備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

会期中の食レポ(蕎麦編)

2018-06-30 11:10:03 | 料理・食材


お江戸にあっては蕎麦を頂くのが通例。有名店でも、そうでなくとも。
うどんはご縁なし。たぶん学生時代のトラウマ的体験だろうな。それに今春の讃岐詣で(グループ展@かまどホール)で堪能したし。


まずは、東京へ降り立ったその足で朝ご飯。恒例の一軒目。

鰹節のガツンとした出汁は、まさに江戸のファストフードを思う。ただし、従業員は外国人でしたが。

夜の吞みも蕎麦屋へ。

最後に蕎麦でキリッと締める。

吞んだ後のラーメンみたいに味覚が何処かへ拡散していく充実感も楽しいけれど、蕎麦はピシッと一点集中してスッキリと切り上げられる。心地良い。


その他にも機会があれば! いや、隙あらば! 蕎麦屋へ。


新宿で打ち合わせしつつ、ディープなところで吞む。

解散後、ふらりと路地の奥へ。相変わらずスマホ片手の外国人カップルが多い。探検地としては安全なエリアかもね。

記憶の中では「天玉そばを頂いた」と思っていたが、画像によると「天麩羅そば」だった。驚愕!
これだから酔っ払いは……、天玉は去年の記憶だ。( ← 合ってるのか?)


移動中にも。
ちょっと気取ってるけど、気の利いたツマミもあるお店。去年も来たな。
(少し昼酒しちゃうか? おっ、鱧? つか、これは関西で頂きたいよなぁ……)とか思っているうちに、着席していました。

若干、店員さんのマニュアル対応を感じるのは、多分、小生の標準語に対する不慣れだと思う。

締めに『挽きぐるみの蕎麦』を。(写真は去年の)
「ふふ、精一杯のワイルドさを示してみな!」の気分。はい、香り良く頂きました。ワサビも良い。


ほぼ毎日、前を通っていた歌舞伎座の裏手で見つけた蕎麦屋さん。ごく狭い間口ながら、店名はズバリである。
オケの地方公演での経験から「こういう立地でこの佇まい。これは良いぞ」とヒラメキが。

店内はカウンター10席ほど。
食券を購入するタイミングで、天麩羅鍋にかき揚げ投入。カウンターで待っている人の数から判断して、揚げ立てが来る事に賭ける。

厨房の二人はオーダー以外に声を発しない。阿吽の呼吸で茹で上げ、盛り付け、蕎麦猪口を出すコンビネーション・プレー。
かき揚げは、手でワシワシ割って盛り付けるのが流儀らしい。
麺は口元で跳ね上がる程ピンピン。蕎麦つゆの醤油の香りも良い。しばし後に、蕎麦湯が静かに置かれる。良いタイミング。
ワサビが、かなり残念。


まぁ、色々ありましたね。
去年まで「良いな」と思ってたお店が、全般的にダメになってたところもありました。(ここに書かないけど、去年の記事で判っちゃうな)
上京中にアチコチで伺った蕎麦屋の評価が、金額の多寡ではなく千差万別だったのが面白かった。
東京という人口と店舗数の多さがなせるところであるか。

好みの合うお店を見つけて通うのが楽しいのだろうけれど、年数回の上京では開拓するだけで精一杯。
まぁ、それゆえの楽しみ方もあるはずだ。

「さて、どこへ行こうかしら、熱湯は広大だわ」


次回はどうしよっかなぁ~~。

またの楽しみにします。 ( ̄ε ̄)~♪























会期中の食レポ(築地)

2018-06-29 12:44:17 | 料理・食材


個展会期中の食事情を公開する需要の有無はさておき、まぁ、個人的な恒例でありますので。


初日は金曜日。早目に到着して銀座を通り抜けて京橋へGO~~。
東京生活のスイッチを入れるのは、朝の蕎麦が定番。
いつも行くお店の支店へ。鰹節問屋さんが経営しているので、東京の出汁を体に沁み込ませます。濃い……。

なんて事ないけど、これが「さぁ、頑張ろう」スイッチ。
旅情に欠ける都会にあっての郷愁と言うべき味なのだな。たぶん。

ご飯を頼むと、必ずセットでくる削り節の粉末。問屋さんならではのサービス。お持ち帰り禁止です。

生玉子も同時に注文する。

これをこう……

……しちゃうよねぇ。

朝から大満足。


さて、初日が終わってお気に入りの寿司屋さんへ。ちょっと摘んで吞もう。
『酒器の勉強(修学旅行編)』の始まり。

まずは『赤貝の酢のもの』。ビールもそこそこに日本酒へ切り替える。

マルサルボウじゃなくて、ちゃんと赤貝。ヒモも入っていて良いねぇ。コリコリと甘味が広がる。

黒板の『本日のカマ焼き』を訊くと「カンパチ!」との事。
オーダーすると店の奥から「無くなったからキンメになるよ! 頭? カマ?」との声。
「いや…むしろ、それが良いです」
目玉気分でなかったので「ワタシ、カマです」……なにかのカミングアウトかよ。

手のひらサイズのカワイイのが2尾分出てくる。
「わぁっ、小っちぇえ~~」と思ったものの、良い塩梅にて冷酒追加。

キンメダイのタイ。

体に似て、ずんぐりカワイイ。

さて、お寿司へ。
キンメダイでブリがついたので……。( ← 岡山弁、ブリ≒勢いの意)
「今日は、鯛をメインに行こう!」と決める。 
本日のメニューのうち知らないのは、ハナダイ、ヒメダイ。(ホンマにお前ら鯛か?)

ハナダイはチダイと判明。身が若干ユルいけれど甘味がある。サイズと経過時間で食感が変わるのだろうな。
ヒメダイは初見。鯛じゃないけど上品な白身。これ好き。

途中でタコを挟む。ポン酢仕立てで。生にスダチがキリッと利く。貝類も頂く。
締めは、満を持してアナゴ!
厨房への「フワフワ、一丁!」の符丁の通り、口の中で広がって解けていく。
敢えて巻き物は無しで、お勘定を。
店から出る。煮アナゴのタレの口福感を感じながら歩く。夜風が心地良い。


そして、毎度の事ながら宿泊は築地。ほぼ毎日、築地を経由して出勤する為である。

ギャラリーは11:00からなので、遅めの朝ご飯を頂きます。

鶏肉専門店で鶏雑炊……と迷ったけれど親子丼を。濃い……。
鶏ガラのスープも濃いが、あと口はサッパリと……お茶を買いました。


土曜の晩は、ディープな蕎麦屋さんで呑み。酒のラインナップが好ましい。

ラベルがカワイイ。夏はカブトムシ、冬は雪だるまだそうで……。

お通し『煮ツブ貝の冷製』で一献。これはメスですな。

テリーヌのような食感と濃密な味。スッキリとしたお酒と合わせて。

狭いお店なので、居合わせたマグロ屋女子とカジキマグロ屋女子の炸裂トークを堪能しました。
漫才師か? ただの酔っ払いか。

締めは、『辛味大根の蕎麦』

この店は、味のキレが良い。多分、かえしが良いんだろうな。麺も好ましいし。
「こんなに大根要らないよ」と思ったけれど、蕎麦につけながら頂くと丁度良い分量でした。

閉店時間に店を出る。

築地市場はすっかり静まっていて、異世界への入り口のように店舗の灯りが路地に放たれていました。
酔っ払いのマグロ屋とカジキマグロ屋の姿が、千鳥足で闇に吸い込まれて行くのをお見送り。
気のせいか、嬌声が耳の奥で小さくもリフレインしている。
コチラも酔ってるな。

「マグロ屋を信じろ」の言葉を胸にホテルへ。


さて、蕎麦については店舗が多いので、また別にアップするとして今回はここまで。


上京する度に、お気に入りの店が出来るのも良いし、新規開拓も楽しい。
まぁ、食欲物欲に堕ちると危険な街だわ。


今は拙宅にて、ご近所さんから頂いた野菜にホッとしているところであります。

そして、日常の『酒器の勉強』へユルユルと。

これもまた良し。









個展@銀座 終了致しました。

2018-06-28 12:09:44 | 展覧会・ご案内


個展@銀座、夢幻庵での『Ballet Mécanique』、終了致しました。
ご高覧、ご購入有難う御座居ました。

展覧会タイトル『Ballet Mécanique』(バレエ・メカニック)は、画家フェルナン・レジェの実験映画(1924年製作)から採用しました。
キュビズムの作家らしく人体や機械をパーツ分けして交互に構成、機械の部品と身体の一部がモンタージュされて『機械が踊る』表現となっています。
撮影はマン・レイ。画面のコントラストの強さが特徴的。
音楽はジョージ・アンタイルで、ストラヴィンスキーの影響が濃厚。個人的にこういうのは好きな部類です。

映画にご興味ある方はどうぞ。YOUTUBE
不協和音にサイレン、執拗に反復する映像に不安を煽られますが、まぁ、『2001年宇宙の旅』が最後まで見られる人は大丈夫かと。

音楽だけもあります。ストラヴィンスキー好きな方はどうぞ。
・鍵盤楽器とパーカッションの編成。やや単調ですが。YOUTUBE
・小編成でエッジが利いているのはコチラ。オススメ。YOUTUBE

タイトル関連で結構な頻度で訊かれたのは「教授の?」というものでしたが、そちらではないです。
世代的にテクノ音楽の頃ですから、無理からぬ事でして。


……という事で、今回の出品作に機械の部品・三つ足の花器などパーツに視線が行くモノが多くありましたので、意識的なタイトルとしました。



さてさて、恒例となりつつある搬入直前のチビ窯窯焚き。食器中心でした。

今、やっている面取技法の4種類ほどをひとつの器に落とし込んだモノ。


この面取で、尚且つ、杢目のモノは評判が良いけど、歩留まりが悪い。

精進せねばなっ。


築地パトロールでは、レアな野菜も入手。

山科トウガラシ。万願寺のような甘味のあるものらしい。ホテル生活だったので試せず。
谷中ショウガは持ち帰って、酢漬けに。楽しみ。


さてさて、会期中のお声を参考に新たな構想も出来ましたので、また!
次回はミライノカセキがガラッと変わります!(あっ、言っちゃった)


皆様、有難う御座いました。m(_ _)m

まずは、急ぎ御礼まで。



さぁ、来週は、広島だ~~~!
『備前細工物』の展覧会。ご案内はまた別の機会に。こちらもよろしくお願い致します。














【ご案内】 個展@銀座

2018-06-20 18:05:53 | 展覧会・ご案内


直前となりましたが、告知です。

個展@銀座です。

2年前に『ミライノカセキ』のシリーズ化を意識した場所で。今回は花入と手のひらサイズも登場です。
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タイトル : 『 Ballet Mécanique 』
会場 : ギャラリー夢幻庵 銀座店
会期 : 6/22(金)~27(水)11:00~19:00

在廊 : 22(金)、23(土)、24(日)
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タイトルの『Ballet Mécanique(バレエメカニック)』は、テクノ音楽の方ではなくて、フェルナン・レジェ氏の実験映画から引用しております。


ギャラリーは抜群に判りやすい立地です。ビルの2F。

表に出るとGINZA SIXが見えています。ぐ~~っとナナメ先には銀座ライオンが。ステキな誘惑多くてねぇ。
毎朝、例によって築地パトロールをしてから会場に参る予定。楽しみ。


ほぼ1ヶ月前に『ひがしやま備前焼市』が終了して、本格的に引き篭もり生活を開始しました。
製作・窯焚き・犬の散歩という実にやきもん屋らしい生活。素晴しい。

しかし、製作に時間制限をしないので、いつも体力気力が続く限りは仕事。
寝るのも明け方やら昼やら不規則。睡眠というより意識不明か……。なので日常の記憶が定かではありません。
徹夜続きから昼夜逆転し、更に逆転して元通りに。今は世の中的に健全な生活時間に戻っています。たまたまですが。

細君には「ギリギリで仕事するからだよ!」と窘められましたが、「ギリギリまで諦めないで製作するのだ!」と大見得を切っておきました。


そんなこんなでギリギリで御座いますが、ご高覧頂ければ幸いです。m(_ _)m


(以上、CM終わり)


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さてさて、生活……というか、仕事内容のバランスの違いで食事事情も色々でした。


■ひがしやま備前焼市の前。(引き篭もり前)

『備前PIZZA』のメニュー開発が印象深かった。「備前の海、山、里を一枚のピザに!」というコンセプトで。 

備前産材料を走り回って集めて、試作などしておりました。完全に職業を見失っているなぁ……。

生地は米粉ベース。耕作放棄地を再開発して作られているお米。


野菜も地元。


たもぎ茸。工場野菜的な作り方のキノコ。食感はマイタケ、酸味はエリンギが近いか。


魚は朝市で。


他にも備前をグルグルまわると色々な食材や調味料があって面白かった。


宣材写真も撮った。

備前っぽく……。テヘペロ。( ← 古っ)

実際はこんな感じ。

魚のピザって美味しい。もちろん味付けで使ったドレッシングもGJなんだけど。


それにしても……。
なんちゃってフードライター、
なんちゃってコピーライター、
なんちゃってカメラマン、
一人で色々こなしたなぁ。ただし、ギャラなし……。( ← ったく! こういうところですよ、いつも)

まだまだ本気でブラッシュアップしたら、面白いものが出来るだろう。
ピザ窯は備前のレンガで造れるし。
もはや小生が監修しても良いレベルかもな。  ← お仕事待ってま~~す! テヘッ (^。^ゞ


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■引き篭もり中。

救援物資の如く食材を頂く事が多い。皆さん、どこかで見てるのかしら?

ヤキモノ屋さんから。

釣り帰りに頂いたので、かなり新鮮。ギリギリの薄味で煮魚に。季節柄、新ワカメも添えて。

近所の農家さんから。

拙宅の子供が好きなメニュー『ジャガイモとキャベツのアンチョビ炒め』を。ビールが旨い。
多分、このリクエストするような子供は将来、酒呑みだろうな。遺伝を確信。
次回はジャガイモを拍子切りにして『青椒肉絲』的ビジュアルにしよう。

ヤキモノ屋さんチから。

師匠の奥様直伝の『タケノコの味噌炒め』。山椒が良い。出会いだなぁ。


この時期は、すぐに作れるものが多かった。

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■窯焚き中。

お手伝い先の窯裏にある淡竹(ハチク)を皮ごと1時間掛けてゆっくりと焼く。なにせ窯には付きっ切り。こういうのはある意味、贅沢ですらあるぞ。

薄っすらと焦げた皮の香りが心地良い。

ご満悦な朝ご飯に。味噌に山椒を混ぜ込んで。

炊きたてご飯と一緒に頂く。フンワリとした蒸気を頬張る幸せ。

拙宅のチビ窯も窯焚き。

お神酒と称して抜栓。少しだけ直会。夜食には秘蔵の天麩羅蕎麦(カップ麺)を。いかにも窯焚き現場テイスト。
しかし、窯焚きをしている時が一番ストレスフリーではある。
但し、クライマックスはヒリヒリ。「メシ? 何ソレ?」状態。
「ウチの窯はピーキー過ぎてな!」

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■窯焚き後。

毎年お楽しみにしている『あやめ茶会』のお手伝いに。今年は江戸千家。
スタッフなのに贅沢にも花を眺めつつ、ステキな点心を頂きました。最後のお席で宗匠自らの濃茶も頂きました。

世間から隔絶された空間で、緊張感がありつつもゆったりした時間。
印象的だったのは、伝藤原行成の軸、黒い織部・呉器の茶碗など。花も素晴しかった。
お菓子の紫陽花の色の合わせ方もまさに今の季節。
ご縁に感謝です。

__________


さて、怒涛ではありましたが、今は心身リフレッシュしております。
モノも無事にギャラリー到着したらしい。
散髪は明日だ。

毎度の事ながら、個展前はドキドキとワクワクの綯い交ぜな感覚で、ソワソワする。


どうぞ、皆様よろしくお願い致します。m(_ _)m











































鉄バクテリア

2018-06-03 18:33:15 | 陶芸


窯焚きお手伝い先のヤキモノ屋さんの窯場の横に水路がある。そこに鉄バクテリア(代謝物・死骸)が集まっていた。
鉄バクテリアとは、水溶性の二価の鉄イオンや二価のマンガンイオンを酸化する土壌微生物の一種。(←Wiki的情報)
まぁ、簡単に言えば『鉄を喰うバクテリア』である。(←小生的情報)
陶芸業界的には『そぶ』と言う鉄原料。

そういえば小松左京のデビュー作『日本アパッチ族』ってのがあったなぁ。
戦後の大阪でスクラップ置き場に住まう人々が、くず鉄を食べて精製された鉄を排泄する新しい能力を持ち、その新しい人類と権力者との闘争劇。
中学の時に通称アパッチと呼ばれてた先生が紹介した本。ふと、思い出した。

さて、そぶの件。
今までは「無釉焼き締めのやきもん屋には要らぬものよなぁ」とスルーしていた。
しかし、まぁ、「ローカルな材料で作る」という面白さはあるので、ちょっと思い立って回収した。梅雨入り前の今がチャンスか。
そもそも安定した鉄ならば、ベンガラがあるんだけど……。しかも安いし。


窯元に在籍中にやったテストピース。

テストしただけで、その後は何もせず。

今日、掬ったもの。

手が黄色くなるが、臭いはしない。

ひとまず、裏漉しだな。


塊もすぐに潰れる。


液体が出来た。

これを乾燥させて擂るのが本来の作業工程なんだろうけど……、え~~と、白象嵌の土に使っている乳鉢は汚したくないので……、ひとまず密封の儀だ。

う~~ん、これでまた先送りか? 塩を使っていないけど塩漬けか?


精製しても効率が悪そうなので、手軽に使える方法をテストしたいなぁ。
いや、もっとも手軽なのはベンガラ使う事だろ!という内なる声が聞こえるが。それはそれとて。

でも、使い物になれば地元原料での製作となるしなぁ。
「備前産!」と言いたいだけでは……。


今回はテストだけでなく、完成イメージもある。
しかし、テストするのに時間がかかるなぁ。


さてさて……。 ( ← ベンガラは既に持っているんだが)