chuo1976

心のたねを言の葉として

水仙     塔和子

2017-12-10 05:18:56 | 文学

水仙       塔和子

 

 



ゆらりと咲いた水仙

切るとじくから花へ

真直ぐにゆきわたっていた水が

切られたところで勢いあまって

したたる

水は花になったり

野菜になったり

果実になったり

さまざまな姿をもって

現れる

しかしこの奥深い水の変身

こまやかな芸の

神秘に思いをめぐらせて

見るものがあろうか

切った水仙を

花瓶の水に移すと

水仙は

その成り立ちの水を

音を立てるように吸い上げ

清楚な香りを波ように

ゆっくりと広がらせて

活けた私をたじろがせる

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