会津の旅人宿 地域との交流・旅人との交流が盛んな【会津野】宿主ブログ

地域の話題、旅人のホットな話題、季節のおいしい食べ物の話題など、会津へ旅する人々への話題中心の宿主ブログです。

【会津野】高田城の蛇妻

2017年02月28日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

2月24日のエントリーで【会津野】うなぎの怪を紹介しました。

同じ「会津ふるさと夜話」(小島一男著)から、昔話をもうひとつ。

「高田城の蛇妻」という話です。

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会津美里町の高田中学校のあるあたりに、むかし高田城があって、小俣右京太夫幸高というお殿様がおられました。

このお殿様がある日、狐狩りをしての帰り、雷神様のそばをお通りになりますと、突然馬がヒヒーンとないて棒立ちとなりました。危うく落馬しそうになったお殿様は慌てて馬を静めながら、馬が何に驚いたのだろうと思って夕暮れ迫る雷神様の方を見てみると、そこにはアヤメのように美しい娘が一人、しょんぼりと休んでおりました。

お殿様は、こんなに美しい娘は見たことがありませんでしたから、このまま此処に置き去りにして帰るのも心残りと、娘をお城に連れて帰って来られました。

日がたつほどに、お殿様はその娘が大変お気に召して、妻の座にすえてたいそう可愛がっておられましたが、娘もまめまめしくお殿様にかしづいて、幸福な日々を送っておりました。

ところがある日、戦争がはじまって敵が押し寄せて来ました。お殿様はたいそうご心配になりました。というのは、敵を防ぐために掘ってあるお堀があいにくと水が渇れていたからでした。城中では敵の防禦について、ご重役殿がよりより寄ってご相談をしておられましたが、その間にも敵はどんどん押し寄せてきて、今にも空堀を渡ろうとしています。と、その時。奥方様がしずしずとお堀の端までお出ましになりました。そして何やら呪文をお唱えになると、不思議や不思議、今まで空っぽであった堀にはみるみるがうちに水が溢れて来ました。堀の中ほどまで攻めて来ていた敵は、たちまちのうちに水に溺れて、一時の退却を余儀なくされました。

しかし敵もさるもの、いったんは引きさがったものの、態勢を整えると今度はお城を四方八方から取り囲み、火矢を放って火攻めにして来ました。これには城中なすすべがなく、お城はついに焼かれてしまったのでした。そして最後に城の落ちるとき、巨大な火焔と一緒に、一匹の大蛇が天に向かって登ってゆきました。

その後土地の人々は、そのときの蛇は、お殿様が雷神様からお連れになった奥方様だったと言い伝え、その化身がたたりをしないようにと普済寺を建てて、奥方様の菩提を弔ったのでしたが、この寺もやがてはすたれてしまい、今では布才地(ふさいち)という地名だけが残っております。

★ ★ ★

さあ、このお殿様、かなりのナンパ師ですね。美しいから連れ去ったとは、現代だったら大変なことです。

美しい娘に化けていた大蛇は、お殿様につけ入って良い暮らしをしたいと思っていたならば、こちらも騙しをはたらいているので、これもダメですね。

たたりがないようにとお寺を建て弔ったのはよいけれど、それを守れなかったのも残念なことです。

本質を追求し、本質を知る。そうしないと、このようにすたれてしまう良い例のようです。

ちなみにここにでてきた中学校、いま子どもたちが通っています。

しっかりと実在し、そこでは、大蛇のようなことではない本質を持った先生方が教えていらっしゃる。

この本質的なものがすたれて中学校跡のようなことにならないよう、地域が考えていくことも大事ですね。

今日も素敵な一日を過ごしましょう。

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【会津野】地熱発電は夢の発電か?

2017年02月27日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

今朝の日経朝刊1面トップに、地熱発電の記事が載っておりました。

記事は、7500キロワットまでの発電能力を持つ地熱発電所の開発については、環境影響評価(環境アセスメント)が不要であることと、固定価格買取制度による買取価格が、同じく7500キロワット以下の場合は高価格(キロワットあたり40円)であることを紹介しています。この2つの事柄により、開発が短期間で済むことと、開発コストとのバランスが改善し事業性が出てきたというものです。

私の住む地域では、最大認可出力65,000KWの西山地熱発電所が平成7年から稼働しています。

発電所から直線距離で約13Kmほどの場所ですが、ときおり発電所付近を震源とする地震が起き、心情的に不安に思うことがあります。

平成21年10月12日に起きた地震では、住家一部破損38棟の被害がありました。この地震については、東北大学が調査を行ったものの、被害と発電所の因果関係は不明であるとされました。

地熱発電の原理は、地下にある地熱貯留層で暖められた温泉水を汲み上げ、その熱で発電タービンを回し発電します。使い終わった温水は、再び還元井と呼ばれる井戸で地中に戻します。

この戻す時、地上から圧力を加え、地中に戻すのですが、その力がどこに影響を及ぼすのか? そこが不安な点です。断層のズレを誘発しなければ良いのですが。。。

磐梯山周辺では、地熱発電開発の調査がいま行われています。

国道459号線から磐梯山山頂の方向へ入り、かすかに入浴した記憶が残っている土湯沢温泉。山奥の1軒宿として営業していた土湯沢温泉の跡地が、その調査場所です。

どの程度の可能性があるのかはわかりませんが、環境影響評価が必要な規模と紹介されているので、7500キロワット以下ではなく、大規模なものになることが予想されます。

地熱貯留層は、火山活動の一環で存在するものです。東日本大震災の震源であった東北東方沖で太平洋プレートが沈み込み、沈み込んだ地層が地球内部へ入り込むと、内部は熱いことから対流が起きて、どこかに熱いものが出てくる。それが火山です。

火山を刺激する。それが地熱発電です。

ものすごく怖いのは、私だけでしょうか。

今日も素敵な一日を過ごしましょう。

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【会津野】売り物はなんなのか?

2017年02月26日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

今朝はYoutubeの音声を聴きながら、宿のお掃除をしておりました。世の中、便利になったものです。

聴いたのはコレです。

柳津町の花ホテルさんは、さまざまな講演会を企画されています。近頃、復旧の決まったJR只見線の活用化提案がいくつかなされ、そのうち、「只見線の黒字化計画について緊急提言!」という文字につられて、聴いてみました。

お話の要旨は、鉄道収入と付帯収入の両方で黒字化を目指すというものでした。

運行をしているJR東日本だって、当然ながら、いままで付帯収入を増やすことを試みたり、収益改善をはかってきたのでしょう。風っ子ビューという列車を走らせたり、SLを走らせてみたりと。しかし、現在の状況は、JR側から上下分離提案を行い、運行に徹し、線路と駅の管理を自治体の費用で行うようにすることとなりました。すなわち、付帯収入の道は、もう諦めたという風に見えます。

昨日、「磐越西線ワンマンカーについて」という新聞折込チラシが入っていました。3月4日のダイヤ改正から郡山ー喜多方間で、車掌なしで運転手だけで運行するワンマン列車が走るというものです。只見線にはワンマン列車がありませんが、磐越西線も赤字線なので、コスト削減に向けた努力をしている姿が伝わってきます。

この他に、保線などのあまり良く見えないコストも、春から郡山で会津地方の路線を一括して受け持つよう変更になるとのことです。ここも人員削減のコストカットです。

鉄道事業のコストを最大限削り、付帯収入も手を出さない。これが現状です。

この状況の中、付帯事業は、鉄道事業者以外が行うしか方法はないような気がします。

鉄道の赤字は、最大限コストカットして減らしたうえで、今までどおり山手線などの黒字路線の収入をもって維持させ、付帯事業は、地方の事業者が付帯事業でなく、個別の専任事業を考案し、稼ぎ出していく。その時、上下分離で自治体の土地となる線路と駅を、自治体所有の公共インフラとして運輸サービス以外で活用する事業を考える。そんな必要があるのではないでしょうか。

只見線の魅力は、車輌や乗り心地、高速移動といった鉄道サービスの根幹のものではなく、風景が最大の魅力として捉えられています。

なので、最大の売り物は風景です。風景は売れないので、絵に書いたり、写真をとったりして、なにか形あるものに変換して商品にする必要があります。風景と線路に付帯する商品とはなんなのか? そこが、アイディアを出すポイントだと思います。

私の運営する宿も、只見線沿線に位置しています。これから、そんな商品作りを考えていきたいものです。

今日も素敵な一日を過ごしましょう。

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【会津野】映画「沈黙-サイレント-」

2017年02月25日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

昨日は仙台までお出かけをしてきました。

会津は雪でしたが、仙台は風が冷たいものの良いお天気。

いろいろと用をこなし、帰りはいま公開中の映画「沈黙-サイレンス-」を観て帰ってまいりました。

マーティン・スコセッシ監督のこの映画は、遠藤周作の小説「沈黙」が原作になっています。

日本におけるキリスト教と仏教の関係を、実によく表現していて、私がむかし数か月過ごした長崎県五島の隠れ切支丹(キリシタン)の様子も随所に現れます。

影像を見る限り、五島の海岸ではなさそうな風景だったので、少し首をかしげましたが、エンドロールでは、台湾が撮影地とされていました。

日本人の俳優さんも多く出演されていますが、音声は英語の映画なので、日本人俳優さんも英語のセリフを発します。どの俳優さんも、とても立派な英語を話し、ちょっとびっくりもしました。

映画の主題である「沈黙」は、神の沈黙と主人公の沈黙が掛けられています。

日本語には「沈黙は金」という言葉がありますが、私はこの言葉が大っ嫌いです。なぜなら、寡黙で言葉足らずであることの言い訳としているから。

映画での沈黙は、しっかりと言葉で自分の考えを訴えた後に沈黙を選択し、生き抜く場面があります。

そして、神は、長い沈黙を脱し、言葉として表現をする。

言葉で伝えることと、沈黙を守ることをよく考えながら帰ってまいりました。

しかし、プレミアムフライデーだというのに、観客は私の他には1人だけでした。地方はまだまだですね。

今日も素敵な一日を過ごしましょう。

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【会津野】うなぎの怪

2017年02月24日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

今日は「会津ふるさと夜話」(小島一男著)から、昔話をひとつ。

少々はしょって、短くしてあります。

お話は、「うなぎの怪」。

★ ★ ★

時は慶長16年(1611)7月のある日、柳津の藤という山里に見慣れぬ旅僧が宿を求めてやってきた。

(長谷川註・・・藤という集落は、JR只見線会津坂本駅から只見川のほとりに下りるところにある)

旅僧が訪れた農家の主人は、粟飯を炊いて旅僧をもてなした。

(長谷川註・・・柳津では、いまでも粟まんじゅうが有名で、粟を食べる習慣が色濃く残る地域)

よもやま話をしていると、明日、只見川でおこなわれる毒もみの話が出た。

毒もみというのは、川に毒を流してする漁をすることで、会津の領主蒲生秀行が只見川で催そうというもの。村人たちは山椒の皮や、灰、柿渋、韮などを混ぜ合わせて作った毒を、銘々に用意していた。

これを聴いた旅僧は、どんな小さな命でも粗末にしてはならぬと、川の魚を皆殺しにしてしまう毒もみをやめさせるよう、お殿様にお願いしなさいと言う。

しかし、農家の主は、行動を起こせなかった。

あくる朝、旅僧は一宿一飯のお礼を述べ立ち去りましたが、その顔は深い憂いに沈んでおった。

お殿様がご観覧につき、ほら貝がブォーと鳴ると、川上から毒が流しこまれ、毒に当てられた魚がプカリ、プカリと無数に浮かび上がった。次々と魚が捕らえられ、用意していた樽がいっぱいになると、お殿様はご満悦の様子。そろそろ引き上げようとされたとき、川下で大きな騒ぎ声が聞こえてきた。

川下には、体長5メートルもありそうな大うなぎが浮かんで、百姓どもが大きな喚声を上げている。引き上げてみると、お腹のところがひときわ大きい。村人が腹を裂くと、なかからは粟飯がたくさん出て来た。

これを見ていた昨夜の農家の主は、旅の僧に粟飯をご馳走したことを思い出し、「さては、あのときの旅の僧は、うなぎの化身であったのか・・・」。そう思うと、あの夜の旅の僧が言ったことにも合点がいき、うなぎが不憫で思わず涙を流した。

間もなくたった8月21日、会津地方には大地震が起きた。あちこちの人家が倒壊し、お城の石垣も崩れた。山崎では、山までが崩れ、大川をせき止めてしまったために、会津盆地の低いところには水が溜まり湖となってしまった。

(長谷川註・・・山崎とは、喜多方市慶徳町山崎のことで、その地震では川底の隆起も起き大変な災害であった)

この湖は、水が引くまでに55年の年月がかかったといわれていわれる。地震の翌年の5月には、お殿様が急におなくなりになられ、村人たちはこれもみんな大うなぎのたたりだといって、おおいに恐れたということです。

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近頃、東芝が大変なことになっています。

原子力という毒を使って発電していたものが、地震で毒が流れだし、自分たちの存続が危うくなってしまった。

昔話なら「たたり」というのだろうけれど、現代では「自業自得」というのだろう。

やはり、毒は使ってはならぬということを、我々は行動で示す必要があるということを教えてくれる昔話でした。

今日も素敵な一日を過ごしましょう。

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