月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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ルナ・45

2017-12-21 04:15:33 | 詩集・瑠璃の籠

わたしは 消えたのだろうか
夢の中で 意識は晴れているのに
わたしが どこにもいないのだ

犬を追いかけていた
青い楠の生えている野原で
それは覚えている

わたしには
わたしの足があった
だから走っていた
わたしには心があった
だから犬を追いかけていた
愛していたから

いつの間に
わたしは風になったのだろう

夢の中で わたしは
まぼろしのあかりのように
不思議に灯っているのだ
なのに どこにもいない

わたしの
わたしらしい心が
どこにもないのだ
まるで
湯に溶けてしまった水のように

わたしの声も
わたしの色も
わたしの形も
何もないのだ

なぜなのですかと
神に尋ねると
考えないでよいと
答えが返ってくる
それはまるで
かすかなひばりの鈴のように

わたしは
何になったのだろうと
また尋ねてみると
聞き覚えのある声が
答えてくれるのだ

神の中にいるだけだよと




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