月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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アークトゥルス・24

2017-02-21 04:16:09 | 詩集・瑠璃の籠

愛の目で
誰かが見ていてくれたからこそ
人間はあんなに
いいものに見えていたのに
その愛を
人間は消してしまった
自分より美しいのが嫌だからと

自分が嫌だということは
世界を暴力で破壊することだ
存在することが幸福の絶対条件であるはずの
自分が存在することが
最も苦しいことになるからだ
ゆえに自己存在は
その激しい苦しみのあまり
すべての創造を破壊してやろうと目論む

神が世界中にばらまいた
愛の光を
しらみつぶしに探し出しては
糞を塗って侮辱する
あらゆるものの美しい存在意義を
虚無で傷めてばらばらにしようとする

痛いからだ
自分が馬鹿なのが
あまりに痛いからだ

人間というものは
自分の弱さの発見から始まる
それまでは愚昧の闇に隠れて見えなかった
自分を発見し
それが
自分より進んだものと比べると
あまりに小さく
愚かに見えることを発見することから
始まる

自分の小ささがあまりに苦しいと感じた
自己存在は
だれしも一度は
何も知らない馬鹿のほうが偉いのだという
幻想に心を染める
それでなければ
小さい自分に耐えられないのだ
そしてそこから
馬鹿が始まる

馬鹿は
解脱によって真実の自己に目覚めるまで
世界に破壊の幻想を描き続ける




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