月の岩戸

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セギン・19

2017-11-19 04:15:05 | 詩集・瑠璃の籠

怠りの罪を
岩のように抱き
絶望の湾に沈め
何もしなかったことが
いちばん重いのだ

愚弄の腕と
沈黙の腕に抱かれた
灰色の海に
鈍色の岩塊を抱いて飛び込め
二度と浮かんできてはならない

おまえは
正しいことをしている花を
踏みにじれと
猿に言った

おまえは
きよらかな夢を抱いている蝶を
たたきつぶせと
象に言った

自分は
何もしない
弱いネズミの皮をかぶり
影からあれが
死ぬほど苦しむ様子を
ほくそ笑んで見ようとしていたのだ

誰も知らないと思っていた
だれにもばれないと
憎いのは
自分が花のように美しくはないからだ
蝶のように働いていないからだ
なにもしないからだ

何もしないことの余剰を
おまえは永遠に
愛を愚弄し続けることに使うのか
でたらめばかりを吐きながら

全部掃かれる

怠りの罪の岩を
カタツムリのように背負ったものは
全てこの世界から
追い出される

愚弄の腕と
沈黙の腕に抱かれた
絶望の湾に飛び込み
永遠にここから去るがよい




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