おはようございます。旅人宿 会津野 宿主 ならびに 古書 会津野 店長の長谷川洋一です。
先日、福島民報に福島市土湯温泉の旅館 山水荘の若旦那 渡邉利生 さんのコラムが掲載されていました。
内容は、「観光分野でパラダイムシフトが起きている」とういうもの。
1990年代以降の流れとして、「団体から個人へ」、「旅行会社による手配からインターネットによる手配へ」、「情報元がガイドブックからSNSへ」というように、具体的にはこういう転換が起きています。
昔から言われる観光商品というのは、博物館などの展示商品や、きれいな風景などの自然環境、おいしい食べ物などを求める消費行動がを満足させるものが多かったものです。
しかし、この観光商品も「自然の造形物からモノガタリへ」と変化しています。
最近、こんなお客様がいらっしゃいました。
「一ノ宮めぐり」と「名城めぐり」をされている方です。
一ノ宮めぐりは、全国一の宮巡拝会が全国107の一ノ宮を選定し、案内書籍や御朱印帳を販売し、我が町会津美里の伊佐須美神社が含まれています。
名城めぐりは、財団法人日本城郭協会が2006年4月に「日本100名城」を選定し、会津では鶴ヶ城が含まれています。これに続き2017年4月には、「続日本100名城」も選定され、ここには会津美里町の向羽黒山城が含まれています。
それぞれをめぐる旅行者のためのモノガタリとして、前者は一ノ宮における「御加護」と「御朱印帳」、後者は「文化・歴史的背景」と「スタンプラリー」という方法で、各地をめぐる旅行者の満足度を向上させる努力をしています。
神社もお城も、箱物あるいは存在した事実という商品から、それをつなげるモノガタリ消費へと変化している具体的な例です。
こういう状況のもと、このモノガタリ消費を手がけないことは、観光関係者の怠慢なのではないかとすら感じます。
実際に伊佐須美神社へ行き御朱印をいただくと、火災に遭った本殿修復のための寄付を求められ、御朱印という商品以外のものを押し売りされたとの感覚を持つ意見が多く聴かれます。お客様たちは、モノガタリ消費の商品にお金を出すのはためらわないけれど、そういう商品づくりをしない部分でお金を出すことには疑問を感じられています。
また、向羽黒山城は、事実として城跡ではありますが、訪れると単なる山のように感じ、ここでいつの時代にどのようなお城があって、どんなことが行われていたのか、というモノガタリを伝える努力がほとんどありません。ここでも、続日本の100名城で需要喚起されたにもかかわらず、モノガタリ消費の商品づくりが存在しない。
会津三十三観音も、日本遺産に選定されたにもかかわらず、それぞれの観音堂はモノガタリ消費としての商品づくりがほとんど行われていないのが現状です。
なんとかしなければならぬ。
観光関係者の多くに「そんなこと無理だ」と言われながらも、こういう変化について行かないことは、「地域を衰退させることなのだ」と触れ回りつつ、しばらく奔走しようと思っております。
今日も素晴らしい1日を過ごしましょう。
※コメントは、旅人宿会津野Facebookにて承ります。
※ご予約は、旅人宿会津野ホームページにて承ります。