奇想庵@goo

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2010年に読んだ本【12月】

2011年01月05日 01時33分23秒 | 本と雑誌

背表紙は歌う (創元クライム・クラブ)背表紙は歌う (創元クライム・クラブ)
ミステリとしては、日常の謎系といっても弱い感じだけど、本にまつわるお仕事を描く姿はやはり魅力的。成風堂シリーズに比べるとキャラクターが弱いかなと思うが、前作に引き続き書き下ろし分に成風堂が関わっていてニヤリとしてしまう。
読了日:12月01日 著者:大崎 梢
★★★

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学
久し振りに読んだ哲学関連書。講義を元にしている点や現実の問題を扱っている点で非常に読みやすい。10年前であればコミュニタリアンの思想には反発を覚えたと思うが、コミュニティの重要性は最近強く意識するようになった。それでもコミュニティを基にした道徳性・宗教性を信奉するのは怖すぎる。リベラルの限界を認識しつつ、それをコミュニタリアニズムによって乗り越えられるのかどうか。サンデルの話をもっと聞いてみたいね。
読了日:12月01日 著者:マイケル・サンデル,Michael J. Sandel
★★★★★★★感想の記事

鷺と雪鷺と雪
別宮と勝久とのやりとりはゾクリとするような感覚があった。北村薫らしい精緻な文体は素晴らしいが、それ以上の特別な何かがあるかと言えば微妙にも思う。主人公への感情移入が「円紫さん」シリーズほどできなかったせいもあるだろう。完成度は高いが、やや物足りなさも残る一冊だった。
読了日:12月04日 著者:北村 薫
★★★★

氷菓 (角川スニーカー文庫)氷菓 (角川スニーカー文庫)
小市民シリーズに比べるとマシかなあ。主人公との距離感は相変わらず好きになれないが、周りの面々が救いといえば救い。「日常の謎」の部分は悪くはなかったけど、この著者とは根幹のところで相容れないものがあるのかもしれないね。
読了日:12月06日 著者:米澤 穂信
★★

初恋ソムリエ初恋ソムリエ
地に足がついてない感じがラノベっぽく思わせる。特に「周波数は77.4MHz」の展開の端折り方は。吹奏楽部の様子は「放課後ウインド・オーケストラ」とイメージがダブるところも。一方、過去の罪を問うという意味では同時に読んでいた「氷菓」もそうだけど、正直納得はできない。
読了日:12月07日 著者:初野 晴
★★★★

このマンガがすごい! 2011このマンガがすごい! 2011
読了日:12月11日 著者:
感想の記事

ハレルヤオーバードライブ! 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)ハレルヤオーバードライブ! 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
キャラや音楽シーンは○。少年マンガの展開の速さについていきづらいのは年を取ったせいか・・・(´Д⊂
読了日:12月11日 著者:高田 康太郎

ハレルヤオーバードライブ! 2 (ゲッサン少年サンデーコミックス)ハレルヤオーバードライブ! 2 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
ストーリーはお約束だけれど、見せ方は本当にうまいと感じる。これでもう少しオリジナルな何かがあれば化けそうな気もするけど・・・。
読了日:12月11日 著者:高田 康太郎

アリアドネの弾丸アリアドネの弾丸
「このミス」の座談会で「ミステリーじゃない」と言われるのにムカついてコレを書いたんじゃないかと推測されているけど、やっぱりミステリー立ての方がいいねw なじみのキャラもオールキャストっぽい感じに活躍してるし、娯楽として非常によく出来た作品になってるね。
読了日:12月12日 著者:海堂 尊
★★★★★★

ゴーストハント①旧校舎怪談 (幽BOOKS)ゴーストハント①旧校舎怪談 (幽BOOKS)
小野不由美ファンでこのシリーズが一番好きと言うと白い目で見られるかもだけれど、好きなものはしょうがない。何度も読み返しているシリーズなのに初めて読むようなドキドキ感があった。好きだから欠点が見えないのかもだけど、しょうがないじゃないか!
読了日:12月13日 著者:小野不由美
★★★★★

のだめカンタービレ(25) <完> (講談社コミックスキス)のだめカンタービレ(25) <完> (講談社コミックスキス)
オペラ編のドタバタ感こそが本来ののだめカンタービレって感じがしないでもない。青春群像劇だったパリ編も良かったけどさ。破天荒でアクの強いキャラクターたちが暴れ回る様は、これぞのだめ!って思ってしまった。特に菅沼がいいねっ!
読了日:12月14日 著者:二ノ宮 知子

愚者のエンドロール (角川スニーカー文庫)愚者のエンドロール (角川スニーカー文庫)
率直な感想は、「それで?」。シチュや描写は嫌いじゃないが、主人公が好きになれないのは他の米澤作品と同様。「女帝」は珍しく良いキャラだったけれど。ただ文句ばかり言いながら、それでも読んでしまうのは西尾維新もそうだけれど、それなりに好きな要素があるからだとは思う。いや、単に「日常の謎」が好きなだけかもしれないが・・・。
読了日:12月15日 著者:米澤 穂信
★★★

喜嶋先生の静かな世界 (100周年書き下ろし)喜嶋先生の静かな世界 (100周年書き下ろし)
10年ぶりくらいに読んだ森博嗣。理知的というより理系的と呼ぶべき世界観は相変わらずユニーク。純粋な学問の世界は確かに素晴らしく感じるけれど、一方で社会との繋がりが軽んじられている印象も受ける。思考に沈んでいく様子は羽生名人の言葉を思い出した。若いうちしか没頭できないという面ではトップアスリートを思い起こさせる。理解したり共感したりできる部分もある一方で、遠い世界にも感じる。小説としての面白さというよりも、いろいろと深く考える材料がたくさん提示された作品だった。
読了日:12月20日 著者:森 博嗣
★★★★★

和菓子のアン和菓子のアン
「焼きたてのスフレを前にしたら、すべては後回しです」で何もかもオールOK!って感じになっちゃった。ジャンルとしては「日常の謎」系ミステリだけど、ミステリと呼べるかどうか微妙な感じ。「成風堂書店事件メモ」シリーズと同じくミステリは添え物で環境やキャラクターを楽しむストーリー。和菓子ものフィクションとしては『福家堂本舗』には及ばないものの気軽に楽しめるノリにはなっている。
読了日:12月25日 著者:坂木 司
★★★★

戦うボーイ・ミーツ・ガール―フルメタル・パニック! (富士見ファンタジア文庫)戦うボーイ・ミーツ・ガール―フルメタル・パニック! (富士見ファンタジア文庫)
一時代を築いたライトノベルの金字塔。なるほど、エンターテイメントとしては最近のラノベよりも完成度は遥かに高い。次は短編を読んでみたい。
読了日:12月25日 著者:賀東 招二
★★★★★★

GOSICK IV-ゴシック・愚者を代弁せよ- (角川文庫)GOSICK IV-ゴシック・愚者を代弁せよ- (角川文庫)
ついにヴィクトリカとアヴリルが邂逅し、久城を巡る三角関係がディープでハードに炸裂・・・ってわけではないけれど、ヒロイン二人のやりとりは楽しい感じ。さて、アニメの方はどんな感じになるのかしらね。
読了日:12月26日 著者:桜庭 一樹
★★★★

放っておけない一匹狼(ローン・ウルフ)? (富士見ファンタジア文庫―フルメタル・パニック!)放っておけない一匹狼(ローン・ウルフ)? (富士見ファンタジア文庫―フルメタル・パニック!)
長編よりもこちらの方が最近のライトノベルの主流に近い。ここにハーレムと優柔不断を加えれば完璧。でも、この二つの要素はラノベの「癌」でもある。それなのにそれらがないと物足りなくも感じてしまうわけで、毒されてしまったんだなあと思ってしまった。
読了日:12月27日 著者:賀東 招二
★★★★

疾るワン・ナイト・スタンド―フルメタル・パニック! (富士見ファンタジア文庫)疾るワン・ナイト・スタンド―フルメタル・パニック! (富士見ファンタジア文庫)
テンポの良さはさすが。ラブコメ展開は王道って感じだけれど、二者択一の判断をずるずると引っ張らないところが良かった。アニメは見てないけど、今回の山場は動いているシーンを見てみたいと思わせるものだった。
読了日:12月28日 著者:賀東 招二
★★★★★

本気になれない二死満塁?―フルメタル・パニック! (富士見ファンタジア文庫)本気になれない二死満塁?―フルメタル・パニック! (富士見ファンタジア文庫)
ギャグは王道で安定感がある。最近のラノベ読んでると疲れるけど、安心して読んでいられる。こういう力技が今は受け入れられにくいのかもしれないけど、書き手の力量不足も原因かもと思ってしまうね。
読了日:12月29日 著者:賀東 招二
★★★★

これはゾンビですか?1  はい、魔装少女です (富士見ファンタジア文庫)これはゾンビですか?1 はい、魔装少女です (富士見ファンタジア文庫)
バカ系。バカであることは悪くない。文章が下手とか下手とか下手とか、構成が下手とか気になるところは多かったけれど、巻を重ねれば改善されるのかどうか。『ベン・トー』のような熱いバカの方が好みだが、世界設定とかいろいろと考えてあるようなのでその辺りの奥行きがどれほどなのかちょっと気になる。アニメには向いてそうだね。
読了日:12月29日 著者:木村 心一
★★★

俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈2〉 (電撃文庫)俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈2〉 (電撃文庫)
麻奈美って必要?とは1巻から気になっていることだけど、ますますその気持ちが強くなった。あやせを安直に翻意させないで解決させた点は良かった。1巻と似た構図のストーリーなのでインパクトに欠けたが、今後に期待って感じ。
読了日:12月30日 著者:伏見 つかさ
★★★★★

自慢にならない三冠王?―フルメタル・パニック! (富士見ファンタジア文庫)自慢にならない三冠王?―フルメタル・パニック! (富士見ファンタジア文庫)
相変わらずどの話も安定した出来。もう少し膨らませてもと思う話もあるが、そう思うくらいが丁度いいのだろう。何気に瑞樹がレギュラー化してたりするのが面白い。
読了日:12月30日 著者:賀東 招二
★★★★★

ラ・パティスリー (ハルキ文庫)ラ・パティスリー (ハルキ文庫)
初上田早夕里。和菓子エンタメの最高峰が『福家堂本舗』なら、洋菓子エンタメの最高峰は『西洋骨董洋菓子店』。やっぱり絵がある方がおいしそうと思ってしまうのは避けがたい。それでも、パティシエ成長譚としては面白く仕上がってはいる。ただ謎解き絡みの部分が理屈っぽいのが万人向けと言い難い部分か。SFならそれでもいいんだけどね。
読了日:12月30日 著者:上田 早夕里
★★★★

揺れるイントゥ・ザ・ブルー―フルメタル・パニック! (富士見ファンタジア文庫)揺れるイントゥ・ザ・ブルー―フルメタル・パニック! (富士見ファンタジア文庫)
ストーリー展開にひねりがなくても、しっかりと見せ場を作ることで読む側を引き込む力は流石。スリリングなアクションシーンは三人称の方がやはり様になる。
読了日:12月31日 著者:賀東 招二
★★★★★

ロウきゅーぶ!〈4〉 (電撃文庫)ロウきゅーぶ!〈4〉 (電撃文庫)
ストーリー自体はパターン化してしまった感じだけれど、試合のシーンはさすがに引き込まれる。一人称の弱点をトークコーナーで今まで以上にうまく解消している点も良かった。ただそろそろ新展開がないとちょっと飽きてきそうな感じになってきた。
読了日:12月31日 著者:蒼山 サグ
★★★★

なれる!SE―2週間でわかる?SE入門 (電撃文庫)なれる!SE―2週間でわかる?SE入門 (電撃文庫)
『蟹工船』読むならコレ読めって感じ?ヒロインはもろ大河なわけだけど、これでラブコメ展開行くの?って気も。で、好きな仕事にワーカホリックにってのは理解できるけど、それだって頑張ればいい仕事ができるっていう一種の信仰のようなものだし、ましてや過労死寸前とかの話がリアルに描かれているわけで。日本はいつからこんな国になっちゃったんだろうね、ってのが正直な思いだねえ。
読了日:12月31日 著者:夏海 公司
★★★★

シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黒の妖精 (角川ビーンズ文庫)シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黒の妖精 (角川ビーンズ文庫)
銀砂糖師の名の通りに「甘い」お話ではあるけれど、その甘さはベタベタしたものではなくすっきりした甘さだった。男性向けラノベのベタ甘っぷりに胸焼け気味だったので、より好ましく感じられた。妖精の描き方が丁寧なのも好感が持てる。
読了日:12月31日 著者:三川 みり
★★★★★★

最後の1週間で駆け込みで14冊読んだ。ほとんどがライトノベルだったが。その中では「フルメタル・パニック!」シリーズがライトノベル史上でも指折りの名作の評判通り、エンターテイメントとしての完成度の高さが感じられた。一方、久し振りに手を出した少女向けライトノベルである『シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黒の妖精』に清新さを感じて惹きつけられた。
遥か過去は妖精が世界を支配していたが、現在では人間が妖精を使役する世界。主人公の少女はそんな妖精との関係を不快に感じている。それはもちろん「甘さ」である。少女は自身の夢を叶えるために妖精を買う。自分に何かさせるのであれば命令せよと言う妖精にお願いしかできない少女。確かに「甘さ」はある。でも、ゼロ年代男性主人公の甘さと比べると大きな違いが感じられる。少女は自分の甘さを自覚しているし、綺麗事ばかり言って行動しないなんてことはない。主従の関係が良くないと思っていても目的を達するまでは仕方ないと割り切っている。そんなリアリズムが少年主人公には受け入れられない。
『彩雲国物語』もそうだが、苛酷な運命を前にしても敢然と立ち向かうのは女性ばかり。作家の性別よりも主人公の性別によってその色彩ははっきりと分けられている印象だ。フィクションの世界において、主人公の性差によってまるで決まっているようだ。男は女らしく、女は男らしく。もちろん「フルメタル・パニック!」やその流れを汲む『ソードアート・オンライン』などの作品もあるのだが……。


2010年に読んだ本【11月】

2011年01月05日 01時23分49秒 | 本と雑誌

蒼林堂古書店へようこそ (徳間文庫)蒼林堂古書店へようこそ (徳間文庫)
「日常の謎」系ってキャラクター性が重要なのかなとちょっと思ってみたり。その点で残念ながら弱い感じが。しかし、ミステリガイドとしては秀逸で、あれこれ読みたいと思わせる紹介があった。図書館に返却する前にメモっておかないと。
読了日:11月01日 著者:乾 くるみ
★★★

街の灯 (文春文庫)街の灯 (文春文庫)
円紫さんシリーズほどの魅力は感じないが、昭和7年の世界が丁寧に描かれていて流石と思わせる。解説に書かれた「暗い時代」は「あのような家に住む者に幸福はない」という言い様に聞こえる。本書を読んで、「分」という概念を強く感じた。確かに人を縛り付けるものだが、それぞれの「分」に応じた生き方や責任があり、現代から照射して劣ったもの、遅れたものと切って捨てるのは傲慢に感じる。ただそれを美徳とみなすのも違和感がある。70~80年前の日本が遠い世界に感じられて、もう戻れない寂しさが作品全体に漂っているように感じられた。
読了日:11月04日 著者:北村 薫
★★★★★

花と流れ星花と流れ星
初道尾秀介として読むには相応しくなかった作品だったかもしれない。キャラクターへの思い入れがないと、物語としては残念ながら物足りない感じがした。尖ったところがないのがかえって受けているのかもしれないが、私には中途半端な印象に。期待していただけに残念だが、作家への評価は長編を読んでからかな。
読了日:11月05日 著者:道尾 秀介
★★

読ませるブログ (ベスト新書)読ませるブログ (ベスト新書)
ブログ歴5年の身からすると、特段目新しい点は無し。とはいえ、自覚している欠点でも改めて指摘されると次からはもっと意識しようとは思う。この本自体がブログのように軽いものなのでわざわざ読む価値があるかは微妙だとも言えるけれど。
読了日:11月05日 著者:樋口 裕一
★★★

ある閉ざされた雪の山荘で (講談社文庫)ある閉ざされた雪の山荘で (講談社文庫)
東野圭吾は不要なものをそぎ落とした文体に魅力がある。それは乾いた空気感となって作品に現れる。しかし、叙述系でひねった作品にこそ著者らしさが最も感じられると本書を読んで思い知らされた。トリック自体よりも仕掛けの妙味を楽しむ作品。
読了日:11月13日 著者:東野 圭吾
★★★★

退出ゲーム退出ゲーム
ラノベだよねえ。エンターテイメントのお約束を前提として余計な部分を端折ってるところなんか特に。キャラが立ってきた表題作あたりから面白くなってきたところなんかも。小市民シリーズもそうだけど、境界がすっかり曖昧になっちゃったってことなんだろう。本書はラノベとして読めば楽しめるって感じかな。
読了日:11月13日 著者:初野 晴
★★★★

母親はなぜ生きづらいか (講談社現代新書)母親はなぜ生きづらいか (講談社現代新書)
目新しい点はそう多くはなかったが、歴史的変遷がうまくまとまっていて分かりやすい。現代の日本人の多くが感じている「日本人らしさ」の大半は明治期以降に作られたものだ。「親子関係」の本質は「自分と自分の親との関係」という著者の指摘はたいへん興味深い。海外では一般的で、日本でも戦前までは珍しくなかった「ベビーシッター」がなぜ廃れてしまったのか、そのあたりにも言及して欲しかったのが心残り。
読了日:11月14日 著者:香山 リカ
★★★★★★感想の記事

さよならドビュッシーさよならドビュッシー
ミステリとしては第1章を読んだ時点でネタが割れてしまっている。音楽は小説で描くには限界があるように感じられた。「のだめ」のイメージを思い浮かべて読み進めた。文章もちょっとこなれていない感じ。それでも、作品を通底する「青臭さ」は嫌いじゃない。まあところどころ鼻につき過ぎるところもあったけれど。最後まで一気に読ませる魅力はあった。
読了日:11月17日 著者:中山 七里
★★★★★

GJ部(グッジョぶ)3 (ガガガ文庫)GJ部(グッジョぶ)3 (ガガガ文庫)
著者の言うように「ストーリーなんていらんのですよ!」って姿勢には賛同。ただし、私的には「主人公なんて飾りですよ!」ってことでキョロいらないのだけれど(笑)。少しずつ登場人物が増えてる点は微妙かなあ。
読了日:11月17日 著者:新木 伸
★★★

玻璃の天 (文春文庫)玻璃の天 (文春文庫)
円紫さんシリーズの主人公の純粋さは日常という世界にあって受け入れやすいが、本シリーズでの主人公の純粋さには違和感を覚えてしまう。時代や立場からどうしても「綺麗事」に感じられる。『鷺と雪』がこうしたイメージを覆してくれることを期待したい。
読了日:11月19日 著者:北村 薫
★★★

忍びの国忍びの国
キャラの強さがマンガ的。その割にストーリーは歴史小説の体裁を保っている。そのせいでエンターテイメントとしては盛り上がりにやや欠ける印象だった。もっとケレンがあるとか、ストーリーも破天荒で良かった気がする。
読了日:11月19日 著者:和田 竜
★★★

ななつのこ (創元推理文庫)ななつのこ (創元推理文庫)
どうしても北村薫の円紫さんシリーズと比較してしまうため、全体的な評価はいま一つ。アイディアは面白いが、それが十分に成功しているとは言い難い。「感動的」なところは作られた感じがうかがえてしまい、興醒めだった。
読了日:11月21日 著者:加納 朋子
★★感想の記事

僕は友達が少ない (5) (MF文庫J)僕は友達が少ない (5) (MF文庫J)
5巻にしてまさかの幸村の○○判明!遊園地でのテンションの高さは凄まじい。ラブコメ部分は正直どーでもいいので、キャラの暴走だけ今後も期待w
読了日:11月23日 著者:平坂読
★★★★★

平台がおまちかね (創元クライム・クラブ)平台がおまちかね (創元クライム・クラブ)
「成風堂」シリーズかと思って「背表紙は歌う」を図書館で借りたら違ったので慌てて本書を借りて読んだ。「成風堂」シリーズに比べると、ストーリー、描写、キャラクターなど少しずつ落ちる感じ。ただ出版社の営業という目立たないところにスポットを当てたのは面白い。それにしても、最近全く書店で本を購入しなくなったなあと本書を読んでいて思ってしまった。本屋とは本を買いに行く場所ではなく、本と出逢いに行く場所である、なんて言ってたのに・・・。
読了日:11月24日 著者:大崎 梢
★★★

このライトノベルがすごい!2011このライトノベルがすごい!2011
積読中のシリーズも多いけれど、ランキングされているものはほとんどチェックしてる作品。目新しさはあまりないけれど、いくつか新規開拓できれば十分かな。それより先に禁書目録読まないと(汗
読了日:11月28日 著者:
感想の記事

「日常の謎」系ミステリに、多岐に渡って手を出している。北村薫『街の灯』『玻璃の天』、加納朋子『ななつのこ』はミステリらしい雰囲気が漂うが、乾くるみ『蒼林堂古書店へようこそ』、初野晴『退出ゲーム』、大崎梢『平台がおまちかね』は軽さが目に付く。とりわけ『退出ゲーム』は登場人物が高校生ということもあり、ほとんどライトノベルのようになっている。米澤穂信もそうだが学生を主人公に据えるとライトノベルっぽくなるし、『蒼林堂古書店へようこそ』、『平台がおまちかね』に大崎梢「成風堂書店事件メモ」シリーズや坂木司『和菓子のアン』などは職業系ウンチク(コミック)っぽくなっている。両者に共通するのはキャラクター重視であること。謎よりもキャラクターを活かすことが優先されている。ほとんどミステリと呼べない作品もある。もちろん、それが悪いわけではないが。


2010年に読んだ本【10月】

2011年01月05日 00時59分58秒 | 本と雑誌

メジャーの投球術 (祥伝社新書 106)メジャーの投球術 (祥伝社新書 106)
アメリカンフットボールと比べてメジャーって大雑把な感じがしてあまり面白く感じない。野球を見るならまだ日本のプロ野球の方がって思うのだけれど、一方でデータへのこだわりなどはとても面白く感じる。本書は様々な立場の声も取り上げられていて面白かったが、その分やや散漫な印象も受けた。出版のタイミングの問題もあるのだろうが、もう少し的を絞ったものを読んでみたいと思った。
読了日:10月04日 著者:丹羽 政善
★★★★

エデンエデン
私としてはミステリー要素がなくなった事で、純粋にスポーツに挑む人の心が描かれていて前作よりも楽しめた。いろんな競技に関心があるものの自転車レースは全く関心外だっただけに非常に興味深かった。ここからレース観戦へと繋げていければいいのだけれど、なかなか時間が(汗)。続編も出たら是非読んでみたいね。
読了日:10月04日 著者:近藤 史恵
★★★★★★

横道世之介横道世之介
吉田修一は初めて読んだが、設定や仕掛けの上手さが目を惹いてかえって作品の魅力を削いだ気がする。80年代の東京に地方から出てきた若者の情景はちょっとノスタルジック過ぎる感じ。世之介への印象が作品への評価と直結する小説だけど、私には彼の普通っぽさは受け入れがたく感じられた。
読了日:10月05日 著者:吉田 修一
★★★

マドンナ・ヴェルデマドンナ・ヴェルデ
男性作家が女性の内面、特に出産を巡る物語でどこまでリアリティをもって描けるか。本書では料理と俳句という二つの仕掛けでそこに迫ろうと試みている。残念ながら終盤はちょっと力技になってしまった感じで、みどりの心情に十分に迫れたとは言い難いが、医療のテーマと共に著者の挑戦には良い印象を抱いた。『ジーン・ワルツ』『医学のたまご』を読んでいることが前提の物語かもしれないが。
読了日:10月06日 著者:海堂 尊
★★★★

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだらもし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
文章は稚拙で、ストーリーも単純。だけれども、着想の素晴らしさだけで十二分に評価できる一冊。理解しにくい抽象的な事柄も具体例を挙げればイメージをつかむことができる。その意味では細部まで非常によく練られているように感じられた。そして、やはりドラッカーの「マネジメント」を読みたくなってくるね。
読了日:10月07日 著者:岩崎 夏海
★★★★★★★

らき☆すた (8) (角川コミックス)らき☆すた (8) (角川コミックス)
ネタが特別面白いわけではないし、売りのキャラ性もパワーダウンというかキャラ増え過ぎで薄まってしまっているのだけれど、だが、それがいい!って感じw ある種、実験作ってトコまで来てるような。行けるところまで行って欲しいものだ。
読了日:10月10日 著者:美水 かがみ

フリーター、家を買う。フリーター、家を買う。
良くも悪くもスピード感ある作品。一気に読ませる一方で、リアリティなどにやや難もある。でも、重いところがあるだけに、このスピード感が必要だったわけで。身につまされるところもあり、自己啓発本みたいなところもあるけれど、スピード感のお陰でそういう部分も軽くなっていて読みやすいね。
読了日:10月13日 著者:有川 浩
★★★★★

哄う合戦屋哄う合戦屋
孤高の天才と聖女とのラヴロマンス(笑)。「天地明察」「のぼうの城」「弩」と最近続けて歴史小説を読んでいるけれど最もストレートな物語。時代設定のリアリティはどの作品も頑張っているものの登場人物は現代人のメンタリティなのは仕方ないか。でも、ヒロインがみんな聖女のようってのはどうかと思うんだけどね。
読了日:10月26日 著者:北沢 秋
★★★★

本日は、お日柄もよく本日は、お日柄もよく
タイトルからもっと叙情的なものかと思いきや選挙がメインの物語。確かにスピーチライターの王道だし、ストーリーで引っ張るならこれしかないかも。ただ政治を持ち出すとついてこれない読者多数だろうなあと。言葉は世界を変える武器になるとは私も信じているけれど、それを物語として表現できたとまでは言えず、小説としても細部まで丁寧に描けているとは感じられず、面白い切り口なだけに残念な印象の残る作品。
読了日:10月29日 著者:原田 マハ
★★★

テルマエ・ロマエ II (ビームコミックス)テルマエ・ロマエ II (ビームコミックス)
面白い。1巻の感想にも書いたけれど、コミックならではの面白さだし。こういう作品が出てくることもすごいし、ちゃんと評価されることもすごいね。
読了日:10月29日 著者:ヤマザキマリ



10月に読んだ本の中で白眉はやはり『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』だ。確かに文章はお世辞にも合格点に達しているとは言えないし、ストーリーやエピソードの描き方も単調かつ強引さが目立つ。小説として評価するならば端にも棒にもかからない駄作となってしまう。しかし、最後まで読ませる力やドラッカーの紹介としてはこの上なくよく出来ている。エンターテイメントとして評価した場合、今年読んだ全ての本やコミックの中でもトップクラスの出来だったと言っても過言ではない。
本を手に取ってもらうためのインパクトから始まって、どれほどベタであっても最後まで読ませる技術、そしてドラッカーについて興味を持ってもらうという目的を的確に達成する戦術の素晴らしさ。繰り返すが文章は素人レベルだし、小説としてはお粗末だ。それでも計算によってこれほどのものが作り出せる。エンターテイメントの大切なノウハウがこの中に詰まっている。『テルマエ・ロマエ』のように書き手の才能が面白さを作り出す作品ももちろん数多く存在するが、着想と緻密な計算によって(もちろんそれも才能ではあるが)、こうした作品が生み出されることもある。そんな本が2010年最も売れた本だから何より面白く感じる。


2010年に読んだ本【9月】

2011年01月05日 00時56分03秒 | 本と雑誌

配達あかずきん (ミステリ・フロンティア)配達あかずきん (ミステリ・フロンティア)
日常の謎ものということで、北村薫と比べてしまうと繊細さにおいて絹とジーンズほどの開きを感じてしまうが、書店を舞台にしたことで興味を惹いている。とはいえ、書店業のエピソードと謎がぶつ切りにミックスされている感じで、物語としての厚みも物足りない。5編の中では表題作が良かった。
読了日:09月02日 著者:大崎 梢
★★★★★

晩夏に捧ぐ<成風堂書店事件メモ・出張編> (ミステリ・フロンティア)晩夏に捧ぐ<成風堂書店事件メモ・出張編> (ミステリ・フロンティア)
連作短編だった前作とはうって変わって長編。扱う謎も殺人事件。読みやすさがあるので一気には読めたものの、粗も目立ち、読後感も満足とまでは言えず。一本道を同じペースで突き進んでいる印象で、もう少し緩急や寄り道があればと思う。
読了日:09月03日 著者:大崎 梢
★★

サイン会はいかが?―成風堂書店事件メモ (ミステリ・フロンティア)サイン会はいかが?―成風堂書店事件メモ (ミステリ・フロンティア)
「日常の謎」ものとしては人の悪意の出てこないちょっとした不思議を扱ったものの方が好み。しかし、本書ではその手の短編は出来がもうひとつといった印象。表題作や「取り寄せトラップ」は謎はともかく本屋の舞台裏を見ることが出来て興味深くはあった。
読了日:09月04日 著者:大崎 梢
★★★★

弩
「七人の侍」はどこの国のどんな時代の物語かってくらいファンタジーだけれど、本書は鎌倉末期からの因幡を舞台に丁寧に描いている。メインとなる戦闘場面は終盤わずかにあるだけで、それまで延々とこの時代の空気を描いている印象。ただ、ところどころに中世というよりは近世っぽさも感じた。まあ実際に見れるわけじゃなし、あまり細かなことは言っても仕方ないけど。
読了日:09月05日 著者:下川 博
★★★★★

偽物語(下) (講談社BOX)偽物語(下) (講談社BOX)
物語が動き出すのは残り1/3になってからというスタイルはもはやこのシリーズの十八番。特に八九寺との掛け合いは素晴らしい。それにしても、暦が妹たちのことを青臭いと語っているが、それ以上に暦の青臭さが鼻につくわけで。まあ西尾維新らしいと言えば言えるのかもしれないが。あと、出番のなかった戦場ヶ原の「ヤン」が取れたってのが本書一番の「事件」だよね。
読了日:09月08日 著者:西尾 維新
★★★

GJ部(グッジョぶ)2 (ガガガ文庫)GJ部(グッジョぶ)2 (ガガガ文庫)
パクリかと思いきや、あとがきで元ネタを披露していた「光画部時間」。世間一般常識だったのに光陰矢のごとし(ぉぃ。それはともかく。内容はビミョーではあるのだけれど、方向性は変わらず支持って感じで。
読了日:09月10日 著者:新木 伸
★★★

群青学舎 一巻 (ビームコミックス)群青学舎 一巻 (ビームコミックス)
悪くはないけれど、格段に引き込まれるというほどでもなし。好みの問題か相性か。読み込めばまた違う評価になるかもしれない。
読了日:09月10日 著者:入江 亜季

月の砂漠をさばさばと月の砂漠をさばさばと
読了日:09月18日 著者:北村 薫
★★★★

くすりのマジョラム (1) (まんがタイムKRコミックス)くすりのマジョラム (1) (まんがタイムKRコミックス)
読了日:09月22日 著者:鈴城 芹

けいおん! (4) (まんがタイムKRコミックス)けいおん! (4) (まんがタイムKRコミックス)
ゆるいけれど、そのゆるさがクセになる。アニメとはまた違った空気があって、楽しく読めた。
読了日:09月28日 著者:かきふらい


配達あかずきん (ミステリ・フロンティア)配達あかずきん (ミステリ・フロンティア)
日常の謎ものということで、北村薫と比べてしまうと繊細さにおいて絹とジーンズほどの開きを感じてしまうが、書店を舞台にしたことで興味を惹いている。とはいえ、書店業のエピソードと謎がぶつ切りにミックスされている感じで、物語としての厚みも物足りない。5編の中では表題作が良かった。
読了日:09月02日 著者:大崎 梢
★★★★★

晩夏に捧ぐ<成風堂書店事件メモ・出張編> (ミステリ・フロンティア)晩夏に捧ぐ<成風堂書店事件メモ・出張編> (ミステリ・フロンティア)
連作短編だった前作とはうって変わって長編。扱う謎も殺人事件。読みやすさがあるので一気には読めたものの、粗も目立ち、読後感も満足とまでは言えず。一本道を同じペースで突き進んでいる印象で、もう少し緩急や寄り道があればと思う。
読了日:09月03日 著者:大崎 梢
★★

サイン会はいかが?―成風堂書店事件メモ (ミステリ・フロンティア)サイン会はいかが?―成風堂書店事件メモ (ミステリ・フロンティア)
「日常の謎」ものとしては人の悪意の出てこないちょっとした不思議を扱ったものの方が好み。しかし、本書ではその手の短編は出来がもうひとつといった印象。表題作や「取り寄せトラップ」は謎はともかく本屋の舞台裏を見ることが出来て興味深くはあった。
読了日:09月04日 著者:大崎 梢
★★★★

弩
「七人の侍」はどこの国のどんな時代の物語かってくらいファンタジーだけれど、本書は鎌倉末期からの因幡を舞台に丁寧に描いている。メインとなる戦闘場面は終盤わずかにあるだけで、それまで延々とこの時代の空気を描いている印象。ただ、ところどころに中世というよりは近世っぽさも感じた。まあ実際に見れるわけじゃなし、あまり細かなことは言っても仕方ないけど。
読了日:09月05日 著者:下川 博
★★★★★

偽物語(下) (講談社BOX)偽物語(下) (講談社BOX)
物語が動き出すのは残り1/3になってからというスタイルはもはやこのシリーズの十八番。特に八九寺との掛け合いは素晴らしい。それにしても、暦が妹たちのことを青臭いと語っているが、それ以上に暦の青臭さが鼻につくわけで。まあ西尾維新らしいと言えば言えるのかもしれないが。あと、出番のなかった戦場ヶ原の「ヤン」が取れたってのが本書一番の「事件」だよね。
読了日:09月08日 著者:西尾 維新
★★★

GJ部(グッジョぶ)2 (ガガガ文庫)GJ部(グッジョぶ)2 (ガガガ文庫)
パクリかと思いきや、あとがきで元ネタを披露していた「光画部時間」。世間一般常識だったのに光陰矢のごとし(ぉぃ。それはともかく。内容はビミョーではあるのだけれど、方向性は変わらず支持って感じで。
読了日:09月10日 著者:新木 伸
★★★

群青学舎 一巻 (ビームコミックス)群青学舎 一巻 (ビームコミックス)
悪くはないけれど、格段に引き込まれるというほどでもなし。好みの問題か相性か。読み込めばまた違う評価になるかもしれない。
読了日:09月10日 著者:入江 亜季

月の砂漠をさばさばと月の砂漠をさばさばと
読了日:09月18日 著者:北村 薫
★★★★

くすりのマジョラム (1) (まんがタイムKRコミックス)くすりのマジョラム (1) (まんがタイムKRコミックス)
読了日:09月22日 著者:鈴城 芹

けいおん! (4) (まんがタイムKRコミックス)けいおん! (4) (まんがタイムKRコミックス)
ゆるいけれど、そのゆるさがクセになる。アニメとはまた違った空気があって、楽しく読めた。
読了日:09月28日 著者:かきふらい



個別の評価は高くはないが、大崎梢の「成風堂書店事件メモ」シリーズは一気に読み終えた。「日常の謎」はそれまでも好きなジャンルだったが、これ以降かなり積極的にあれこれ手を伸ばし始めた。
『けいおん!4』は2010年に読んだコミックの中ではベストの評価。コミックは★評価をしていないが、もしするならば★8つけていただろう。アニメ1期を見たあとで原作を読んだが、その時点ではアニメの方が優れていた。しかし、巻を追うごとに原作の質は高まり、アニメ2期と比べても原作の方が上回るようになった。4巻終盤のエピソードはどれも非常に秀逸。個別の評価は高くはないが、大崎梢の「成風堂書店事件メモ」シリーズは一気に読み終えた。「日常の謎」はそれまでも好きなジャンルだったが、これ以降かなり積極的にあれこれ手を伸ばし始めた。
『けいおん!4』は2010年に読んだコミックの中ではベストの評価。コミックは★評価をしていないが、もしするならば★8つけていただろう。アニメ1期を見たあとで原作を読んだが、その時点ではアニメの方が優れていた。しかし、巻を追うごとに原作の質は高まり、アニメ2期と比べても原作の方が上回るようになった。4巻終盤のエピソードはどれも非常に秀逸。


2010年に読んだ本【8月】

2011年01月05日 00時33分00秒 | 本と雑誌

小さいおうち小さいおうち
人間関係や時代の空気を簡単な言葉では言い表せず、300ページの物語だからこそ伝えられる、そんな作品に感じられた。ただし、最終章については読んだばかりでは評価定まらずといったところだが。それでも胸に染み入るような読後感があって素敵な小説だ。
読了日:08月04日 著者:中島 京子
★★★★★★

ガンパレード・マーチ 逆襲の刻―極東終戦 (電撃文庫)ガンパレード・マーチ 逆襲の刻―極東終戦 (電撃文庫)
大団円が待っていると分かっていても戦闘の苛酷さに圧倒される。いろいろと後日談を知りたいエピソード・キャラクターも多いので短編集希望w
読了日:08月09日 著者:榊 涼介
★★★★★★

日本語を「外」から見る 留学生たちと解く日本語の謎 (小学館101新書)日本語を「外」から見る 留学生たちと解く日本語の謎 (小学館101新書)
かなり昔、まだ日本語教育という概念がそれほど知られていない頃に著者の書を読んだことを覚えている。日本語教育の置かれた環境は変わっても、外国人の目を通すことで日本語の新たな面が見えてくることは変わらない。もちろん、間違いをただ間違いと見過ごすのではなくそこから日本語の特質を読み取ることができるからだが。本書では初歩的なことではなくより深い問題、日本語のあいまいさや文化的背景にも触れられている。そのあたりをもう少し詳しく知りたい感じがした。また、個性豊かな留学生たちの生き生きした記述が読む原動力にもなった。
読了日:08月11日 著者:佐々木 瑞枝
★★★★★

神様のカルテ神様のカルテ
面白いし、病院の苛酷な現場も描いている。死にしっかりと向き合って描かれている。それでいて軽やか。しかし、それがプラスの評価になるわけではない。主人公は、素敵な細君がいて、理解ある友や上司がいて、厳しい環境ではあるが自分の仕事を評価してもらえる。ちょっと恵まれすぎているようで、軽やかさが薄さのようにも感じてしまう。読み手のただの僻みかもしれないが。
読了日:08月12日 著者:夏川 草介
★★★

植物図鑑植物図鑑
「きのう何食べた?」もそうだけど、食事を中心とした日常の幸せを味わうだけでご飯三杯くらいオカワリできる!って感じで(笑)。小説における空気系っていうか、ほんと物語は不要に感じるほど。それにしても、家事万能で、頼られすぎず、文字通りの草食系で、もちろんカッコイイ男ってのは女性にとっての理想像なんだろうなと思いつつ読んでた。性別逆パターンの「落ち物」はやまほどあるけど、落ちてる側の性別から読むとこんな感じなのねと思って興味深かった。
読了日:08月26日 著者:有川 浩
★★★★★★★

ガリレオの苦悩ガリレオの苦悩
ガリレオは短編の方がらしい感じ。ミステリらしいミステリだけれど、それはトリックとかよりも乾いた空気感にある感じ。ただ雰囲気を楽しむには「攪乱す」はちょっとやり過ぎな気も。
読了日:08月27日 著者:東野 圭吾
★★★★★

7月に続いてほとんど読めなかった時期ではあるが、忙しい中でコツコツと読んでいた感覚があった。読んだ数は少ないながらも印象深い作品が多く、充実感のある読書ができた。特に『植物図鑑』は2010年に読んだ有川浩作品の中ではナンバーワンの位置付けとなった。


2010年に読んだ本【7月】

2011年01月05日 00時27分52秒 | 本と雑誌

ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)
興味深い内容ではあったが、ちょっとあっさりしすぎな印象も。情報が溢れかえる中で情報を整理し見やすく提示することは非常に大切かつ重要だ。編集もまた創造的な仕事。もちろんヤフトピ流が正しくて他が間違っているというわけではなく、いろんなあり方があっていい。読み手のリテラシー能力を高めることが必須であるが。
読了日:07月01日 著者:奥村倫弘
★★★★★

関ヶ原前夜―西軍大名たちの戦い (NHKブックス)関ヶ原前夜―西軍大名たちの戦い (NHKブックス)
一次資料に基づいた研究は歴史の醍醐味でもある。その成果をこうして読みやすい本として上梓してもらえると大変ありがたい。関ヶ原前夜が非常に興味深いものと感じられた。ただし、まだまだ分からないことも多い。今後の研究に期待したい。
読了日:07月09日 著者:光成 準治
★★★★★

道徳という名の少年道徳という名の少年
連作寓話って感じ。ちょっと七竈風。序盤の美女たちがメインの頃はいかにも桜庭って感じだったが、その後少年を描き出して面白くなった。「美女」以上に「少年」っていうのも一瞬の煌めきでしかないものだしね。
読了日:07月14日 著者:桜庭 一樹
★★★★★

乙嫁語り 2巻 (ビームコミックス) (BEAM COMIX)乙嫁語り 2巻 (ビームコミックス) (BEAM COMIX)
いいところばかりじゃないと分かっていても前近代の方が生き生きしているように見える。自然が身近にあると詩や歌が生まれるのもいずこも同じって感じだね。
読了日:07月28日 著者:森 薫

僕は友達が少ない 4 (MF文庫J)僕は友達が少ない 4 (MF文庫J)
「ラノベ部」のネタ使い回しかよっ!はともかく、パワーダウンというか、ハーレム系も4巻になると飽きるというか・・・。そんな中で星奈の残念っぷりだけが期待違わずって感じ。
読了日:07月30日 著者:平坂読
★★★★

月別では最低のわずか5冊。しかも、1冊はコミック。小説はライトノベルを含めて2冊だけという体たらく。6月はワールドカップ、8月はリアルの事情で時間が取れず、9月以降はFF11を本格的に再開したため読めなかった理由がある。けれども、7月は思い至らない。この時期、ブログの更新もほとんどなされていない。ワールドカップの観戦疲れはあるにせよ、覇気の全く感じられない時期だったと言えるだろう。