Henry Forbes 25歳とガールフレンドのKatherine Sinn (Kitty)は1990年タイに旅行する。タイに滞在している或る夜、二人は彼の以前つきあっていたガールフレンドについて口論になり、翌日、彼女はひとりでホテルを去った後行方不明になる。若い女性がタイという異国の地で行方不明になったということで、この事件はマスコミに大きく取り上げられたが、彼女の行方は分からずに事件は迷宮入りとなった。そして26年後、タイからはるか離れたロンドンの北西Buckinghamshire のプライベートスクールのグラウンドから鋭利な刃物で喉を切られた若い女性の白骨化した遺体が発見される。
発見から一週間後、ロンドン警視庁犯罪捜査課DS Ray MasonはHenryの弁護士から彼が犯罪に関する重要な情報を持っているので会ってほしいという電話を受け、彼は弁護士宅でHenryと弁護士に会う。Henryは先週発見された白骨化した遺体はKittyであり、彼女は殺されたと主張し、さらに他の犠牲者の白骨化した遺体も見つかるはずだと断言する。…そして殺人犯は巨大な権力を持っているので自分をウィットネスプロテクションで守ってくれない限り事件について証言しないと主張する。RayはHenryの思いがけない告白に戸惑いながらも、対応を協議するため席を外して上司に電話している時、何者かが銃を持って乱入しHenry達2人を殺害する。彼は銃を持っている男達に対抗することができず彼らを取り逃がす。そして現場に到着した彼の上司はHenryが証言したように、校庭で遺骨の発掘をしていた鑑識は、さらにもう一体の遺骨、10代と思われる少女の白骨化した遺体を発見したとRayに伝える。やがて遺骨はKittyのものだと判明し、もう一人の遺骨は1989年に行方不明になり、同じく迷宮入りとなった13歳の少女Dana Brennanのものだとわかる。RayはHenryがKittyとDanaの二人を殺した犯人を知っていて、口封じのため殺されたと確信する。
彼は過去に起きたKittyの殺人事件と今回の殺人の繋がりを突き止めるには過去の事件について捜査する必要があると考え、当時の捜査で見失っていたものがあるかどうか、迷宮入りとなったふたつの事件の再捜査を始める。そしてタイで失踪したKittyがどうやって数千キロ離れたイギリスの地で殺されたのか、その謎に挑む。
そんな時、かって刑事でいまは私立探偵のTina BoydからHenryから依頼された調査中の案件があるという電話が捜査本部にあり、Rayは彼女に会いに行く。RayはBoydから調査内容を聴き、捜査の重要な手掛かりとなると直感し、彼女に調査の続行を依頼する。やがて捜査中のミスから警察組織から見放されたRay、そして悪人は許さないという刑事時代の信念から事件に引き込まれていくBoyd、ふたりは孤立しながらも捜査を続け、真相に迫っていく。それは二人の身を危険にさらしていくことになる。
警察官でありながら同僚から疎んじられ孤立して捜査を続けるRay Mason、彼の前に立ちふさがるのは証拠、証人を残すことなく凶悪犯罪を繰り返し巨大組織を作り上げた男、そして相手の行動を先の先まで読み殺人を実行する、殺人をこよなく愛する男、彼ら犯罪者の方がRayを圧倒している感じで物語が進み、読んでるこちらをハラハラさせる。しかし、Tina BoydがRayに加わり、Rayの反撃を楽しみにしていたら…こんな終わり方はないでしょう!また、彼の持つダークサイドの一面、ちょっとついていけない。
いつもイギリスのミステリーを読んでいて思うことだが、イギリスの警察の歯がゆさ、拳銃を所持していないから、相手が銃を持って侵入してきたらなすすべがない、黙って市民が撃ち殺されるのを隠れて見てる。今時の悪党は銃を持っているのが大半だと思う。刑事は銃を所持できると制度を改定できないのかと、読むたびに思ってしまう。
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