chuo1976

心のたねを言の葉として

「林檎畑」  金子みすず

2012-11-29 05:15:47 | 文学
「林檎畑」  金子みすず



七つの星のそのしたの、
誰も知らない雪国に、
林檎ばたけがありました。

枝もむすばず、人もいず、
なかの古樹の大枝に、
鐘がかかっているばかり。

  ひとつ林檎をもいだ子は、
  ひとつお鐘をならします。
  ひとつお鐘がひびくとき、
  ひとつお花がひらきます。

 
七つの星のしたを行く
馬橇の上の旅びとは、
とおいお鐘をききました。

とおいその音きくときに、
凍ったこころはとけました、
  みんな泪になりました。

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「金魚のお墓」  金子みすず

2012-11-28 06:34:22 | 文学
  「金魚のお墓」  金子みすず



  暗い、さみしい、土のなか
  金魚はなにをみつめてる。
  夏のお池の藻の花と、
  揺れる光のまぼろしを。

  靜かな、靜かな、土のなか、
  金魚はなにをきいてゐる。
  そつと落葉の上をゆく、
  夜のしぐれのあしおとを。

  冷たい、冷たい、土のなか、
  金魚はなにをおもつてる。
  金魚屋の荷のなかにゐた、
  むかしの、むかしの、友だちを。
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「お花だったら」  金子みすず

2012-11-27 04:57:54 | 文学
 「お花だったら」  金子みすず



もしも私がお花なら、
とてもいい子になれるだろ。

ものが言えなきゃ、あるけなきゃ、
なんでおいたをするものか。

だけど、誰かがやって来て、
いやな花だといったなら、
すぐに怒ってしぼむだろ。

もしもお花になったって、
やっばしいい子にゃなれまいな、
お花のようにはなれまいな。
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「花のたましい」  金子みすず

2012-11-26 07:03:24 | 文学
  「花のたましい」  金子みすず



散ったお花のたましいは、
み佛さまの花ぞのに、
ひとつ残らずうまれるの。

だって、お花はやさしくて、
おてんとさまが呼ぶときに、
ぱっとひらいて、ほほえんで、
蝶々にあまい蜜をやり、
人にゃ匂いをみなくれて、

風がおいでとよぶときに、
やはりすなおについてゆき、

なきがらさえも、ままごとの
御飯になってくれるから。

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「曼珠沙華(ヒガンバナ)」  金子みすず

2012-11-25 04:34:53 | 文学
 「曼珠沙華(ヒガンバナ)」  金子みすず



村のまつりは
夏のころ、
ひるまも花火を
たきました。
 
秋のまつりは
となり村、
日傘のつづく
裏みちに、
地面(ヂベタ)のしたに
棲むひとが、
線香花火を
たきました。
 
あかい
あかい
曼珠沙華。
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「内海外海」  金子みすず

2012-11-24 06:19:15 | 文学
 「内海外海」  金子みすず



内海さらさら
外海どうど、

内海砂原、
外海石原。

内海こみどり
外海藍いろ、

内海いぢわる
外海おこりんぼ、

内海女の子
外海男の子。

瀬戸ぢやけんくわの
渦が巻く。
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 「空色の花」  金子みすず

2012-11-23 05:54:57 | 文学
  「空色の花」  金子みすず



青いお空の色してる
小さい花よ、よくお聴き。

むかし、ここらに黒い瞳の、
かわいい女の子があって、
さっき私のしてたよに、
いつもお空をみていたの。

一日青ぞら映るので、
お瞳はいつか、空いろの、
小さな花になっちゃって、
いまもお空をみているの。

花よ、わたしのお噺が、
もしもちがっていないなら、
おまえはえらい博士より、
ほんとの空を知っていよ。

いつも私が空をみて、
たくさん、たくさん、考えて、
ひとつもほんとは知らぬこと、
みんなみていよ、知っていよ。

えらいお花はだァまって、
ぢっとお空をみつめてる。
空に染まった青い瞳で、
いまも、飽きずにみつめてる。
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「さくらの木」  金子みすず

2012-11-22 03:58:56 | 文学
 「さくらの木」  金子みすず



もしも、母さんが叱らなきゃ、
咲いたさくらのあの枝へ、
ちょいとのぼってみたいのよ。

一番目の枝までのぼったら、
町がかすみのなかにみえ、
お噺のくにのようでしょう。

三番目の枝に腰かけて、
お花のなかにつつまれりゃ、
私がお花の姫さまで、
ふしぎな灰でもふりまいて、
咲かせたような、氣がしましょう。

もしも誰かがみつけなきゃ、
ちょいとのぼつてみたいのよ。
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「井戸ばたで」  金子みすず

2012-11-21 06:20:29 | 文学
 「井戸ばたで」  金子みすず



お母さまは、お洗濯。
たらいの中をみていたら、
しゃぼんの泡にたくさんの、
ちいさな お空が光ってて、
ちいさな 私がのぞいてる。

こんなに 小さくなれるのよ、
こんなに たくさんになれるのよ、
わたしは 魔法つかいなの。

何かいいことして遊ぼ、
つるべの縄に 蜂がいる、
私も蜂になってあすぼ。

ふっと、見えなくなったって、
母さま、心配しないでね、
ここの、この空飛ぶだけよ。

こんなに青い、青ぞらが、
わたしの翅に触るのは、
どんなに、どんなに、いい気持。

つかれりゃ、そこの石竹の、
花にとまって蜜吸って、
花のおはなしきいてるの。

ちいさい 蜂にならなけりゃ、
とても聞こえぬ おはなしを、
日暮れまででも、きいてるの。

なんだか 蜂になったよう、
なんだか お空を飛んだよう、
とても嬉しくなりました。
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「仲なほり」  金子みすず

2012-11-20 05:08:16 | 文学
 「仲なほり」  金子みすず



げんげのあぜみち、春がすみ、
むかうにあの子が立つてゐた。

あの子はげんげを持つてゐた、
私も、げんげを摘んでゐた。

あの子が笑ふ、と、氣がつけば、
私も知らずに笑つてた。

げんげのあぜみち、春がすみ、
ピイチク雲雀が啼いてゐた。
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札幌国際芸術祭

 札幌市では、文化芸術が市民に親しまれ、心豊かな暮らしを支えるとともに、札幌の歴史・文化、自然環境、IT、デザインなど様々な資源をフルに活かした次代の新たな産業やライフスタイルを創出し、その魅力を世界へ強く発信していくために、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として、2014年7月~9月に札幌国際芸術祭を開催いたします。 http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/about-siaf