雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

冬空を翡翠と呼びし若かりし美しきものなべてつめたし

2021-11-29 19:48:00 | Weblog

 冬空に。

 昨日に続き、今日も底冷えして寒かった。山国の大気は乾いているので、慣れないと身体の芯から冷える。

 




 ひねもす家内にいて、チェロを弾くか本を読む。クリスマスリサイタルが終わったら、また絵を描きたいと思う。
 年齢を意識して視力を惜しんでいる。本などはページごとにまとめ読みもできるが、デッサンや油彩はそうはゆかない丹念な作業だから。

 今日も猫と暮らして静かな日だった。

 感謝。

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星闇の冴ゆる遠さよ対話なきページを繋ぎ昇れオリオン

2021-11-28 15:41:00 | Weblog

 冬の星座に。

 




 どちらも数年前の冬に描いた。背景は甲府市内のどこか。

 数日前から冷え込み、早朝の暖房なしの室温は、今朝6℃。手指のかじかむ冷たさが、ヒーターを入れても午前中いっぱい続く、これが甲府盆地らしい底冷え。

 静かで、声のない日が続く。

 感謝。

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妣たちのつぎつぎ去りてかの人の心容れにし器うつくし

2021-11-25 16:21:00 | Weblog

 押し入れを片付けていたら、昔々の重箱が現れた。

 




 花沢瀉の蒔絵家紋入りだから、戦前の、まだ祖父祖母が健在な時代だろう。すると百年とまではゆかないが、80年は経ったはずだ。

 今までも何度か、母はこの重箱を思い出して見つけ出したいとぼやいていたが、こんな時期にようやく出てきた。
 もう一度、母の手がこの器に触れることがあって欲しいものだ。

 昔の黒漆は厚みがあって頼もしい。当時としては格別な高級品ではなかったにせよ、今の時代では戦前の格式を伝える稀な品。

 過ぎてゆく時間の隙間に残された、農家の素朴なお宝。

 感謝。



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冬野なほ続く花いろおのづから骨のしろさに山茶花咲きぬ

2021-11-21 19:38:00 | Weblog

 「日本人のための第一次世界大戦史」を読んだ。最近は珍しいですます体の達意の文章で読みやすかったが、とにかく資料も登場人物も地球規模に広範囲で膨大。
 
 
 
 いろいろと学んだが、第一次世界大戦を詳述する筆者が、読者に向かって婉曲的に述べているのは、現代においても、いつ大戦が勃発してもおかしくない、という主張ではないだろうか。

 火種はすでにいくつもある。私のような政治オンチにも、それらはひたひたと仄めかされているように見える。

 が、身廻りはコロナ対応のニュースで埋め尽くされ、緊迫した世界情勢は靄の向こうだ。

 山﨑豊子作品を読み、またこうした大戦史を開くと、今の平和な日本社会の根幹を揺るがすいくつかの要素が見える。

 それを意識してこまごまとした日常を暮らすということは、一般市民には無理だろう。

 だが、こうした読書のおかげで、穏やかな毎日のありがたみを改めて感じる。


 感謝。

 


 油彩F6号  風の薔薇。

 感謝。


 

 


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花埋み誰に流るる恋衣あらけなきものは記し残さず

2021-11-19 17:45:00 | Weblog

 山﨑豊子さんの初期作品、といっても直木賞受賞の出世作、「花のれん」を読んだ。

 「ぼんち」同様、大阪商人を描く。色彩豊かに、リズム感のある文体は、西鶴の人情本のようだが、これはじきに社会派の重厚的確な記述に変わってゆく。

 


 これまで読んだ全てが後世に残る傑作と思う。


 作者は、男性・女性の欲望のありかを正確に表現し、それが卑猥でなく、嫌味でなく、また読者を恫喝することもなく、骨太に華麗に、読ませてゆく。

 すばらしい力量だ、


 また「不毛地帯」を読み返したくなる。あれは悲劇ではないと思うから。

 感謝。



 

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うち捨てし此処ならぬ人想ふこと彼は死にたる歴史の一行

2021-11-17 18:50:00 | Weblog

 昨日今日、永井路子さんの「山霧」を読んだ。

 



 歴史好きな母がこの才色兼備の女流作家のファンで、永井路子作品のほとんどは、幼い頃から我が家の書架に揃っており、文学少女だった私はそれを全部読んでいたが、毛利元就とその夫人を主人公にしたこの「山霧」は未読だった。

 永井路子さんと山﨑豊子さんは1歳違いの同年齢で、先日99歳で亡くなられた瀬戸内寂聴さんと、同じ時代を生きた方たちだ。みなさんスケールの大きな作家で、それぞれの歴史や社会へのアプローチ、分析、構成、登場人物像などを比較しながら読んで、いろいろな意味で面白かった。

 激動の時代を生き抜き、どなたも見事な業績を残されたと思う。この3人に交流はあったろうか。想像するが、もちろん私にはわからない。

 感謝。





 

 

 
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冬の海ひた耳に添ふ満ち潮に声重なりて波は果てなし

2021-11-16 15:41:00 | Weblog

 山﨑豊子さんの未完の絶筆、「約束の海」を読んだ。
 
 語り出しの第一部で幕が降りてしまったが、筆力に衰えのない作品だった。

 この後書きで、彼女は自分の小説を高層建築に例え、起筆前に周到細密な設計図を用意すると書いている。なるほど、「不毛地帯」では冒頭と結末の情景描写は呼応していたし、「華麗なる一族」「仮想集団」など、あきらかに冒頭を逆転、あるいは戯画化させた結末を描いている。
 
 


 主人公花巻朔太郎も魅力的で、米軍による日本兵捕虜第1号として屈辱の太平洋戦争を生き延びた彼の父と、その息子二代の百年物語を読み通したかった。

 2013年に上梓されたこの作品には、当然ながら、デジタル要素はほとんどない。スマホ、ライン、SNSなどは書かれない。彼女の死から、僅か10年に満たない時の流れで、急激に変化したメディアと社会環境に改めて驚いた。

 安易なデジタルネットワークは、さまざまなしがらみの中で結び合うためにとつおいつする、人の心の密度を薄くしてしまうようだ。

 山﨑作品は、最後まで濃い情感をたたえている。

 古風とまでは言わないが、デカダンスも目的喪失デフュージョンもない、まっすぐな良き時代を感じる。それは、今からたった10年に満たない過去のもたらしたタイムラグだ。

 またこの先10年後、社会はどのように変わってゆくのだろう。


 ゆたかな感動を残してくださった大作家、山﨑豊子さんに感謝。

 



 

 

 
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うつし世はなべて夢なれあでやかな紅葉登りて御仏に見(まみ)ゆ

2021-11-13 22:11:00 | Weblog

 甲州市日川、天目山栖雲寺の宝物風入れを拝見した。

 




 甲府盆地の底から延々とつづら折れを走り、渓谷をいくつも渡りながら到着した山間は、大気が澄み渡り、晩秋の空に銀杏楓の紅葉が鮮やか。午前10時過ぎに着いたのだが、かなりの混雑で駐車の隙間さがしに難儀をした。

 鎌倉、館山と、海岸沿いに次々と長く住んだので、標高の高い山国の紅葉は目に染みる。海と山とは、大気の湿度が違う。

 










 元より渡来した多宗教混合の珍しい仏画、十字架捧持マニ像と聞いて訪ねたのだが、奇抜さよりも、予想以上に端麗で美しかった。気品のある尊顔で、見つめて飽きない。

 




 撮影不可なので、上の2枚はお寺のホームページからシェアさせていただいた。ご覧の通り、お顔は秘密。
 本当に魅力的だった。

 この他にも県指定の文化財の仏像彫刻の展示があり、そちらも良かった。何様式なのかわからないが、どの彫刻も優美でリアリティがあり、デフォルメのない静謐な表情は、ルネサンス全盛期のイコンのようだ。もちろん西洋のディナミスムではなく、和風スタティックに内向している。
 ことに本尊、宝冠釈迦如来坐像は典雅で美しい。横顔の、高い鼻梁とまろやかで華奢な顎までの流れが、息を呑むほど洗練されている。少女めいて可憐でさえある。
平安末期の院派仏師院廣・院尊作。

 私は聖母マリア、イコンを描いているので、今日は大変感動した。キリスト教も仏教も、瞑想し、救済を与え、また解脱を求める精神を包む姿は等しい。

 














 
 厭離穢土は、聖書の詩篇にもしばしば記される信徒たちの吐息だ。

 欣求浄土。墨染めの法衣をまとうた僧侶たちが行き交うお寺では、紅葉の彩りが一段と美しく映える。

 感謝。






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ジュエリーボックスからダイヤの指輪が消えた!

2021-11-10 21:28:00 | Weblog






 翡翠の指輪の上。夕方6時から8時の間に無くなった。

 この他にも18金指輪2本、箱ごと消えた。母から貰ったサファイアリングと、祖母の形見。

 誰?

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コンビニで駐車している間に。。。

2021-11-10 12:58:00 | Weblog



 鍵はかけたのに。

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アルファポリス