ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support) プロバイダーコースは、AHA(アメリカ心臓協会)が開発した二次救命処置を医療従事者に教育する方法です。ACLSプロバイダーコースでは、蘇生人形、不整脈シミュレーターを用いて心肺蘇生の臨床現場を再現し、AHAが推奨する国際標準の方法で訓練を受け、心肺蘇生法を身をもって学習します。ACLSプロバイダーコースは、最近では、心停止時のみならず、重症不整脈、急性冠症候群、急性虚血性脳卒中の初期治療までを網羅した2日間のコースへと進歩してきています。
飯田市立病院でもACLSプロバイダーコースは定期的に開催されてます。今回、8月10~11日に院内の会場で開催されたACLSプロバイダーコースに初参加しました。今回、コースに参加した第一の動機は、ALSOプロバイダーコースで「妊婦の心肺蘇生」に関する1時間程度の実習があり、その指導をしなければならない立場になったので、一般成人に対する心肺蘇生の基本的な知識や技能を身につけておく必要があり、一度ACLSの勉強を基本からしっかりしてみたいと思ったことです。実際問題、もしも分娩室内で妊婦さんが突然の心停止などで意識を失って倒れた場合は、まず現場にいる産婦人科医や助産師がその初期対応をしなければならないので、産婦人科医や助産師もNCPR(新生児蘇生法)だけでなく、BLSやACLSに関する最低限の勉強をしておく必要はあると思います。
今回、ACLSプロバイダーコースを一緒に受講したのは、医師国家試験に合格したばかりで、元気いっぱいの若い1年目の研修医達で、彼らとは年齢差がだいたい35歳くらいあり、相当な体力の差、知識量の差を実感しました。AF、af、VF、VT、PEA、Asystole、PSVT、PCI、Mobitz II block、Wenckebach block、Torsade de Pointes、ACS、STEMI、NSTEMI、ROSC、5H5Tなど、普段の産婦人科診療では全く耳にしない医学用語、略語、薬剤名が1日中ポンポン飛び交う世界でした。ここのところ、BLS、ACLS、ICLS、NCPR、ALSOなどに繰り返し参加するようになったので、これらの教育コースの独特の雰囲気にはだんだん慣れてきました。
周産期領域でも、NCPRだけでなく、最新の我が国の産科ガイドラインを定着させるような教育トレーニングシステムが構築されたら、若い医師達だけでなく、若い医師を臨床現場で直接指導する立場にあるベテラン医師達の再教育の場にもなって非常にいいことだと思います。
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