幸せになるために
生きていたのではない
みんなを幸せにするために
生きていたのだ
そのためには
たくさんのことをせねばならないと
思っていたが
まさかここまで
たくさんだとは思わなかった
ひとふさの葡萄の粒の数ほども
やらねばならないと思っていたら
五十房のぶどうがやってきた
あわてて
二十までやってみたけれど
あとはとてもできなかった
どうしても自分でできなくなれば
だれかにやってもらうよりない
最後まで生きたかったけれど
人生を十日とすれば
わたしは三日目で降りたらしい
そんなに少なかったのか
それなりに長く生きたと
思っていたけれど
水晶の風の中で
春の菜の花が
黄金の湯のように揺れている
夢の野原で
わたしは露を摘んでいる
飴を煮ようと
そんなわたしを見て
菜の花が何も言わないわけを
知っているような気がするけれど
わたしも何も尋ねない
尋ねることが
みなを悲しませることだということが
わかるくらいは
かしこいからだ
飴をつくろう
飴を
みんなのために
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