気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

She Rides Shotgun by Jordan Harper

2018-02-25 10:21:54 | 読書感想

2018年 MWA 新人賞候補作

カリフォルニア州、 Aryan Steelとして知られる白人ギャングのボスCrazy Craig Hollington は弟をNate McCluskyという男に殺される。彼は報復として、Nateばかりでなく、彼の離婚した妻Avis、ふたりの間に生まれた娘Pollyの3人を殺すよう 傘下の組織に指令を出す。

11歳のPollyは放課後、校門で彼女を待ち受けていた父親に会う。彼女は、生まれて以来父親に会ったことがなかったが、男が父親であることを会った瞬間にわかる。彼女は母親から父親は犯罪者で刑務所に、後4年は収監されていると聞かされていた。彼女は父親は脱獄したと考えて、この事態にどう対応していいのか分からず、顔や腕に切り傷や入れ墨が散りばめられた父親の異様な姿を呆然と見つめていた。

NateはPollyに自分が父親であると言い、彼女についてくるよう話し、停めてあった盗難車に彼女を乗せる。Pollyは車の中で、何故父親が彼女を迎えに来たのか?母親はどうして娘との接触を拒否していた父親を迎えに来させたのか?父親は車を運転している時、何故、始終後ろを気にしているのか?疑問が頭を駆け巡っていた。

Nateはモーテルに部屋を取り、途中の店で買った子供用のバットを彼女に手渡し、自分は出かけるが誰も部屋に入れてはいけないと話し、青い稲妻の刺青をした男たちは悪人であると言い、彼らを見かけたらバットで殴るよう指示し、彼女をいっそう不安にさせる。そんな彼女の不安を彼女が片時も離さない熊のぬいぐるみが癒す。

Pollyをモーテルに残したNateは 離婚した妻でPollyの母親であるAvisの家に向かうが、彼女と夫が殺されているのを発見する。そして現場に残された吸い殻の様子から殺人者は、二人を殺した後も殺害現場に潜み、Pollyが帰ってくるのを待ち伏せていたことを知る。彼は自分のために元妻が殺され、娘の命が危機にさらされていることに強い後悔を感じる。

彼はこの事態を打開するまでPollyを従兄弟に預けようとするが、従兄弟は自分の身を守るためにAryan Steelに協力を誓い、彼は組織の一員の待ち伏せに遭遇する。彼は、ほかにPollyの命を守ってくれる人物を探し出すことができず、彼女を連れて行動することを決意する。

Pollyは父親から母親が殺されたことを告げられ、ショックを受け無力感に襲われる。そんな時、彼女は、テレビニュースが母親が殺された事件を流し、彼女が行方不明になっていると報じているのを見、さらに警察の情報提供を求める電話番号が表示されるのを見る。彼女は母親が殺され、自分の命も危ないという事態にどう対処して良いのか分からず、警察に助けを求めようとして、その電話番号に電話する。そのことが父親を再び刑務所に収監することになると気づいていたが・・・。しかし、担当刑事との電話中に父親が戻ってきたことを知った彼女は途中で電話を切る。そして、重傷を負った父親を見た彼女は、母親を失った彼女に残された者は父親しかいないことに気づき、彼とともに行動することを決意する。

やがて二人は、Nateが得意とする手段でCrazy Craigが発した殺害指令を撤回させるための行動を起こしていく。

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正義というものがない、犯罪者対犯罪者の戦い。巨大組織の配下になることを拒否したため組織のボスから命を狙われる札付きの犯罪者である男、その巻き添えに会ってしまった母親と娘。

何といっても印象に残ったのは戦士の目をもつPollyとその相棒(?)の縫いぐるみの熊。

巨大な犯罪組織から殺人指令を出され、彼らの目を逃れながら父親が殺人指令を取り消させるよう行動するのを見守る娘。暴力や拷問も辞さない父親の修羅場を目をそらさずに見ている彼女の様子を読むと、彼女も徐々に犯罪に染まっていくようで、子供は健全に育って欲しいと願うおじさんとしては、少女がどこまで父親の犯罪に深く関与していくのかヒヤヒヤしてしまう。

Pollyは、本で読んだ金星に惹かれる。金星は、表面は雲に覆われ穏やかな美しい星に見えるが、その表面の内側には酸性の雨風が強烈に吹いている。彼女も、外見は穏やかそうだが内には荒ぶる魂を持っていて、自らを金星人と信じている。それゆえ、彼女の表面を突き破って荒ぶる魂が現れると、他の人が止めることができない行動を起こす。たとえば、父親が助けることができないと思っている男の命を助けるために銃を持って飛び出していく。衝動の強さは驚嘆するほど気持ちがいい。

ストーリーの流れを見るとどうやってハッピーな終わり方にできるのか予測できなかったが、僕的にはホッとした終わり方だった。

E-book(Kindle版)★★★☆   277ページ 2017年5月出版 1200円(2018年2月購入)

 


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