chuo1976

心のたねを言の葉として

そのあとの籐椅子海へ向きしまま         荒井千佐代

2019-05-31 05:59:54 | 文学

そのあとの籐椅子海へ向きしまま         荒井千佐代

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古書店を出でて青葉に染まりたり         波多野完治

2019-05-29 05:48:52 | 文学

古書店を出でて青葉に染まりたり         波多野完治

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看護婦にころがされつゝ更衣        小山耕一路

2019-05-28 07:46:18 | 文学

看護婦にころがされつゝ更衣        小山耕一路

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川面吹き青田吹き風袖にみつ         平塚らいてう

2019-05-27 05:50:29 | 文学

川面吹き青田吹き風袖にみつ         平塚らいてう

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夏野原ねこのしっぽはまっすぐに    わたなべじゅんこ

2019-05-26 08:01:08 | 文学

夏野原ねこのしっぽはまっすぐに       わたなべじゅんこ

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別るるや 夢一筋の 天の川    夏目漱石

2019-05-25 05:01:43 | 文学

別るるや 夢一筋の 天の川        夏目漱石

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「花と卒業式の春に」 授賞式の壇上で見た父の姿       柳 美里

2019-05-24 05:35:24 | 文学

「花と卒業式の春に」 授賞式の壇上で見た父の姿

柳 美里

 昨夜、煙草を買いにサンダルを履いて外に出た時、どこかで花が咲いているのか、甘い匂いが夜気に混じっていた。私は一年の中で花の咲く季節が一番苦手だ。何処にいてもいたたまれないので、なるべく部屋から出ないようにしているのだが、ベランダで育てている葡萄の木が紫色の芽を吹き、私は春の気配に徹底的に追い詰められてしまう。花の蕾と木々の芽吹く香りは死化粧の芳香に酷似していて、私は息が苦しくなる。

 〈花〉という言葉を辞書で引いてみた。

 〈種子のできる高等植物の生殖器官で、葉の変形したもの〉

 花は生殖器官なのだ。

 だから、女たちは花びらのようなブラジャー、スキャンティー、ペチコート、キャミソール、ストッキングを身に纏い、花粉のような白粉、アイシャドー、口紅で自分の顔を染め、花の香りに似た香水をつけるのだ。

 十代の頃、キャバレーで働こうと思い面接に行った事がある。化粧はしません、と言ったら落とされてしまった。今も化粧品は何一つ持っていない。

 小学校の入学式の前日、母は私の髪にパーマをかけた。そのパーマは失敗して、長い間〈オチャノミズハカセ〉とイジメられた。少女マンガにかぶれていた母は、毎年私の髪を編み込んでリボンで結んだ。私はそのリボンが嫌でたまらなかったので、学校に着くまでの間にいつも毟りとっていた。

 小学校の低学年の頃、私は冬でも半ズボンを履いて駆けまわっていた。学校から帰ると、弟を連れて公園に行き、暗くなるまでサッカーの練習をした。ある日、弟が思いきり蹴ったサッカーボールを胸で受けた時、とても痛くて、私はボールを蹴り返せなかった。体が柔らかくなりはじめ、半ズボンが似合わなくなったその頃から、私は猫背になり俯いて歩くようになった。

 鏡に映った自分の体はぞっとするほど醜くて、十二の春、はじめて自殺を考えた。

 それから四年間は死ぬ事しか頭になかった。

 剃刀で手首を刻んだり、ウイスキーを一瓶空けて海に飛び込んだり、睡眠薬を飲んだりしたが、なぜか死ねなかった。

 十六の春、高校を放校処分になった。

 私は中学校と高校が一緒の私立のミッションスクールに通っていたのだが、家出、自殺未遂を繰り返す度に停学になった。そして高校一年の時、他の生徒の迷惑になるからやめてくれと言われた。明日どちらかの親を連れて校長室に行くように、と担任に言われたので、私は母に頼んだ。母が嫌がったので、私は父が勤めているパチンコ屋に行った。翌日、父は校長室で、娘をやめさせないで下さい、と土下座してしまった。校長は父を見下ろして、他の生徒に毒をばらまいているんですよ、と冷ややかに言った。私は窓の外に視線を逃し、音楽室で同級生たちが歌っている讃美歌を聴いていた。

 校門までの道は、桜の花びらで真っ白だった。父に謝りたかったのだが、私の唇はへの字に歪んだままだった。父の背中は、居眠りをしている人の背中のように揺れていた。私は花の匂いの中から父の哀しみを嗅ぎわけた。

 風景が花で汚れるこの季節、電車に卒業式の衣装を着た女子大生が乗ってくると、私は別の車両に移動する。

 私は卒業式というものに一回しか出席した事がない。小学校の卒業式が最初で最後だった。同級生の女の子は泣いていたが、私はちっとも哀しくなかった。いじめやリンチばかり受けていたので、彼らと離れるのは喜ばしい事だったのだ。私は式のあいだ中、笑いを必死になって堪えていた。同級生たちは母親と肩を並べて校門の前に立ち、彼らの笑顔をフィルムに焼きつける為に、父親がカメラを構えていた。私の一家は離散したばかりだったので、記念写真どころではなかった。

 私は花壇のチューリップを引き抜き、その首をへし折り、靴で踏みにじってから校門を出た。裸になった茎をポイと車道に投げ捨てて、母と住みはじめたマンションに電車で帰った。そして、将来小説家になりたい、と書いた卒業文集を机の奥に隠し入れ、鍵をかけた。

 十八の春、戯曲を書きはじめた。葬式をしたかったのだ。私にとって芝居は葬式なのだ。葬式というものは、いつだって死者の為ではなく、生き残った者の為に行われる。〈お花のない葬式は悲しいものです〉。これはフランスのある花屋が出した広告だが、棺の中の死者を花で埋め、墓を花で飾るのは、その人のなまなましい死を忘れる為なのだと私は思う。生き残った者は死者を忘却の淵に沈め、生き続けなければならない。

 私は九本の芝居を書いた。死ねなかった自分を芝居の中で九度殺し、九度葬ったわけだ。

 今年、岸田戯曲賞受賞し、授賞式の壇上で父の姿を見た時、私は父の為に卒業式をしているのだ、という思いがこみあげてきた。

 

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象が来て小さな日影夏兆す        佐藤成之

2019-05-23 05:48:40 | 文学

象が来て小さな日影夏兆す        佐藤成之

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踏切を渡れば一気夏の海       大輪靖宏

2019-05-22 05:31:39 | 文学

踏切を渡れば一気夏の海       大輪靖宏

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五月雨の降のこしてや光堂        松尾芭蕉

2019-05-21 06:18:09 | 文学

五月雨の降のこしてや光堂        松尾芭蕉

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札幌国際芸術祭

 札幌市では、文化芸術が市民に親しまれ、心豊かな暮らしを支えるとともに、札幌の歴史・文化、自然環境、IT、デザインなど様々な資源をフルに活かした次代の新たな産業やライフスタイルを創出し、その魅力を世界へ強く発信していくために、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として、2014年7月~9月に札幌国際芸術祭を開催いたします。 http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/about-siaf