気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

The Good Daughter by Karin Slaughter

2018-01-15 19:21:59 | 読書感想

ジョージア州、Pikevilleという小さな町、刑事弁護士のRussell Quinn(Rusty)は凶悪犯の弁護を引き受けるため警察はもとより市民からも嫌われている。数週間前、彼を嫌悪する男によって、自宅を放火され家族は郊外の農家に引越す。そして今日、Rustyは担当したレイプ事件で無罪を勝ち取り、被告は釈放される。それに不満を持つ人々が家族に危害を加えることを心配した彼は家族に電話で警告のメッセージを送る。しかし、数分後、二人組が銃を持って家に侵入してくる。彼らは妻Gammaをその場で殺害し、15歳、13歳の娘たちはレイプしたうえ殺そうとして二人を近くの林に誘導する。姉妹は抵抗し、姉Samantha(Sam)は頭を撃たれて生き埋めにされるが、妹Charlieは隙を見て逃げて隣家に駆け込む。

28年後、妹Charlieは父親の法律事務所で弁護士として働くが、姉は二人とは絶縁してNYで特許関係の弁護士となる。そして今日、Charlieは後悔の念にさいなまれながら、バーで会い、一夜を共にした男のもとへ向かう。お互いが相手の携帯電話を取り違えてしまったために・・・一夜を共にした男はHuckabeeと名乗り、彼女が、昔、通っていた中学校の先生だと言い、彼女は携帯電話を取り戻すため久しぶりに学校へ行く。彼に会い、彼女が自己紹介した後、友好的だった彼の態度がよそよそしくなったことを彼女は感じる。彼は刑事弁護士である彼女の父親について知っているようで、すぐに出て行けと要求する。その場が気まずくなった時、彼女は4発の銃声を聴く。銃声の方へ向かったCharlieは校長室の前で、校長と少女が血を流して倒れていて、校長の夫人がヘルプと叫んでいる場に出会う。そして二人を撃ったと思われる少女Kelly Wilsonが銃を彼女自身に向けている様子が。Kellyは通報によって駆け付けた警官たちからの警告は無視するが彼女を知っているというHuckabeeの言葉に従い、銃を彼に渡し警察に逮捕される。事件は全国ニュースとなって町は騒然となる。事件を起こした少女は校長ばかりでなく少女を殺したことで非難が殺到し死刑を求める声が高くなる。当然のように少女の弁護はRustyが引き受け、その日のうちに少女に面会した彼は、Charlieに少女は無実の可能性が高いと告げ、彼女を驚かせる。彼女は事件現場にいてKellyが銃を持っているのを目撃していた。二人は捜査について意見を交換、Kellyが持っていた銃の所在が不明になっていること、学校の監視カメラには死角があること、Kellyは知的障害があり犯罪を犯す能力がないのでは等々・・・。Charlieが自宅で今日の出来事を振り返っている時、別居中の夫Benが彼女の様子を心配して訪ねて来る。そして、彼女は検事補であるBenにかかってきた電話から父親が刺されて重体だ知る。

母親のGammaと同じ44歳になった誕生日、NYで特許専門の弁護士として活躍するSamは、BenからCharlieが彼女を必要としているというメッセージを受け取り、急遽、二度と帰らないと誓ったPikevilleに帰る。彼女は亡くなった母親から妹を守ってあげるよう強く言われていた。彼女はCharlieが常に脅迫を受けている父親の法律事務所で弁護士業務をおこなうことは彼女の身に危険が及ぶことになると主張してCharlieの決断に強く反対したが、Charlieは忠告を無視する。以来、二人は何となく疎遠となっていた。しかし、彼女は一切返信することはなかったが、彼女の夫Benと父親は定期的に彼女にメールを送り続けていた。彼女が予期したようにBenと父親から送られてきた誕生日おめでとうのメッセージを読んだ後、事務所に着いた彼女は、Pikevilleの彼女が通っていた学校で18歳の少女が銃乱射事件を起こし、校長と8歳の少女が殺され、父親が彼女の弁護士となったというニュースに衝撃を受ける。ネットなどで事件の詳報を得ようとした彼女は、28年前の事件の関係者の名前を発見して呆然とする。そんな時、Benからの緊急のメールが送られてくる。Benからのメールを受けて、帰郷した彼女はICUから生還した父親から思いがけない提案を受ける。

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学校での銃乱射事件についてもさまざまな謎が提示されて興味深いのだが、ミステリーというよりは家族の絆の物語という感じだった。悲惨な事件の後、姉妹がどのように事件を受け止め、どのように生きて、今、過ごしているか、そこまで必要かと思うほど細かく描写されていく。そのためミステリー色が薄れている。理知聡明な母親と娘達との会話の楽しそうな様子、 弁護士となった娘の初公判の様子を秘かに傍聴して彼女の成長を喜ぶ父親。しんみり、ほのぼのとした気持ちになる。

ただ、映画『羅生門』のように姉妹それぞれの見方から悲惨な事件を語るというユニークなストーリー構成。読む方は悲惨な出来事を2度読みするのは辛い!

E-book(Kindle版)★★★★ 528ページ 2017年8月出版 500円(2018年1月購入)



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