気まぐれ徒然かすみ草ex

京都に生きて短歌と遊ぶ  近藤かすみの短歌日記
あけぼのの鮭缶ひとつある家に帰らむ鮭の顔ひだり向く 

どんぐり 大島史洋 現代短歌社

2020-04-23 23:21:27 | 歌集
最後には歌が残ると言いたれどおのれの歌にあらぬさびしさ

人はついに分からぬからに卓上の眼鏡の玉を見つめていたる

絵のような写真は残る若き母父にもたれてリラの花の下

だんだんと変になりゆく自分なりそれを知りつつ少し楽しむ

ねんてんの随筆をよむつまんないなあと浮かぶねんてんの顔

始めあれば終わりがあるということば平凡にして身に沁みるなり

公園に陽を浴びているあたたかさこんな時間を吾は得たりき

比較するおのれの性を人間のゆえと思えど寂しきろかも

思うべし誰にもわからぬ終末を迎えつつあるホモ・サピエンス

暗闇の中に聞きいる朝のニュース生きたければみずからに守れ、と

(大島史洋 どんぐり 現代短歌社)