イケメン王宮のホワイトデーイベント、「White Day Fantasia」
ルイvsゼノルート ゼノ編の第2話です
以下ネタバレ
------------------------------
私は廊下を駆け戻ると、
再びゼノ様の部屋のドアをノックした。
「…あの、たびたびすみません」
「ゼノ様、ちょっといいですか?」
しばらくすると、ゼノ様がすっと顔を出した。
ゼノ「…ん、どうした」
「あの、さっき言い忘れたことが…」
「パーティーで、一緒に踊ってくださいませんか?」
私が、おずおずとそうお願いすると、ゼノ様はにっこりと笑って頷いた。
ゼノ「…もちろん」
ゼノ「喜んで」
私はほっと胸をなで下ろすと、ゼノ様に微笑んだ。
「…良かった!では当日、楽しみにしています」
私はゼノ様にお辞儀をして、今度こそ部屋に戻って行った。
嬉しそうに去って行くカレンを見送るルイに、
ゼノがゆっくりと近づいてきた。
ルイ「…カレンは、何の用だったのだ?」
そう問われて、ルイはくるりと振り返る。
ゼノ「パーティーでダンスを申し込まれました」
ゼノ「ゼノ様と一緒に、踊りたいそうです」
ルイがそう伝えると、ゼノは少し驚いた顔をした。
ルイ「…そうか」
ルイ「…まあ、それまでには、この姿も戻るだろう」
すぐにいつもの冷静な顔に戻ると、
ゼノは部屋の中へ引き返していった。
交流会も数日目の朝…―。
私は今日もサロンに赴くため、部屋で身支度を整えていた。
傍らでは、いつも通りユーリが手伝ってくれている。
ユーリ「ゼノ様、今回は長めに滞在してくれて良かったね」
私のコルセットの紐を締めながら、ユーリはそんなことを言った。
「え?う、うん」
突然ゼノ様の話をされて、私はしどろもどろになってしまう。
ユーリ「やだなあ。もうみんな知ってるんだよ」
ユーリ「カレン様が、ゼノ様にバレンタインのチョコレートを渡したの」
ユーリ「二人は半ば公認みたいなものだよ」
「…そ、そうなの?」
思ってもみなかったことなので、私は少し驚いてしまった。
ユーリ「うん、だからそんなに秘密にしなくても大丈夫」
と、ユーリは私ににっこり笑ってみせた。
ユーリ「せっかくゼノ様が滞在しているんだし」
ユーリ「ダンスのレッスンをお願いしてみたら?」
「それは…」
(是非お願いしたいけど…)
(でも、迷惑じゃないかな?)
その後、交流会に出ると、ルイがこちらへやってきた。
「おはよう、ルイ」
「あの…ゼノ様は一緒…?」
この前二人が一緒にいたこともあって、
私はつい辺りを見回してしまう。
ルイ「まだ部屋にいるみたいだけど…」
ルイ「どうかした?」
ルイは不思議そうな顔をする。
「実は…」
私は迷った末、ルイに先ほどのユーリの提案を相談してみることにした。
「ホワイトデーのパーティーに備えて…」
「ゼノ様にダンスのレッスンをお願いしようかと思ってるんだけど」
「ご迷惑じゃないかな?」
ルイ「……」
「…あと、直接頼むの、ちょっと恥ずかしくて…」
私がそう呟くと、ルイはふっと目尻を緩めた。
ゼノ(…恥ずかしいなど、可愛いことを思っているな)
「ルイ…?…どうかした?」
ルイ「いや…」
ルイはふと我に返ったように、ふるふると首を横に振った。
ルイ「大丈夫。俺から話しておく」
ルイ「レッスンを楽しみにしているといい」
ルイはそう言い残すと、ゆっくりとサロンを出て行った…―。
その後…―。
交流会が一段落して、空に月が昇り始めた頃、
私はゼノ様に呼び出されて、ダンスホールへ急いでいた。
(ゼノ様…)
ホールに足を踏み入れると、
そこではゼノ様がひとり、私を待っていてくれた。
嬉しくて、思わず笑みがこぼれる。
「ありがとうございます」
ゼノ「…どういたしまして」
ゼノ様は私に片手を差し出し、
私たちは早速ダンスを踊り始めたけれど、
しかしなんだか、私は妙な気分だった。
(なんだろう…)
(この感じ…?)
私のぎこちない様子をおかしく思ったのか、
ゼノ様が顔を覗き込んできた。
ゼノ「どうした?」
「すみません、なんだか、不思議な感じがして…」
(気のせいかな…これ、なんだか…)
(いつもレッスンをつけてもらってる、ルイみたいな感じ…)
そして、違和を感じたまま、ダンスのレッスンが終わり、
私はゼノ様へお礼を言って、ホールを後にした。
(ゼノ様にレッスンをつけてもらえて嬉しかったけど…)
(やっぱり、変な感じだったな…)
私が、腑に落ちないまま廊下を歩いていると、
向こうからやってくるルイの姿が目にとまった。
「あ、ルイ…!」
ルイ「…カレン」
ふっと顔を上げて微笑んだルイに、私は歩み寄る。
「いま、ゼノ様にレッスンをつけてもらってたの」
ルイは、笑顔で頷いた。
ルイ「そうなのか」
ゼノ(ハワード卿は代わりに行ってくれたのだな、ありがたい)
「ルイ、ゼノ様に伝えてくれて、ありがとう」
私はルイにお辞儀をすると、
その拍子につけていた指輪が指から転がり落ちてしまった。
「あっ…」
私が拾おうとしゃがみ込むと、
同じく咄嗟に身を屈めたルイと目が合った。
ルイ「……」
ルイは私の瞳から目をそらさない。
(……ルイ、どうしたの?)
私もルイの顔を見つめていると、
ルイはそのままゆっくり片手を上げて、私の頬に手を伸ばした。
「……ルイ?」
私が呼びかけると、
ルイははっという顔をして、即座に手を引っ込めた。
ルイ「…それじゃあ、おやすみ」
ルイはごまかすようにそう言うと、急いで踵を返した。
「おやすみなさい?」
(ルイ、どうしたんだろう…)
去って行くその後ろ姿を、私は不思議な気持ちで見送っていた。
ゼノ様のダンスレッスンの二日目…―。
時間になってホールへ向かうと、そこにはルイがひとりで待っていた。
「…あれ、ルイ?」
ルイ「ゼノ様、今日はお忙しくて無理らしい」
ルイ「だから、俺が代わり」
ルイは私に歩み寄って、そう伝えた。
「そっか…」
少ししょんぼりしてしまったのを隠すように、
私はルイに笑顔を向けた。
「…じゃあ仕方ないよね、ルイも忙しいのにありがとう」
ルイは私に片手を差し出し、
私はその手を取って、ダンスのレッスンを始めた。
しかし……
(あれ、ルイ…)
(いつもと少し違う…)
私はルイのダンスにちょっとした違和感を覚えていた。
(ルイ、今日のダンスはいつもより少し親しげな感じがする…)
(まるで、守られているみたいな気分…)
私が思わずルイを見上げると、
ルイは私を見つめて、とても優しい表情で微笑んでいる。
ゼノ(…こんなに近くにいるのに)
ゼノ(抱きしめることもできないとは…)
ルイ「……カレンは、ゼノ様のどこが好きなの?」
「えっ」
ルイは踊りながら、突然そんなことを聞いてきたので、
私は思わず、顔が熱くなってしまった。
(ゼノ様の、好きなところ…?)
ゼノ様のことを思い浮かべるだけで、
私は胸がいっぱいになって、顔が熱くなってきてしまう。
「…それは、たくさんあるけど……」
なんだか恥ずかしくなって、ルイをうかがうように見上げると、
ルイはにっこり笑って私を促した。
「えっと、優しくて誠実なところとか…」
(でも、そんなの一つに決められない…)
(私はゼノ様の…)
「……どんなところも好き」
はにかみながら、そう答えた。
ルイ「そうか…」
ルイは私の言葉ひとつひとつに、微笑みながら頷いた。
ルイ「…例えば、の話だけど」
ルイ「ゼノ様とこの間、こんなことを話したんだ」
ルイ「もしも俺たちが入れ替わってしまったら…」
ルイ「プリンセスはどうするのだろうかと」
「え…?」
(入れ替わる…?)
私はルイの言うことがいまいち理解できなくて、
首を傾げて聞いていた。
ルイ「ゼノ様はきっと打ち明けたくて仕方なくなる、でも…」
ルイ「カレンのことを考えると…迷ってしまう」
ルイ「カレンは、入れ替わった自分を愛してくれるだろうか…?と」
(それは…いったい、どういうこと…?)
私はダンスを踊りながら、
ルイの言葉を心の中で繰り返していた…―。
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ここで分岐
プレミアエンドorスイートエンド
ルイvsゼノルート ゼノ編の第2話です
以下ネタバレ
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私は廊下を駆け戻ると、
再びゼノ様の部屋のドアをノックした。
「…あの、たびたびすみません」
「ゼノ様、ちょっといいですか?」
しばらくすると、ゼノ様がすっと顔を出した。
ゼノ「…ん、どうした」
「あの、さっき言い忘れたことが…」
「パーティーで、一緒に踊ってくださいませんか?」
私が、おずおずとそうお願いすると、ゼノ様はにっこりと笑って頷いた。
ゼノ「…もちろん」
ゼノ「喜んで」
私はほっと胸をなで下ろすと、ゼノ様に微笑んだ。
「…良かった!では当日、楽しみにしています」
私はゼノ様にお辞儀をして、今度こそ部屋に戻って行った。
嬉しそうに去って行くカレンを見送るルイに、
ゼノがゆっくりと近づいてきた。
ルイ「…カレンは、何の用だったのだ?」
そう問われて、ルイはくるりと振り返る。
ゼノ「パーティーでダンスを申し込まれました」
ゼノ「ゼノ様と一緒に、踊りたいそうです」
ルイがそう伝えると、ゼノは少し驚いた顔をした。
ルイ「…そうか」
ルイ「…まあ、それまでには、この姿も戻るだろう」
すぐにいつもの冷静な顔に戻ると、
ゼノは部屋の中へ引き返していった。
交流会も数日目の朝…―。
私は今日もサロンに赴くため、部屋で身支度を整えていた。
傍らでは、いつも通りユーリが手伝ってくれている。
ユーリ「ゼノ様、今回は長めに滞在してくれて良かったね」
私のコルセットの紐を締めながら、ユーリはそんなことを言った。
「え?う、うん」
突然ゼノ様の話をされて、私はしどろもどろになってしまう。
ユーリ「やだなあ。もうみんな知ってるんだよ」
ユーリ「カレン様が、ゼノ様にバレンタインのチョコレートを渡したの」
ユーリ「二人は半ば公認みたいなものだよ」
「…そ、そうなの?」
思ってもみなかったことなので、私は少し驚いてしまった。
ユーリ「うん、だからそんなに秘密にしなくても大丈夫」
と、ユーリは私ににっこり笑ってみせた。
ユーリ「せっかくゼノ様が滞在しているんだし」
ユーリ「ダンスのレッスンをお願いしてみたら?」
「それは…」
(是非お願いしたいけど…)
(でも、迷惑じゃないかな?)
その後、交流会に出ると、ルイがこちらへやってきた。
「おはよう、ルイ」
「あの…ゼノ様は一緒…?」
この前二人が一緒にいたこともあって、
私はつい辺りを見回してしまう。
ルイ「まだ部屋にいるみたいだけど…」
ルイ「どうかした?」
ルイは不思議そうな顔をする。
「実は…」
私は迷った末、ルイに先ほどのユーリの提案を相談してみることにした。
「ホワイトデーのパーティーに備えて…」
「ゼノ様にダンスのレッスンをお願いしようかと思ってるんだけど」
「ご迷惑じゃないかな?」
ルイ「……」
「…あと、直接頼むの、ちょっと恥ずかしくて…」
私がそう呟くと、ルイはふっと目尻を緩めた。
ゼノ(…恥ずかしいなど、可愛いことを思っているな)
「ルイ…?…どうかした?」
ルイ「いや…」
ルイはふと我に返ったように、ふるふると首を横に振った。
ルイ「大丈夫。俺から話しておく」
ルイ「レッスンを楽しみにしているといい」
ルイはそう言い残すと、ゆっくりとサロンを出て行った…―。
その後…―。
交流会が一段落して、空に月が昇り始めた頃、
私はゼノ様に呼び出されて、ダンスホールへ急いでいた。
(ゼノ様…)
ホールに足を踏み入れると、
そこではゼノ様がひとり、私を待っていてくれた。
嬉しくて、思わず笑みがこぼれる。
「ありがとうございます」
ゼノ「…どういたしまして」
ゼノ様は私に片手を差し出し、
私たちは早速ダンスを踊り始めたけれど、
しかしなんだか、私は妙な気分だった。
(なんだろう…)
(この感じ…?)
私のぎこちない様子をおかしく思ったのか、
ゼノ様が顔を覗き込んできた。
ゼノ「どうした?」
「すみません、なんだか、不思議な感じがして…」
(気のせいかな…これ、なんだか…)
(いつもレッスンをつけてもらってる、ルイみたいな感じ…)
そして、違和を感じたまま、ダンスのレッスンが終わり、
私はゼノ様へお礼を言って、ホールを後にした。
(ゼノ様にレッスンをつけてもらえて嬉しかったけど…)
(やっぱり、変な感じだったな…)
私が、腑に落ちないまま廊下を歩いていると、
向こうからやってくるルイの姿が目にとまった。
「あ、ルイ…!」
ルイ「…カレン」
ふっと顔を上げて微笑んだルイに、私は歩み寄る。
「いま、ゼノ様にレッスンをつけてもらってたの」
ルイは、笑顔で頷いた。
ルイ「そうなのか」
ゼノ(ハワード卿は代わりに行ってくれたのだな、ありがたい)
「ルイ、ゼノ様に伝えてくれて、ありがとう」
私はルイにお辞儀をすると、
その拍子につけていた指輪が指から転がり落ちてしまった。
「あっ…」
私が拾おうとしゃがみ込むと、
同じく咄嗟に身を屈めたルイと目が合った。
ルイ「……」
ルイは私の瞳から目をそらさない。
(……ルイ、どうしたの?)
私もルイの顔を見つめていると、
ルイはそのままゆっくり片手を上げて、私の頬に手を伸ばした。
「……ルイ?」
私が呼びかけると、
ルイははっという顔をして、即座に手を引っ込めた。
ルイ「…それじゃあ、おやすみ」
ルイはごまかすようにそう言うと、急いで踵を返した。
「おやすみなさい?」
(ルイ、どうしたんだろう…)
去って行くその後ろ姿を、私は不思議な気持ちで見送っていた。
ゼノ様のダンスレッスンの二日目…―。
時間になってホールへ向かうと、そこにはルイがひとりで待っていた。
「…あれ、ルイ?」
ルイ「ゼノ様、今日はお忙しくて無理らしい」
ルイ「だから、俺が代わり」
ルイは私に歩み寄って、そう伝えた。
「そっか…」
少ししょんぼりしてしまったのを隠すように、
私はルイに笑顔を向けた。
「…じゃあ仕方ないよね、ルイも忙しいのにありがとう」
ルイは私に片手を差し出し、
私はその手を取って、ダンスのレッスンを始めた。
しかし……
(あれ、ルイ…)
(いつもと少し違う…)
私はルイのダンスにちょっとした違和感を覚えていた。
(ルイ、今日のダンスはいつもより少し親しげな感じがする…)
(まるで、守られているみたいな気分…)
私が思わずルイを見上げると、
ルイは私を見つめて、とても優しい表情で微笑んでいる。
ゼノ(…こんなに近くにいるのに)
ゼノ(抱きしめることもできないとは…)
ルイ「……カレンは、ゼノ様のどこが好きなの?」
「えっ」
ルイは踊りながら、突然そんなことを聞いてきたので、
私は思わず、顔が熱くなってしまった。
(ゼノ様の、好きなところ…?)
ゼノ様のことを思い浮かべるだけで、
私は胸がいっぱいになって、顔が熱くなってきてしまう。
「…それは、たくさんあるけど……」
なんだか恥ずかしくなって、ルイをうかがうように見上げると、
ルイはにっこり笑って私を促した。
「えっと、優しくて誠実なところとか…」
(でも、そんなの一つに決められない…)
(私はゼノ様の…)
「……どんなところも好き」
はにかみながら、そう答えた。
ルイ「そうか…」
ルイは私の言葉ひとつひとつに、微笑みながら頷いた。
ルイ「…例えば、の話だけど」
ルイ「ゼノ様とこの間、こんなことを話したんだ」
ルイ「もしも俺たちが入れ替わってしまったら…」
ルイ「プリンセスはどうするのだろうかと」
「え…?」
(入れ替わる…?)
私はルイの言うことがいまいち理解できなくて、
首を傾げて聞いていた。
ルイ「ゼノ様はきっと打ち明けたくて仕方なくなる、でも…」
ルイ「カレンのことを考えると…迷ってしまう」
ルイ「カレンは、入れ替わった自分を愛してくれるだろうか…?と」
(それは…いったい、どういうこと…?)
私はダンスを踊りながら、
ルイの言葉を心の中で繰り返していた…―。
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ここで分岐
プレミアエンドorスイートエンド