月の岩戸

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ムジカ・7

2017-02-22 04:16:48 | 詩集・瑠璃の籠

何もしないことは
虚無の特質だ
何もないから
何もしない

だが自己存在は
主体を持つからこそ
何かをしていくというものなのである
だからこそすべてがある

その自己存在が
その本質に反抗して
何もしないということを善として
正当化を試みようとするとき
自己存在は堕落する
絶望は
そこに繁殖する
最も痛い苦悩である

若い自己存在は時に
自らがなしたことの
あまりに少ないことに絶望して
虚無に傾き
自分は何もせずに
他者から行為の財産を盗んで
自分を偽ろうとするが
それのみで永遠に生きていくことはできない

あふれるほどついてきた嘘と
他者に押しつけてきた苦悩が
馬鹿高い反動となって
自分に返ってくるからだ
そのとき自己存在は
ようやく
自分で何かをするという
本質に従って生きていくことが
最も幸福なことなのだと気づく

何かをしなさい
それが
親の言うことを聞いて
小さな畑を耕すということでも構わない
横暴な親方の命令を聞いて
石を運ぶということでも構わない
小さなことでも
自分がやれば
何かがある

そこから
おまえの永遠が始まっていく




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