こんにちは
イケメン王宮のイベント、恋するメロディー
次はジル編です
画像ありません
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前編
音楽会で演奏するため、私はピアノの練習をすることになった。
(城下にいた頃、子どもたちの前で少し弾いたことがあったけど……)
「…………」
(なかなか思い出せないな……)
ピアノを前にため息をついていると、ジルが様子を見に来てくれる。
ジル「ピアノを選んだのですか?」
鍵盤に置かれた私の指先を見おろし、ジルが尋ねる。
ジル「……以前にも弾いたことがあるようですね」
「わかるんですか?」
思わず尋ねると、ジルが目を細めて私の指先に触れた。
ジル「指の置きかたで、わかりますよ」
「あ……」
突くように一瞬だけ触れた温もりに、私は微かに息を呑む。
顔をそむけ、慌てて口を開いた。
「でも久しぶりなので、上手く弾けなくて……」
ジル「なるほど」
動かずにいる私の指先に目を細め、ジルが目の前の楽譜に手を伸ばした。
ジル「…………」
そして黙ったままペンを取りだし、楽譜に何かを書きくわえていく。
(ジル……?)
ジル「こちらの方が、弾きやすいかもしれませんね」
楽譜を見ると、ジルのアレンジが加えられていた。
(すごく、わかりやすくなったみたい)
「ありがとうございます、ジル」
ジル「ええ」
早速弾いてみようと鍵盤に指を戻すと、ジルがその隣に手を置く。
「え?」
見上げると、ジルが笑みを浮かべて言った。
ジル「弾いてみてください」
「あ。はい……」
言われるまま楽譜を見やり、私は指先を押す。
するとそれに合わせるように、ジルが曲を奏でだした。
「……っ」
突然の連弾に、私の鼓動は速まっていく。
(何だか、すごく気持ちがいい……)
後編
そして、ジルと共に曲を弾き終えて…―。
鍵盤の上で指の動きを止め、私は深く息をついた。
(こんな風に息が合うなんて、すごく嬉しいな)
ジル「……良かったですよ」
笑みを含んだジルのささやきが、耳の後ろから響いてくる。
「…っ…あの、ジル…」
振り返ろうとすると、鍵盤の上に置いた指にジルの手が重なった。
見上げると、そのままついばむようなキスが落ちてくる。
「……っ」
ジル「ですが、もう少し練習が必要なようですね」
鍵盤の上に置いた私の指が沈み、音をたてた。
静寂のホールに、ピアノの残響と吐息だけが響いていく。
やがて笑みをこぼすと、ジルが再び顔を寄せて告げた。
ジル「もっと、弾いてみてください」
ジルのささやきに、私はピアノの前でただ身体を震わせた…。
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以上です
イケメン王宮のイベント、恋するメロディー
次はジル編です
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前編
音楽会で演奏するため、私はピアノの練習をすることになった。
(城下にいた頃、子どもたちの前で少し弾いたことがあったけど……)
「…………」
(なかなか思い出せないな……)
ピアノを前にため息をついていると、ジルが様子を見に来てくれる。
ジル「ピアノを選んだのですか?」
鍵盤に置かれた私の指先を見おろし、ジルが尋ねる。
ジル「……以前にも弾いたことがあるようですね」
「わかるんですか?」
思わず尋ねると、ジルが目を細めて私の指先に触れた。
ジル「指の置きかたで、わかりますよ」
「あ……」
突くように一瞬だけ触れた温もりに、私は微かに息を呑む。
顔をそむけ、慌てて口を開いた。
「でも久しぶりなので、上手く弾けなくて……」
ジル「なるほど」
動かずにいる私の指先に目を細め、ジルが目の前の楽譜に手を伸ばした。
ジル「…………」
そして黙ったままペンを取りだし、楽譜に何かを書きくわえていく。
(ジル……?)
ジル「こちらの方が、弾きやすいかもしれませんね」
楽譜を見ると、ジルのアレンジが加えられていた。
(すごく、わかりやすくなったみたい)
「ありがとうございます、ジル」
ジル「ええ」
早速弾いてみようと鍵盤に指を戻すと、ジルがその隣に手を置く。
「え?」
見上げると、ジルが笑みを浮かべて言った。
ジル「弾いてみてください」
「あ。はい……」
言われるまま楽譜を見やり、私は指先を押す。
するとそれに合わせるように、ジルが曲を奏でだした。
「……っ」
突然の連弾に、私の鼓動は速まっていく。
(何だか、すごく気持ちがいい……)
後編
そして、ジルと共に曲を弾き終えて…―。
鍵盤の上で指の動きを止め、私は深く息をついた。
(こんな風に息が合うなんて、すごく嬉しいな)
ジル「……良かったですよ」
笑みを含んだジルのささやきが、耳の後ろから響いてくる。
「…っ…あの、ジル…」
振り返ろうとすると、鍵盤の上に置いた指にジルの手が重なった。
見上げると、そのままついばむようなキスが落ちてくる。
「……っ」
ジル「ですが、もう少し練習が必要なようですね」
鍵盤の上に置いた私の指が沈み、音をたてた。
静寂のホールに、ピアノの残響と吐息だけが響いていく。
やがて笑みをこぼすと、ジルが再び顔を寄せて告げた。
ジル「もっと、弾いてみてください」
ジルのささやきに、私はピアノの前でただ身体を震わせた…。
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以上です