月の岩戸

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ベネトナシュ・5

2016-09-25 04:18:29 | 詩集・瑠璃の籠

勉強をした魂は
みな美しくなっていく
勉強をしなかったものは
それが妬ましくて
馬鹿にしたのです
自分も勉強すればよいものを
みんなのほうがいやなものだにしてしまったので
すべてが間違った方向に行ってしまった
馬鹿の根源というものは
みなそういうものです

長い年月を
それを改めなかったものだから
馬鹿は何も知らないまま
あらゆる愚かなことをやりすぎて
とうとう究極の破滅を招いてしまった
それは種としての滅亡ではなく
自分の存在そのものに
馬鹿という質を焼き付けてしまったということなのです

それでも馬鹿は
たったそれだけのことで
恐ろしい馬鹿になってしまったということを
認めるのがいやなばかりに
まだ馬鹿の中にいる
決して出てこようとしない
いつまでも
夢幻の世界に浸りこんでいる

嘘で作った美衣は
もう腐り果てて
中身がすべて見えていると言うのに
まだそれをも見ようとしないのだ
美人のつもりで
自信たっぷりに表を歩いている馬鹿が
傷つき果てたみじめなネズミの姿をしていることが
みんなにもう見えていることを
だれもあれらに教えてあげられないのだ

すでに終わっている芝居の舞台から
もう降りてきなさい
そこにいては
苦しいばかりだ
本当の自分ではない仮面に支配され
無理に偽っている自分が
消せない入れ墨にむしばまれて
声のない叫びをあげている
仮面だけが存在している虚無に
あなたはなり果てている

もう降りてきなさい
あなたはもう
滑稽を通り過ぎて
あまりに悲惨なことになっているのです




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