

□參考例文

192.5    I want to get even with him.

                 彼には仕返しをしたいのです。

 

[意味把握チェック]

1 「誕生日にどうしてひどくふさぎこんだ樣子なんです、社長?」

2 「誕生日は、一年中で Cora がワシにがみがみ言はうとしない一日なんだ」

2 「はて、それすばらしいんぢやないですかね?」

3 「ああ、今日は良いんだ」

4 「でも明日は彼女の仕返しがあるんだ」

 

[笑ひのポイント]

・社員に對しては無類の強さを誇る Dithers 社長も、奧さんの Cora には頭があがりません。


・用例研究 191 <關係副詞 when>

2019-10-07 | 用例研究

[用例研究 191] 〈關係副詞 when〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1991 King Features Syndicate Inc.)

1  Then you’ll help me with my catering business?

2  Of course!  Best friends always stick together.

2  I’m glad to hear you say that.

3  I’ll expect you to back me up when I break the news to Dagwood.

4  But there comes a time when best friends must part.

 

[解説]

・of course: 「確かに」「もちろん」「當然」

・stick together: (人が)(逆境などで)「互ひに協力する」「一致團結する」「仲が良い」

 

・expect ~ to-不定詞(…): 「~に…することを求める」

・back up~ /back~up: 「~を支持する」「~を後援する」

・back me up の語順について: up は副詞で、目的語が普通名詞であればリズム上 back up~ となるのが普通・自然です(back~up もあり得ます)が、ここでは目的語が代名詞 me なので、この語順で「強・弱・強」のリズムを形成してゐます。

・when: 接續詞です。

・break the news to~: 「(ニュースなどを)~に知らせる」「~に打ち明ける」

 

・there comes~: there に續けて「出現( appear / emerge / happen等)」、「往來( come / arrive / go等)」、「存在( exist / arise等)」などの意味合ひの動詞を續けることがあります。

□參考例文:

191.1    There may come a time when we are less fortunate.

                 私たちが今ほど惠まれてはゐない時代が來るかもしれない。

 

・when: 時に關係する表現に使はれる關係副詞です。ここでは、名詞 a time (先行詞)について説明が後置される文構造において、その「時」に關する説明が續くことを知らせるはたらきをしてゐます。續く説明の文 best friends must part では、その「時」を表はす副詞句がブランクになつてゐます。

□參考例文

191.2    There was a time when dinosaurs lived on the earth.

                 地球上に恐龍が生きてゐた時代がありました。

この文では先行詞 a time について説明が後置されてゐます。説明の dinosaurs lived on the earth では副詞句(in a time)がブランクになつてゐます。

□參考例文: 關係代名詞で置き換へてみた例です。時を表はす前置詞は文によつてさまざまですが、ここは in が適切でせう。

191.3     There was a time in which dinosaurs lived on the earth.

                 地球上に恐龍が生きてゐた時代がありました。

□參考例文: 「日」なので冠詞が on となる例です。

191.4    Tuesday is the day when the garbage truck comes.

                 火曜日はゴミ收集のトラックが來る日です。

191.5     Tuesday is the day on which the garbage truck comes.

                 火曜日はゴミ收集のトラックが來る日です。

 

・best friends: ここは best の前に the がありませんから「親友」ほどの意味でせうが、讓歩の意味合ひが感じられますので[意味把握チェック]では「(たとへ)親友であつても」としてみました。

  最上級の使用で「どんな~でも」「最も~でさへ」といつた讓歩の意味合ひを帶びるケースは注意が必要です。文脈により判斷します。

□參考例文: 「英文讀解のヒント(34)」(2015年9月23日付)の例文です。

34.1          The bravest people sometimes feel afraid.

                     どんなに勇敢な人でも、時にはおそれを感じる。

34.2          The brightest student cannot master English in a month or so.

                     最優秀の學生でさへ(/どんなに頭の良い學生でも)1か月やそこらで英語を習得することはできない。

 

[意味把握チェック]

1 「それぢや(/それなら)仕出しの仕事で私を手傳つてくれるのね?」

2 「もちろんよ!親友は(/親友なら)いつも協力するものよ」

2 「あなたがさう言ふのを聞いてうれしいわ」

3 「Dagwood に打ち明ける時に、私を支持してくれることを(あなたに)期待するわね」

4 「でもね、親友で(あつて)も別れなくてはならないときが來るものよ」

 

[笑ひのポイント]

・言説と行動とは一致しないことがままある…眞理も正義も自分の都合の前にはかすんでしまふ、そんな「事象」に笑ひが生まれます。かういつた「御都合主義」的な言動はひろく人間社會に見られるものですから、讀者は共感を覺え易いのでせう。

  この作品は1991年に發表されたものです。1960年代後半からの「ウーマン・リブ(Women’s Liberation)」運動を經た、當時のアメリカの社會背景が垣間見えます。極くふつうの專業主婦が自分のアイデア・意志で起業するといふ決斷について、夫の支持・支援をとりつけるのは依然困難である、そんな時代背景が感じられるやうに思ひます。連作を追ふと、もめたり、外部機關の相談したり、時には危機的な状況を迎へるなどさまざまな過程を經てどうにか開業にこぎつけるわけですが。