徒然なるまままに

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萩焼造形の美 人間国宝 三輪壽雪の世界

2006-07-30 | 陶磁器
萩焼造形の美
人間国宝 三輪壽雪の世界
東京国立近代美術館 工芸館
2006年7月15日から9月24日

96歳にして現役の三輪壽雪。その最新作「鬼萩割高台割茶碗」(173 カッコ内は展示番号)(175)「鬼萩窯変割高台割茶碗」(178)の三点から回顧展は始まる。2006年4月27日に窯詰め、29日に火入れ、5月6日に窯出しされという作品だ。パンフレットに表紙を飾っている。力強さ極まれり。この言葉がぴったりの作品。

さらに展示室1には、「鬼萩茶碗 銘 鬼が島」(92)(1985、山口銀行)が並ぶ。第十一代三輪休雪は、昭和58年、兄に引き続き人間国宝に認定され、その二年後に、第32回 日本伝統工芸展に「鬼萩茶碗」を発表する。その頃の作品だが、そのときの作品だろうか。(作品の展覧会出品の説明がないのですが、どうにかならないでしょうか)

展示室2には、「修業と「休」の時代」の作品。伝統にそった品のよい茶碗も並んでいるが、一番奥のガラスケースにはいった「白萩手桶花入」(1965年 山口県立萩美術館・浦上記念館蔵)は力強い造形。さらに、展示室3にかかけて、昭和42年(1967)に、第十一代三輪休雪を襲名した後の作品が並ぶ。「萩茶碗 銘 早瀬」(27)(1968)、「萩茶碗 銘 梅鶯」(38)(1972)、「白萩茶碗 銘 春雷」(40)(1973)など、白釉薬の割れたような文様が美しい。

展示室4の後半以降は、「大器「鬼萩」の創生」。「鬼萩」とは、もともと粗砂を混ぜた土で作られた作品のことで古くから技法として伝わっていたが、壽雪は造形にも独自性を追求し、力強い作品とした。そして晩年にいたると茶碗は大きさも大きくなっていく。ちょっとゆがんだ「白萩灰被花入」(134 1990)や蓋の部分を一寸削いだ「白萩陶匣 銘 花の宴」(145 1998)など、白萩と題する白釉薬を強調した作品の造形の面白い。

そもそも、私が、萩焼について興味をもったのは、昨年、萩を訪れたときから。萩では萩の宿 常茂恵菊屋家住宅で、休雪の作品を鑑賞しているのですが、10代か11代か判らないままの鑑賞だった。(今回の展覧会でも何点か菊屋家住宅所蔵の作品が展示されていました。)それで東京に戻り、萩焼と三輪休雪について調べ(こちら)、三輪休雪は、「休和(10代休雪)は「休雪白」、純白の藁灰釉を創案、萩に新境地をもたらし、さらに壽雪(11代休雪)は「休雪白」を実質的に展開、「鬼萩割高台茶碗」などは破格の造形感覚で茶陶界にも新風をもたらした。人間国宝に休和(10代休雪)は1970年に認定され 壽雪(11代休雪)は、1983年に認定されている。」と、知った訳です。(なお、記事には、萩焼旧萩藩藩窯坂窯と三輪窯の開窯と発展についても、まとめてあります。)

今回はじめて意識して、「三輪壽雪の世界」を鑑賞でき、とても素晴らしかった。お勧めです

参考 三輪休雪の主要作品

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