雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

街薙ぎの嵐来たりぬはたはたと守(も)る音響く君が心や

2021-09-30 21:18:00 | Weblog

 台風、雨音。

 実家の一人暮らしが気楽で心地よく、つい長居をしてしまった。台風明けたら在梨2週間にもなる。

 にしてもあっという間に過ぎた。毎日よく動き、片付け掃除。今回は和服の虫干しで1週間かかった。
 館山に戻ったら、そちらの着物もあらためなければ。


 ともかく、一人暮らしは全部の時間が私のものだから、忙しい割には合間にチェロは進み、クリスマスリサイタルのレパートリーを全曲手に入れることができた。


 


 水彩 AN。 F4号。


 さまざま感謝。




 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

猫も我もひとりに慣れて長月の浮かびたるごと里居続けぬ

2021-09-29 21:03:00 | Weblog

 台風接近。

 今日帰館の筈が、昨夜から失調して延期。今夜は何ごともない。

 母のいない実家にアクアとふたりで暮らしていても、どこかで母の記憶に遠慮がある。山梨にひどく帰りたがっていたからだろう。透析でさえなければ、また骨折がなければ。

 母の溜め込んだごみや古い食材など、この2ヶ月の往来生活でかなり整理できた。

 いずれコロナを管理抑制できる社会になったら、日帰りでも一泊でも、母をここに帰してあげよう。家内のあちこちに浮かぶ母と祖母の記憶に、私はそう答えている。

 


 水彩、ウラオモテ。F3号。

 さまざま感謝。






 

 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

失ひし追憶なべて虹いろの迷宮なれば虚空に消ゆる

2021-09-28 20:58:00 | Weblog

 虹を見て。

 実家の整理片付けをしながら、いろいろ無くなったものに気づく。

 それは言いようのない悲しさだし、途方にくれる。

 それでも、時は流れてゆく。

 今日はチェロを弾いた。

 昨日と今日と明日、自分にできる1番良いことをしようと。


 


 水彩  つかまえた。F3号。


 すべてに感謝。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

猫肥りのそりと歩む秋茗荷辛みたしかな爪を持ちたり

2021-09-27 20:12:00 | Weblog

 手入れをしない庭だが、茗荷は豊作。

 


 夕ご飯は、この茗荷を酢味噌和えと味噌汁に。

 涼しくなって、昨日あたりからしっかりと食が進む。

 せっかく帰省したのだから、少しは息抜きしたいと思う。きりのない片付け家事だが、明日こそは何か。

 コロナ禍だから、少しね。


 


 蝶の捕獲  油彩F 6号。

 すべてに感謝。



 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

風冷えて雨粒いたく人打てば夕餉の鍋の肉厚く切る

2021-09-26 20:35:00 | Weblog

 盆地の秋は一気に深まり、もう夜にはしんと肌寒く、味噌仕立てのほうとうが美味しい。1か月前には、油照りの暑さのために台所でお湯をわかすのも避けたほどだった。

 今日などは暖房がほしいとさえ感じた。山梨の秋は冷涼で、足速に訪れる。

 


 海と桜、夕映のピエタ F20号

   今日一日に感謝。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

虫の音のかぼそくなりて夜々冷ゆる家族なき家にやすらぎのある

2021-09-25 20:53:00 | Weblog

 今日一日で、和服の風通しをほぼ済ませた。

 箪笥の奥底から、私が赤ん坊の時、たぶんお宮参りか何かに着せられたネルの襦袢が出てきて、目を丸くした。

 ネルなんて、今時の人は知らないだろう。私の10代の頃までは、高齢者の防寒肌着などによく使われていた、厚手の柔らかい繊維だ。肌触りが良いので、赤ん坊のおくるみにも利用されていたと思う。

 


 長い両袖は紅絹、もみ、で、これも今は生産・販売されない。ただの紅い絹ではなく、柔らかくて防毒効果のある天然染色繊維だ。
 よくも残っていたと感動したが、そのあとこの襦袢に重ねたらしい嬰児用の振袖なども出てきて、もちろん私には覚えがないのだが、奥底の潜在意識には、たぶんこうした衣装の経験があって、今の着物好きに繋がっているのだろう。

 










 祖母の手縫い、手編みの真綿半纏、チョッキ。いずれもしっかりした仕立てだ。

 繊維や素材、染色技法の変化もまた、時の流れを映し出す。

 さまざま感謝。


 


 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

死者たちは勝者となりぬ墓碑を浄め生きたる我は記憶の器

2021-09-24 19:58:00 | Weblog

 彼岸なので、北杜市明野の菩提寺に、お墓参り。数年前に来た時、同行の母はまだ杖で歩くことができた。今回は私だけ。

 










 祖父と祖母だけが眠る墓。

 三男の祖父は本家から分家して新しい菩提寺を持ったということだ。
 田舎の慣習はよくわからないこともある。80年近い昔の話。

 遺族は亡くなった家族の思い出を大切にする責任があると思う。

 感謝。

 


 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋空に喪服広げて風とほすこれ纏ふべき長上みな逝きぬ

2021-09-23 21:22:00 | Weblog

 今日も朝からあれこれ。

 感慨深かったのは、自分用の喪服を干したこと。躾糸もあたらしく、誂えてから手を触れていない。三つ紋の縫いも鮮やかだ。

 だが、私はこの喪服を今後着ることがあるだろうか。
 長着の他には襦袢があるはずだが、見当たらない。絽の喪服にも襦袢がない。それらは別な和服箪笥のどこかにあるかもしれないが、正絹の着物は重く、たとう紙から出してひろげ、一枚ずつ吊るして、風入れするのも、なかなかの労働。

 年配の親類縁者は、既におおかた鬼籍に入り、いまどきは葬儀さえ略式、密葬、家族葬が増えている。
 平成9年に亡くなった祖母の葬式は昔ながらの清儀で、自宅で法要、火葬、初七日、四十九日と、目がまわるほと忙しく、裏方と会計を勤めた私は、着物で服喪するゆとりなど、なかった。
 祖母は残念がったかもしれない。祖母が縫った喪服は、箪笥の肥やしのまま。

 


 祖母には何の恩返しも出来なかった。

 深く感謝している。




 

 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

食ふことの疎くなりたる中秋や非在の人を置く家広し

2021-09-22 19:51:00 | Weblog

 毎日毎日、よく働く。だいたい和服などの整理は済ませた。

 そして、食欲がほとんどない秋。食べなくちゃ、と意識して簡単なものばかりで済ませてしまう。実家で一人暮らしの気安さもある。

 この春夏とあまりにも多事で、多忙だった。今は千葉山梨を絶えず往復しなければならない事態。
 こんな時こそ、がっつり食べなければ、と思うのだが、何を見ても美味しそうに見えない。特に夜は食が進まない。

 


 水彩、女であること。F3号。

 年齢を重ねてもきれいでいたいから、ちゃんと食べなくちゃ(^ ^)


 そうだ、新米を食べたいなあ。

 お味噌汁とおこうこ、ごはん。


 感謝。


 
 
 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

百年の衣あでやかに並びたり纏ひし人らの記憶伝へて

2021-09-21 22:50:00 | Weblog

 昨日今日、和服の風通し。

 中で、胸をつかれるのは、祖母、曽祖母の着物を目にする時。

 母は肥満体型のために、中年過ぎてからは和服を着なかった。祖母は相当な高齢まで、正装やおしゃれ着には和服を好んでいたと思う。
 祖母の着物には彼女の好みがはっきり現れており、紬には見向きもせず、小紋や色無地の柔らかものばかり誂えている。好きな柄は麻の葉や七宝、小花、霰などが多い。縞や格子は一枚もなく、大柄も避けたようだ。色彩は黄色、紺、藍色。年齢のせいか、深緑の色無地も作っている。
 母の着物には黄色や藍色、緑はなく、黄味がかった赤系統、又は濃紫が多い。が、それらに母はほとんど手を通していない。
 古い絹には独特の匂いがあり、時間が経つと、着物がしまわれているその家の匂いとよく似てゆく。
 古い着物からは、もう母や祖母の匂いはしないが、湿った杉や松葉のような時間の気配、香がする、「聞こえる」。

 


 水彩、追憶 F3号。

 私もそろそろ、我が家の着物コレクションの行く末を考え始めている。
 丁寧に保存し、楽しんで纏い、私の後に、年代物のあれこれを慈しんで着ていただける若い女性を願い。

 さまざま感謝。




 
 
 
 

 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アルファポリス