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【会津野】奥会津ふるさと応援商品券から見えること

2016年05月24日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

昨年の9月から本年2月まで、「奥会津ふるさと応援商品券」という企画がありました。

この企画は、福島県が実施したもので、文書公開請求により公開していただいたものから、分析をしてみました。

まず「奥会津ふるさと応援商品券」を説明すると、JR只見線と会津鉄道の沿線11市町村を対象として、区域内の宿泊施設に泊まった只見線応援団の方に2000円の商品券を配布する事業のことです。

只見線は平成21年夏の福島新潟豪雨により、いまだ復旧していない区間がある路線で、この復旧を目的として応援していただく方の組織が只見線応援団です。

期間中、500円券4枚セットの商品券を7万4千セット用意し、54,897セットが交付されました。

商品券の交付総額は、109,794,000円で、その商品券が利用された実績は107,362,500円でした。配布したうちの97.8%が利用されたことになります。

まず、この商品券が使用された市町村別の割合を見ていきましょう。

ほぼ半分の4800万円あまりが会津若松市で使用されています。事業の中心地である「奥会津」の「只見線沿線」の市町村である只見町(8.14%)、柳津町(5.85%)、三島町(2.47%)、金山町(2.10%)の計18.56%、額にして約2000万円が地域の事業者に落ちました。

事業の中心的目的地に対し、それ以外の市町村に大半のオカネが流れたと言えます。

この事業は、宿泊施設が交付事務を取扱い、私の宿もこの交付事務を行いました。

この商品券を使う事が出来るお店は、全部で176店舗でした。そのうち交付店舗と取扱店舗を兼ねているのは、約半分の87店舗でした。

この統計は、交付店舗と交付市内店舗(通常取扱店)に分けてデータが取られていたので、その利用割合がわかります。

全使用額の91.45%が交付店舗で使用されていることがわかります。この事実は、交付した場所で使っていただくという行動が交付店舗に働いた事がわかります。全国で実施されているプレミアム付き商品券は、地域の商工会などが交付事務を担っていますが、そこでは使用できないため、お客さんが自由に取扱店で使う仕組みになっています。実際のこととして、中央資本のお店で使用されることが多く、地域の事業者に結果的に影響があまり及ばない皮肉な事が起きています。このような仕組みを上手く使い、地元資本のお店で商品券交付を行えば、地元資本の事業者により多くの恩恵が行き渡ることがよくわかります。

次に、市町村ごとの平均利用額をみてみましょう。

会津若松市のお宿さんは、15件が参加し、その平均利用額もダントツで320万円余りでした。各お宿で1600名ほどが利用されたことになります。

我が会津美里町は、約110万円との結果でした。我が宿では22万5千円でしたので、頑張ったつもりでしたが、ぜんぜん足元にも及ばない結果でした。

これほどの差が生まれる要因は何なのでしょうか?

交付割り当ての問題なのか、商売の規模の問題なのか、商品券を利用出来る商品の品揃えの問題なのか、それとも別の問題なのでしょうか。

期間が秋から冬だったことから、温泉宿とそれ以外の宿で大きな差が出たとも言えるかもしれません。

では、お宿さん以外の店舗をみてみましょう。

上の図は、地域の取扱店の利用実績平均です。こちらは10万円から20万円の利用実績が多くなっています。ダントツの成績を出したと言える市町村がありません。しかし、会津美里町は残念ながら散々な結果です。

2つの図から、交付が最も少ない会津坂下町は、街の商店での利用が最も多く、宿泊客が街で買い物している様子がわかります。反対に、会津若松市と会津美里町では、交付が多いものの、街での利用が極端に少ない事がわかります。

宿泊業界と街の店舗との連携が濃いか薄いか、そんなことが浮かび上がったのではないかと思います。

並行して、昨年実施された福島県の旅行券利用実績も公開請求をしてみました。こちらは、利用者の居住地域と結びついた実績ですので、分析に時間が掛かりそうですが、「人の動き」がデータで解明出来るだろうと感じています。結果を出せましたら、ご紹介しようと考えています。

今日も素晴らしい一日をすごしましょう。

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