昨日今日、和服の風通し。
中で、胸をつかれるのは、祖母、曽祖母の着物を目にする時。
母は肥満体型のために、中年過ぎてからは和服を着なかった。祖母は相当な高齢まで、正装やおしゃれ着には和服を好んでいたと思う。
祖母の着物には彼女の好みがはっきり現れており、紬には見向きもせず、小紋や色無地の柔らかものばかり誂えている。好きな柄は麻の葉や七宝、小花、霰などが多い。縞や格子は一枚もなく、大柄も避けたようだ。色彩は黄色、紺、藍色。年齢のせいか、深緑の色無地も作っている。
母の着物には黄色や藍色、緑はなく、黄味がかった赤系統、又は濃紫が多い。が、それらに母はほとんど手を通していない。
古い絹には独特の匂いがあり、時間が経つと、着物がしまわれているその家の匂いとよく似てゆく。
古い着物からは、もう母や祖母の匂いはしないが、湿った杉や松葉のような時間の気配、香がする、「聞こえる」。
水彩、追憶 F3号。
私もそろそろ、我が家の着物コレクションの行く末を考え始めている。
丁寧に保存し、楽しんで纏い、私の後に、年代物のあれこれを慈しんで着ていただける若い女性を願い。
さまざま感謝。