月の岩戸

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ルクバー・15

2017-01-31 04:17:09 | 詩集・瑠璃の籠

根本的な矛盾は
永遠の誤作動を産む

美しい女を
男は愛するが
女が美しいのが嫌だから
馬鹿にして醜いものにする
だが醜いものになれば
もう愛せない
いやだと言って捨てる

美しい女など
みんな馬鹿なのだと
頭から決めつけて
嫌らしい目的のためだけに
利用しようとすれば
美しい女はみんな死んでいく
なぜなら
美しい女は馬鹿ではないからだ

いやな女は
男が馬鹿にして
馬鹿なことをさせて
つらいものにしたものなのだ
それがいいと言って
それに美しい女の皮をかぶせてみたが
そういうのは
いやらしいことばかりするから
すぐにいやになる

やはり本当の
美しい女がいい
だがああいう女は
馬鹿にしようとすればすぐに死ぬのだ
永遠に手に入りはしない

馬鹿ではないのに
馬鹿だということにするから
痛いことになる
それが馬鹿にはわからない

馬鹿は右往左往して
痛ましい技術を積み重ねて
何度でも試したが
すべては無駄だった
本当の美しい女を
馬鹿な手で手に入れることは
誰もできなかった

いやなことができたのは
いやな女だけだった
それだとて
もう二度といやだと言って
逃げていった

女という女を食いつぶして
男はようやく馬鹿をやめた
二度とは戻らない愛の
欠けた空っぽの海を
暴虐で埋めてきた月日だけが見える

馬鹿者め




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