脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

宣誓記述書ーターミナルの迎え方

2020年05月15日 | エイジングライフ研究所から

2017年5月(3年前)に書いた記事ですが。ご親切にgoo blog編集部からお知らせがきましたので再掲します。

大学時代の友人K子さんが、アートフェスティバルを楽しみに来てくれました。もう半世紀ものつきあいの大切な友人。友人というより姉妹のような間柄です。朝食後のテーブルであれこれと話に花が咲いていました。
終末期医療の話になりました。
「私たちって、ごく普通にこのテーマについて話すけど、世の中はまだタブーみたいね。『できるだけのことをしてあげたい。なるべく長く生きさせてあげたい』という公式発言は聞くことができるけど…」と私が言いました。K子さんが
「そうね。だからこそ、ちゃんと書いておかなくっちゃあ」

彼女は、ご両親それからミスターも見送っていますから、言葉に重みがあります。
「最期が近くなってきたときに、家族が『積極的な治療はもういりません。疼痛コントロールだけはお願いします』ということは大変なことなのよ。『何でもしてください』とドクターにすがる方がどれほど楽なことか。家族にそう言ってもらうには、本人の希望をきちんと伝えておかなくては無理だと思う。母がちゃんと尊厳死協会に入っていてくれたのは感謝だったわ。ところでもうやってるでしょ?」

「メールしてた時に思いついて、子どもたちに希望を書いたのね。そうしたら『委細承知。話し合って善処します』の返信をもらった」というと
「直筆でないとだめなのよ。今書いたら?」といわれました。長い付き合いの間、わたしに対するK子さんのアドバイスは、的を得ていることばかりですのでずっと受け入れることにしてきました。
「そうね。じゃあ書くわ」そうしたら、夫も「その後で書くから」。
この際さっさと済ませなくっちゃあと書いたのがこの下のメモ書きです。文字通りメモ用紙に下書きもせず書きました(笑)

「じゃあ、忠男さんも」というK子さんの促しに私の夫も書きました。

右脳優位の私、漢字が少なくかんたん。左脳優位の夫、漢字がたくさんで難しそう。「読む人を困らせないように、何をしてもらいたいかをはっきりさせるとこうなる」そうです。
「ふーん。こんなふうに書くといいのか」と、私はまた一つ勉強しました。今読み直して「回復が見込めない時」とか「終末期」とか書いてないなあと思いましたが、ひとまず子どもたちを悩ませることはないだろうと一安心しました。
「自筆、日付があれば有効よ」とK子さんも言ってくれました。
今日の写真は母の日プレゼントで届いた虹色カーネーション(まだオランダでしか栽培できない種類ですって)ですが、私からもスペシャルプレゼントを子供たちに用意してやることができました。

ターミナル期(回復見込みがなくなって臨終までの期間)にいわゆるスパゲッティ症候群といわれるような濃密医療を受けると、1週間程度で600万円から800万円かかるといわれます。入室制限があり手も握れないような治療を受けて。
「もし自費なら」と考えてみてください。それでも生きたいと本人が願い、家族も同意し、経費の用意も十分にできているなら、それは個人の自由です。私なら不要。
現実には保険が支払います。
ある町の保健師さんが「先日母が亡くなったのですが、レセプトを見ると800万円でした。役場の誰も何も言いませんが、私は町のために申し訳ないことをしたと思いました。1週間臨終が延びましたが、言葉を交わすでもなく、手足をさすってあげるでもなく、ただ死ななかっただけなのに、800万円」この哀切な言葉は忘れられません。

「『一か月後に死亡していたら、保険請求ができない』というシステムができれば、日本中からターミナル期の濃密医療はあっという間に消えていく」という言葉は、手広く病院や施設を経営していらっしゃる方から、20年くらい前にじかに聞きました。

追記
本文がパソコン作成されたものでも、日付署名が自筆であればいいそうです。
同級生が教えてくれました。
リビングウイルと事前指示書 
「変更があったのかも」とK子さんからも返事がありました。


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