2ヶ月ぶりに施設の母を外食に連れ出すことができた。コロナ禍で施設内に私が立ち入ることは出来ないが、外出制限はゆるやかになった。
雨模様のはずだったが、日中は運良く晴れて、海に向かうKタワー13階ガラス張りのレストラン亀楽亭からは、太平洋のさわやかな景色が楽しめた。
海鮮丼を母は良く食べたが、介助の際に手足を触ると、血行が悪いせいか、ひんやりと冷たい。もうすっかり車椅子生活で、筋力は衰え、身体ぜんたいが小さくなってしまった。
ただ、施設の暮らしは快適で、至れり尽くせり、職員はみなよく働く、と褒め上げる。
入所の前はかなり嫌がっていたのが嘘のようで、私はほっと肩の力が抜けた。人一倍苦労したこの母の最晩年は、安穏に楽しみ多く過ごさせてあげたい、という願いは叶えられたようだ。
若い頃、母はvividな色彩を好んでいたが、今は淡彩のカーディガンなどを着ている。それが私には少し寂しげに見える。
世界情勢の不穏が伝わる中で、日本のおだやかな日常が永続してほしいと思う。そのために私たちはどんな努力をすれば良いのだろうか?
平和は自動的に、当たり前に、他力本願にもらえるものではない。
日本の平和と幸福の持続を、どう願えば適切なのか、などなど、母を施設に送り届けた帰り道に考えた。
愛と感謝。